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ぼくたちは大金持ちから身を護らなくちゃいけない。ぼくたちの老後の蓄えをむしりとり、環境を破壊し、利潤追求を旗印に貴重な化石燃料を枯渇させ、一般庶民の医療保険を利用する権利を否定し、気まぐれに人々の職を奪う企業家テロリストどもから。二〇〇一年から二〇〇二年にかけて、ホームレスの数を一九パーセントも増やしたことをどう呼べばいい?これこそテロじゃないか?それで死ぬ人間だっているじゃないか?これは貧乏人にだけ痛みを押しつけて、ひと握りの金持ちをもっと金持ちにしてやる計画的犯行の一部じゃないのか?
ぼくたちが戦いを挑むべき〝テロリスト〟は国内にいる。
マイケル・ムーア 『おい、ブッシュ、世界を返せ!』より アーティストハウス
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なんとも簡単明瞭なアジテーションだ。
今までアジテーションの類は何度か聞いたが、それらはいずれも、硬い政治用語だったり勢いだけの空疎で型に嵌ったものだった。関係者だけが分かる、内輪向けのものだった。
マイケル・ムーアのこの一節を読んで、余りにも平易で、薄っぺらな感じのする人も多いかもしれないが、これら平易な言葉には、膨大な資料、情報が裏打ちされている。めんどくさい資料の山から、伝えるべき簡明な言葉を引き出す才能はすごい。
「恥を知れ!ブッシュ!」
とアカデミー賞受賞時に叫んだ人、という認識しかなかった徳さん。
日本のメディアからは流れてこない情報にいささか驚いとりまする。
9・11直後、オサマ・ビン・ラディン一族は、全米の飛行機が飛行を許可されなかった時点で、自家用ジェット機でサウジアラビアに帰国した。
ブッシュはビン・ラディン一族と親密だった。サウジの王家とも親密だった。
サウジアラビアは国際アムネスティからその弾圧政治をアルカイダ同様告発されているが、ブッシュはダブルスタンダードを取っている。ただただ石油の利権のために、、、。
などなど、次から次へとブッシュは追い詰められていく。
そしてこの本の面白さは、マイケル・ムーアの戦術だ。茶目っ気たっぷり。
選挙運動のアイディアなんかは、今回オバマ陣営も多く取り入れたのじゃないかな。