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イギリス諜報機関の情報局保安部(MI5)は13日、中国の工作員と見なす人物が国会議員への献金を通じてイギリス議会に入り込み、スパイ活動を行っているという異例の警告を発しました。

 

《詳細》

イギリス国営放送のBBCなどによれば、ロンドンなどで法律事務所を運営する弁護士クリスティン・チン・クイ・リーという名の女性が工作活動に従事していました。リー氏が中国の統一戦線部と連携して秘密裡に活動しており、イギリス国内での親中派の勢力拡大を狙い、人権問題などをめぐる中国批判を封じようと見られているといいます。

 

リー氏は自身の法律事務所を通じて、イギリスの最大与党である労働党のガーディナー下院議員に2014年から20年にかけて、42万ポンド(約6500万円)以上を献金。さらにガーディナー氏は、議員事務所でリー氏の息子も雇っていました。同じく、野党である自由民主党のデービー党首も献金対象でした。

 

中国の人権侵害を監視する国際議員連盟の設立を主導した保守党のダンカン・スミス元党首は、リー氏は現在も英国内にいる可能性があるとして、同氏を国外退去処分にすべきだと訴えています。

 

MI5の警告に対して、中国外務省の汪文斌報道官は14日の記者会見で、「イギリスの官僚が根拠に基づかない言論を発表しないように望む」とし、イギリスの人気スパイ映画「007」シリーズを挙げて「イギリスの一部は007の映画を見過ぎだ。不必要な連想が多い」と発言。「中国は他国の内政に対し、不干渉の原則を一貫して取っている」と主張しました。