カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

熊谷達也 『銀狼王』 集英社

2015-10-28 16:40:36 | 本日の抜粋
『まほろぼの疾風』で平安初期の朝廷軍と戦った蝦夷の指導者アテルイを魅力的に描き出した熊谷達也だが、この小説はブーッに近い。

明治初頭の頃、日本オオカミが絶滅する頃の一猟師とオオカミの闘いを描いたものだ。
もちろん部分部分においては興味深い所はある。

なぜ、日本オオカミは絶滅したのか?
明治初期の賊軍にあたる人々の暮らしぶりはどうであったか?などなど。
でも、これは知識だ。
小説を読むにあたって読者が要求するものではない。
だいたいにしてから、猟師二瓶がなぜ銀狼と対決しなければならないのかが、すっきり来ないのだ。

という事で抜粋は以下のみ。

  *****
 よろめきそうになる身体を支え、鉛のような足を引きずりながら、銀狼へと一歩ずづ歩み寄っていく。
 戯に路の毛並みがふいに草むらのなかに消え、銀狼の姿を見失った。
 次の瞬間、二瓶の目に鋭い牙が大写しになった。 二瓶が突き出した銃身が狼の牙とぶつかりあった。銃身に括り付けていた短刀が鋭い音を立てて弾き飛ばされ、二瓶の手から銃自体が消えた。その直後、目にも留まらぬ速さで、銀狼が二瓶の懐に飛び込んできた。
  ***** 

この目にも留まらぬ速さで、という所。


最近は、映像技術が発達して、自然界の驚くような姿を垣間見ることが出来る。
超高速カメラを使って、我々人間が肉眼では決して見ることが出来ない動物たちの瞬時の素早い動きが見れる。
原始的な動物とされるものでも、捕食や逃走の時の瞬時の動きは目を見はあるものがある。

人間は勝手に進化の頂点に立つ生き物だなんてほざいて、勝手に生き物にとっての地球を破壊しまくっているが、なに、素手じゃほとんどの動物に喰われちゃう存在でしかない。

と、言ってみてふと気付いた。
我々人間も同じこの速さを身に付けているんじゃなかろうか。
自覚しないだけであって、体内で行わる情報処理、ガス交換、消化、異物の処理、新旧細胞の交代など、局所的現場で行われている作業は、きっと、先端技術が創り出せない速さで行われているのに違いない。

人の身体の愛し方の参考にしたい。




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