カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

平野啓一郎 『日蝕』 新潮文庫

2015-03-28 19:40:46 | 本日の抜粋
やはり徳さんには文学というのは荷が重いようで、、、。

芥川賞受賞作であるからして、当然文章は上手いし、話の内容も面白い。
擬古文でわざと読み辛くしているが(神秘体験小説なのでその効果を狙ったものなのだろう)終わりまでほとんど一気読み。

で、その読了感がないのだ。
中世フランスを舞台にした、魔女狩りについての一学僧の回顧談。
しかし文学音痴の徳さんとしては作者の狙いを外れたところで楽しむしかない。

自然に翻弄され、不作に脅かされて生きる中世の農民を襲う不安と熱狂。

  *****
この当時、上に記すが如き異端者の清貧の理想を最も忠実に実践していたのは、外でもなく摩尼教徒の中の所謂「完全者」であったと云うことである。
 私は旅の途上で、民衆が異端へと墜ちた理由をぼんやりと考えていたが、その一つが我々の教会の堕落に在ったことは殆ど疑を容れぬであろう。これは頗る重要な事である。慥かに、異端隆盛の最大の原因は、その教義の有する魅惑であった。生活への絶望が、人々をして、世界は愚神に因って創造せられた悪であるという、彼の教えに向かわしめたことは論を須たない。しかし、彼等が異端に赴いたのは、それと倶に、その「完全者」なる者等に対して深い共感を抱いていたからである。その禁欲に対して、単純で素朴な尊敬を有していたからである。
  *****

そして当時の魔女狩りの一端が描かれている。
そこら辺は上手いもんだ、、、。

で、徳さんなんだが、やたらと現代に引き寄せてしまう。
この小説には俗悪な異端審問官が登場するのだが、彼が安倍坊とダブってしまう。
間違った、自分にだけ都合のいい矮小な理論の鎧で身を固め、都合の悪い状況には耳を塞ぎ、処刑を命じる権限を盾に取り、相手を抹殺する。
その振る舞いは華麗なるスピード感がある。
その弁舌は、無内容反復なだけに流暢ではある。
安倍坊の声帯には無機質なテープコーダーが仕込まれている。


ああ、真正の魔女で在りたい、などと思ってしまった徳さんだった。



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