イスラム国指導者のバグダディ氏殺害 イスラム改革と日本の使命
2019.10.28(liverty web)
攻撃を受けるイスラム国の拠点(写真は2014年当時のもの)。
《本記事のポイント》
- 米軍の急襲で、イスラム国の指導者・バグダディ氏が亡くなった
- 人権を軽視するイスラム社会は改革が必要
- 国際的な宗教や政治の問題に、日本人が無関心でいることは許されない
イスラム教スンニ派の過激組織「イスラム国(IS)」の指導者、アブバクル・バグダディ氏が米軍の特殊部隊の軍事作戦によって死亡したことを、アメリカのトランプ大統領が27日、発表した。
特殊部隊は26日夜、トルコとの国境に近いシリア北西部のイドリブ県にあるバグダディ氏の隠れ家に、8機のヘリコプターで急襲。トンネルに逃げ込んだバグダディ氏は、爆発物を仕込んだベストを爆発させて自爆したという。
会見でトランプ氏は、「世界はより安全な場所になった」と語り、「ロシア、トルコ、シリア、イラク、シリアのクルド人の支援に感謝している」と、領空のヘリの飛行や情報提供などで周辺国の協力を得ていたことを明かした。
イスラム国は、アメリカが仕掛けた「イラク戦争」から生まれた
振り返ると、ISが生まれたきっかけは、2003年の「イラク戦争」だった。
その2年前の2001年、同時多発テロによってアメリカで3000人以上が亡くなった。アメリカは「テロを支援し、大量破壊兵器を隠し持っている」として、2003年にイラクを攻撃。スンニ派のバアス党率いるフセイン政権を倒し、民間人を含む50万~60万人のイラク人を殺害した(死者数は諸説あり)。
結局、大量破壊兵器は出てこなかった。
だがアメリカは、フセイン政権と対立していたイラク国内のイスラム教シーア派主体の政権をつくり、スンニ派を弾圧。弾圧されたスンニ派の中からISが生まれ、各地でテロ活動を活発化させていった。
人間一人ひとりの命、人権を軽視するイスラム社会
バグダディ氏やIS側からすれば、さまざまな地域で起こしているテロにも、「生存権を守る」という大義があるのだろう。
だが、人質の外国人を斬首したり、誘拐した女性や子供を奴隷にしたりすることは決して許されない。女性や子供に自爆テロを行わせているが、やはり、人間を「手段」と考える全体主義的な傾向が強い。
大事なのは、「人間は、国家に奉仕させる『手段』ではなく、一人ひとりが幸福になることを『目的』」とする民主主義的な考えだ。人権を軽視するところは改めなければならない。
こうした問題は、程度の差はあっても、スンニ派やシーア派といった宗派、イランやサウジアラビアといった国などを超えて、イスラム社会全般に言えることだろう。「イスラム改革」は急務だ。
同時代に生きる人々と切磋琢磨しながら進歩と調和を目指す
霊的な真実を言えば、人間の本質は肉体ではなく魂である。その魂を磨くために、この地上に生まれて肉体に宿り、同時代に生きる人々と切磋琢磨しながら進歩と調和を目指し、死後、再びあの世に還る。
イスラム教が生まれた1400年前は、新興宗教として他宗との避けられない戦いもあったのかもしれない。だが現代においても、「アッラー」の名の下に、異教徒や外国人を殺すことが許されるわけではない。
もちろん、この点は、イスラム教を敵視するアメリカをはじめとする他のキリスト教国や、アメリカと連携するユダヤ教のイスラエルなどにも同じことが言える。イスラムの「殲滅」は世界に憎しみを増やす。その後に訪れるのは、平和ではなく新たな混乱だ。
イスラムの人々をも幸せになる形で、民主主義や自由の価値を広げていくべきだろう。
国際的な宗教や政治の問題に、無関心でいることは許されない
今、世界は、急速な科学技術の発達によって、遠く離れた他国や他民族との人、モノ、金、情報などの交流が盛んになり、一国だけでは実現できなかった発展・繁栄が可能な時代になっている。
そうであるならば、同じ地球に住む「地球人」は、古い時代性や地域性の縛りを取り払い、イスラム教やキリスト教などの違いを超えた、新しい時代の「世界的正義」によって一つになるべきだろう。
この新しい時代の中で、イスラム教とキリスト教の仲介ができる立場の日本は、国際社会で多くの役割を期待されている。国際的な宗教や政治の問題について、日本人が無関心でいることは許されない。
(山下格史)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『イランの反論 ロウハニ大統領・ハメネイ師 守護霊、ホメイニ師の霊言』 大川隆法著
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