《ニュース》

台湾や日本近海で離島の海底ケーブルが切断される事件が相次ぐ中、中国が、日本や台湾をつなぐ海底ケーブルの新設を妨害していることが明らかになりました。

 

《詳細》

英フィナンシャル・タイムズ紙はこのほど、中国政府による海底ケーブルの敷設に関する許可の締め付けにより、日本やシンガポール、台湾、香港などをつなぐ海底ケーブルの新設計画が1年以上遅れていることを取り上げました。

 

14日付同紙は、中国当局が「スパイ機器が埋め込まれている可能性」を引き合いに出して香港近海での敷設許可を遅らせているという関係者の証言を紹介。アメリカが海底ケーブルを展開する中で、監視システムを導入するのを避けようとしていると指摘しました。

 

海底ケーブルの敷設については、国際海事法によって「ある国の領土から12海里以内」に関しては政府の許可が必要としています。中国は最近、海底ケーブルを敷こうとする他国に対し、領海外についても許可を求めるという国際海事法違反の対応を行っていますが、同記事では、ヨーロッパの海底ケーブル会社の経営者の「許可が下りる見込みはない」というコメントを紹介しています。

 

2月には、台湾本島と離島の馬祖(ばそ)島を結ぶ海底ケーブル2本が相次いで切断され、1万4千人の島民がインターネット空間から切り離されました。馬祖島は中国本土から20キロ足らずの場所に位置し、台湾にとっては国防の要衝であり、軍人が多数駐留しています。台湾当局は、切断と同じ時間に付近を通った中国の漁船と貨物船が関与したと見ており、武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」に該当するとの声が上がっています。