カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

帚木蓬生 『インターセックス』 集英社文庫

2017-09-29 23:06:20 | 本日の抜粋

医者も医療周辺行為者もそのモラルは一緒である。
そんな思いでこの本を読み終えた。

インターとは、-の間という意味の接頭語。
遺伝子の成り行きで男でも女でもない人が誕生する。
その程度は様々でも日本には百万人はいるとされている、社会の目、偏見などがあってなかなかカミングアウトされない。
この本はインターセックスの人々と医療関係者を巡っての推理小説の装いをした啓蒙書でもある。

主人公や当事者の発言の中に、医療関係者が心しなければならない心構えが繰り返し述べられている。

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わたしたちが自覚のないまま踏襲しているのが、パターナリズムとノーマライゼーションです。
黙ってついて来いというのがパターナリズムだとすれば、病気や障害を限りなく正常に近づけようとするのが、ノーマライゼーションの思想です。男と女の中間があってもいいはずなのに、どちらかに近づけようとするのも、一種の誤ったノーマライゼーションでしょうね。
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医学医療は、先端技術に関しては猪突猛進的に突き進めていきます。しかし、根本的な事柄に対して、社会を説得する技術は置き去りにしています。社会の側からの啓発によって、医療側がしぶしぶ暴走をやめ、慣習を改めるというパターンばかりです。ハンセン氏病の医療がその典型でしょう。本来なら、医師の側から声を大にして、感染の心配はない、と叫ばなければいけなかったのに、外圧によってようやく隔離医療を廃止しています。
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知らず知らず、人間をマイノリティとマジョリティに分別するというワナ。病気自体はいわばマイノリティでしょう。治療は病気というマイノリティを、健常であるマジョリティに近づける行為に他ならない。それが医学を貫く大前提だから、医師はマイノリティの存在には、生理的な嫌悪を覚えやすいの。インターセックスの人たちも、極端なマイノリティとして、医学・医療から排除されてきた。医学はもっと多様性を大事にしないといけないのに
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みんな大なり小なり、苦境を乗り越えつつあったが、それまでは、いわば過剰な医療の犠牲になっていた。不必要に介入され、主体性を奪われ、まるで禿鷹につつかれた死骸のように、心身ともにずたずたにされていたのだ。
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本当に身体の診療をしなければならない患者はたおざなりの身体の診療をするよりは、患者の悩みである不眠や手の痺れ、足の冷え、のぼせ、めまいと耳鳴り、倦怠感、頭痛、肩こりに、真剣に耳を傾けたほうがましだ。
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徳さんは、この本によって性差医療の存在を知り、その重要性を知った。


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