こ も れ び の 里

長崎県鹿町町、真言宗智山派、潮音院のブログです。平戸瀬戸を眼下に望む、人里離れた山寺です。

働くということ ~新社会人へ~ №2

2005年04月07日 | 教育
★働くことそのものには、意味などありません。
 しかし、「自分が働くことによって、自分や誰かや何かに与える
 さまざまな影響」については、自分なりの答えを見出すことができ
 ます。
  つまり、「自分が働くことによって与えるさまざまな影響」が、
 自分に対して、働くことの意味をもたらしてくれるのです。



・・・というのは、「生きがい論」シリーズで著名な経営学教授の
飯田史彦さん。PHPから出ている「働くことの意味が分かる本」
という著作のテーマになっています。

 働くことの意味が分かる本と銘打ちながら、実は、働くことそのも
のに意味を求めてもなにも出てこない、というパラドックスが、読者
を引きつける一つの仕掛けでもあるようですが、・・・評論はともかく
、飯田先生のものの捉え方のベースには、仏教の縁起や空といっ
た宇宙観があって、スコンっと腑に落ちる視点が多々あります。

 そこで、働く場所である「職場について」、こんなコメント。

★職場とは、「自己の本質を発見し、自己を拡げたり深めたりする 
 ことによって、自己の価値と可能性を高めるための成長の機会」
 である。

 そういう意味で、職場には、「職場に使いこなされている」人と、
「職場を使いこなしている」人が、混在していて、楽しみながら働くた
めには、この両者の違いをきっちり理解しながら、うまく使いこなし
ていく必要があるといいます。


 それを踏まえた上で、仕事からどんな価値を生み出すことができ
るか? そんな視点で考察します。

まずは、

金銭的報酬を得ることができる。お金を稼ぐことができるわけです。
仕事の見返りとして、正当に評価された証でもあります。
もちろん、お金だけのために働いている、というのであれば、仕事
の生み出す価値としてはとても寂しい気がしますので、金銭的報酬
という価値は、いくつかある価値の中の一つ、という捉え方がいいで
しょう。

次に、社会的な存在意義を実感できる、ということ。人は、認められ
たいという自然な欲求を持つ社会的な動物です。働くことによって、
自分や周囲の人に対してはっきりとその存在や営みを証明するた
めの作業でもあります。 

そして、自尊心を保つことができる、ということ。自尊心というのは、
「私は価値ある存在だ」という自信や誇り、プライドです。仕事を通し
て、関係者から喜ばれたり、成功したりすれば、自尊心を保つこと
ができます。結果として、職場のリーダー的な存在になったり、地位
や名誉が後から着いてきます。それは、謙虚に受け取るべきもので
す。

それから、案外大事な感覚が「安心感」ということ。仕事をしている
ことで、自分は社会とつながっている、社会に参加しているという意
識を持つことができます。これが精神的な心の支えとして安心感を
得ることになるんですね。

さらに、私たちは、お役に立っていたいという自然な欲求を持ってい
ます。働くと言うことは、何かに貢献すると言うことでもあります。もし
かしたら、私たちは、自分が誰かに必要とされているということを実
感するために、働くのかも知れません。人は皆、神仏から命じられ
たお役目を持って、この世に生まれてきているはずです。自分なり
の使命を見出すことが、働くことかも知れませんね。

また、人とのつながり、人間関係を培うために働くと言うこともできま
す。さまざまな出会いですね。全く違った価値観に出会ったり、貴重
な発見をしたり。視野が広がります。これは成長すると言うことです
。ですから、相性の好いような人と常に仕事するよりも、とてもこの
人とは合いそうに無いなあと思うような人とお付き合いする方が、自
分の視野を拡げるためには、手っ取り早いのかも知れません。「こ
いつキライいだあ、と思う人ほど、観音様と思え!」といいます。この
人は、私が成長するために神仏が巡り合わせた人なんだ、と。

そして、さまざまな経験によって得られる心の豊かさ。
仕事をしていく中には、色んな失敗や苦い経験もする
でしょう。しかしそれは、マイナスなことではなくて、
「貴重な経験を得ること」になるわけです。

・・・・・・・・・・

とまあ、以上は、仕事をすることによって得られる、
いわば自己の問題を中心に述べました。

          参照:「働くことの意味が分かる本」by PHP

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