これは、鉢(はち)とよばれる仏教楽器です。
ま、シンバル、です。
特定の宗派を除けば、ほとんどのお坊さんが使用します。
法事や葬儀、多くのお坊さんが集って執り行う年中行事の法要などで、
「バシャア~ン、シャラシャラシャラ、バシャア~ン!!」って鳴るでしょ、それです。
よく繞鉢(にょうはち)と表現しますが、繞とは銅鑼(どら)のことで、
銅鑼と鉢を併せた名称が繞鉢。
鳴らすのは、簡単そうに思われるかも知れませんが、
案外難しゅうございまして、小僧の頃は、手首が腱鞘炎にならんかしら?くらいに、
何度も何度もついて(鉢を鳴らすことをツクという)練習します。
で、奏法(リズム楽譜)も多種にわたりまして、一通り覚えるのも苦労します。
当寺で使用している鉢は、みなかなり年季が入っておりまして、
どれもいまだに江戸の音色を現役にて奏でております。
この鉢は、最も古い現役の鉢で、文政7年(1824)につくられたもの。
当寺の住職 法印信浄 という方の時代です。
これは、慶應4年(1869)ですね。
ほぼ、明治元年ですが、ギリ江戸。法印鑁純 代。
これなんか興味深いです。
片方の鉢には、「実相院・実法院・大円坊」。
もう片方には、「密蔵院・明福院・大楽院」。
この鉢を潮音院へ寄贈した方々の刻印ですね。
これも、ひとつの興味深い歴史を物語ります。
この6けんの方々は、みなお坊様です。
このあたりでは、「やんぼし」さま、といいます。
「山法師」や「山伏」がなまった名称でしょうか。
これについては、また紙面をあらためて・・・。あなかしこ