天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

清張は単純かつ濃厚

2015-11-24 05:58:09 | 映画
きのうは冬らしく寒く、午後1時、ふとんに入ってテレビをつけた。
2時からラグビーの早稲田対慶応戦があるのでそれまでのつなぎにムービープラスの洋画「スターシップ・トゥルーパーズ」をつけた。
巨大バッタみたいな生物(バク)相手に地球連合軍が戦争するという他愛のないSF映画だったが見はじめたらチャンネルをラグビーに回せなくなった。
こんな心理あり得ない……自分がわからなくなった。



「スターシップ・トゥルーパーズ1」のデニス・リチャーズ

スターシップ・トゥルーパーズは続編2、3があり、すべて見てしまったら6時半になっていた。
3でおもしろかったのは捕獲したバッタの頭脳というのか芋虫状のうんこのようなものが人間を知らず知らずのうちに洗脳してしまうところ。
司令官がバク教に侵されていて敵に植民星を売りわたしていたこと。
虫が人間に寄生して成長すると食い破って現れるというのはエイリアンの模倣でありこのへんがB級たるゆえん。

夜もテレビドラマを見た。
チャンネル銀河でずっと松本清張作品をやっている。
ゆうべは「張込み」(2011年)。
主演は若村麻由美(横川さわ子役)。
バスツアーで知り合った過去のある男女が家庭をもつが、女の過去の男が強盗殺人を犯して警察に追われる。
刑事が男からの連絡が来るはずだと張り込む。案の定、男が現れて女に電話してくる。
松本清張作品はトリックといった仕掛けはほとんどなく人間の中身を抉りだすことで深みを出す。そしてそれが濃厚で押してくる。
女が平和な3年の家庭生活を振り切って男に会いに行くとき、潜んでいた化け物が人間を食い破る昼間の映画のシーンを思い出してしまった。
男と女は裸になってからむのではないがまさに濡れ場であった。
濡れ場は体が濡れなくても気持ちが濡れることなのだと気づいた。
事が済むとどうして過去の男に走ってしまったかわからないという無常感を若村麻由美がよく出していて美しかった。

「張込み」は別の女優が演じたものも見たことがある。
女優の才能を見るのに、感情の量を計るのにこの「張込み」を演じさせるのがいちばんわかりやすい気がする。
松本清張は人間を食い破るエイリアンをずっとテーマにしている。おおかたの人はエイリアンを飼い殺しにしながら生きている、というのが清張さんの見方であろう。


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