「印象吟句会」を主宰する島田駱舟さんから「銀河」No.259が届いた。島田さんは毎月都内の区民会館のような会場で句会を催し、その結果は小冊子にして送ってくださる。感染症対策で出席者を減らして投句者を増やすなど経営に苦慮しているようである。
先月は、出席者23名、投句者115名であり、「久しぶりに20名を超える出席でより句会らしい雰囲気が味わえました」とのこと。
小生が島田さんの主宰する川柳を注目するのは出題の多様性とおもしろさである。
ひとつ紹介する。
「東京中央美容外科」のロゴマークである。
これを見て何か発想して句を作ることを目指す。以下にあげるのが優秀な作品ということである。
出席者の部、投句者の部に分かれている。選者は、渋川渓舟さん。
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出席者の部
【五客】
倦怠期ハートに角が立って来る 平野さちを
艶っぽい鍵穴君の指紋待つ ささきのりこ
私の返事はグラデーションの奥 ささきのりこ
爺婆も仲直りにはグータッチ 内田閑礫
輪になって踊る日を待つ万国旗 茂呂美津
【三才】
心臓が虹色になる君のハグ 内田閑礫
メルヘンの太巻き中心はハート ささきのりこ
プリズムに虹が四角に三角に 安藤紀楽
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投句者の部
【五客】
このままで付かず離れず居ましょうね 金井塚夢子
隣人と世界平和のまずはハグ 岸井ふさえ
街は春パステルカラー闊歩する 川名洋子
寄り添えばハートがひとつ見えて来る 坂本喜十郎
七曲りして人生の先が見え 成島静枝
【三才】
もういいかい春の迷路で子らの声 瀬田明子
虹色のリボンでハートラッピング 瀬田明子
手をつなぐ世界平和へ一歩ずつ 伊東志之
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「ハート」と「ハグ」という言葉が目立つ。俳句で兼題に「紫陽花」が出たらこれから離れることはできない。けれど「印象吟句会」は印象を言葉にすればいいのである。何を書いてもいいというのは俳句では考えられない自由さである。
俳句をやっている者がこの川柳グループで句を作ると、その何を書いてもいいというのがかえって身を縛るような気がする。「自由であることは自由であることに呪われている」と言ったサルトルの名言がよみがえる。それはここに挙げた作品のなかで、「ハート」と「ハグ」という路線が結構多いことに言える。
もっと飛んでもいいのではという気がしたが、こういう言葉遊びもある。
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