鹿町町の郷土史料には、古より伝わる昔話が数編まとめてあります。せっかくある史料なので、子どもたちに伝わりやすく、語りやすい物語にしてみたいなあ、と思い立ち、少しずつやっていくことにしました。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まずは、
か ず ら 舞 ~神様は子どもが好き~
昔々の元禄時代のお話です。
船の村にある鎌倉神社では、毎年手作りの酒をこしらえ社殿の奥にしまっておくならわしがありました。
ある日のこと、村の子どもたちが牛の餌を刈り取りに行くとちゅう、この神社にたちより・・・、
「クンクンクン、お?よかにおいのすっぞお。なんの匂いやろうか?」と、ひとりが言いました。
「おお、こりゃあ、甘酒のにおいばい!」
「どこにあるとやろか?」
ワイワイ騒ぎながら、子どもたちは社殿の奥へと入っていきました。
「お?奥の方からにおいよる!」
あたりをはばかるように、だれかが言った。
「おいっ!あったぞーっ!」
つぼのふたを取りながら、
「お~、こりゃあぁ~うまそうだ!どれどれ・・・。」
「どりゃ、おいにもなめさせろ!」
「こらっ!あんましデカイ声出すな!次はおいのばんたい!」
子どもたちは、かわるがわるつぼの中に指をつっこんで、
大事な神事用の甘酒をなめました。
酒に仕上がる前の甘いどぶろくだったから、子どもたちは大喜び。
「ありゃぁ、おまえの顔、まっかっかになっとるぞ~。」
「おまえもたい!」
「ふはははは~」
「はっはっはっはっはあ~」
「へっへっへっへっへぇ~」
「ひっひっひっひっひっひぃ~」
つづく