ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

無法松の一生

2015-06-08 | 映画
今日は仕事です。

昨日おとといと終日研修でしたが、全くもって疲れ果て、帰りの電車では気持ち悪くなりました。

家に帰っても食欲がなく、夕食も摂らずに横になっていました。


テレビを点けていると、三船敏郎主演の『無法松の一生』が始まり、何気なく見始めるとたちまち引き込まれました。

明治時代の後半、九州小倉で車夫をしていた無法松は、天衣無縫な乱暴者ですが、その底には弱い者には優しく曲がったことが嫌いな性格があります。

恵まれない家庭に育った彼は小学校に行くことも出来ず、持ち前の体力を活かして、当時あまり尊敬されていなかった車夫(人力車引き)として暮らしていました。

ケガをした子供を救ったのがきっかけで、無法松は高官軍人の夫婦と懇意になります。

大尉だった夫が病気で急逝した後は、無法松は残された母子を色々手助けし、綺麗で上品な奥様に想いを寄せますが、決して口にはしません。

私が切なくて仕方がなかったのは、妻をめとらず年老いていく無法松の姿です。

寒風が吹き込むような長屋で独り住まいをし、父親の命を奪った原因であると言う理由で手を出さなかった酒に溺れるようになります。

そしてある日、雪の降る道を一升瓶を持ってフラフラと歩いていた無法松は、そのまま倒れ込んで絶命します。

無法松は決して弱音を吐かなかったけれど、内心では病気を抱えて独り老いていくことが寂しくて不安でたまらなかったに違いありません。

そう想うと、何だか辛くて仕方がありませんでした。

でも、映画はそんな無法松の一生を愛惜を込めて静かに賛美していて、まことに名編だと思いました。


神様。
今日一日が穏やかなものでありますように。
家族が皆、健康で暮らせますように。
友人たちが無事に一日を終えますように。
お祈り致します。