カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

古傷って

2011-03-05 19:10:05 | 本日のしりきれとんぼ



「最近、学生時代の部活で傷めたアキレス腱がうずくんです。大学のスポーツ部ってメチャメチャ鍛えますからね」

そうなんだ。
スポーツ音痴の徳さんには分からない世界だ。

彼のように若い頃の古傷が年を経て疲れた頃に顔を出す、というのは何人もの人に訪れる現象のようだ。

古傷って何だろう

怪我をする。怪我が治る。
その間に、生き物としての人間に備わってる修復能力が動員されてる。
天然の消毒、清掃がなされ、修復物質が患部に動員される。
欠損部には線維芽細胞が派遣されセメントのような働きをしてくれる。
それで、生き物としての修復は完了。

しかしこれは完全復刻ではない。
完全復刻とは、手術によってメスを入れられた皮膚が手術の痕跡を残さないような状態を言う。
そこが問題なのだろうと思う。

生来そこにあったと同じ材料を用いているのではないから当然なのだが、、、、。

腕の傷などの後が、その部分だけが日に焼けたりしない、というのは誰もが経験している。
メラニン色素を作り出す細胞は傷の修復時に動員されていないからだ。

傷を治した細胞は生来のものではない。
だから収縮率も伸び率も周りの組織とは違ってる。
その齟齬が、疲労時や過度に使用した時に痛みとなって現れるのだ。

この事は、開腹手術の後の癒着の問題とも絡んでくる。
内部と外部を厳しく遮断することによって成り立っている内臓、特に腹膜・胸膜などは外気に触れることによって絶対的に癒着を起こす。程度の問題は在るが。

この場合、外部の空気に被爆した傷の治りが癒着だ。
治癒の結果の癒着は周囲の内臓の活動の邪魔をする場合もある。
開腹手術を経験したした人は、癒着した部分が体内にあることを思い起こした方がいい。

古傷を持っている場合の対処方は、良い血行を心がけるしかないだろうが、その努力は全身の健康維持に寄与するのだからやって損はない。

心の古傷はまた別の話。


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