Hobo's File by KINO

道の向こうへ歩いて行けば 違った空が見えてくるんです

空の下の違った風景を見ていたら 色々感ずることもあるんです

「真珠とダイヤモンド/桐野夏生」上・下を読了

2024-03-02 16:04:48 | 

図書館で借りてきた「真珠とダイヤモンド/桐野夏生」上・下を読了。長編としては彼女の最新刊。
バブル期の証券業界を題材に、のし上ろうとする男女がバブルの崩壊と共に人生を下っていく様を描いている。
いつもながらに野心に満ちた人間の腹黒さを描くのが上手い。そこに人間の本質があるが如く筆は進む。
但しこの題材は現実が身近なだけにスリリングかと言えば少しの物足りなさを感じる。
残された一人の女性が、何十年後かに過去の幻を見ながら終えていく事をプロローグとエピローグにしている点は光る。
思えば肝となっているNTT株をワタシも購入した過去がある。そこを入り口に株の世界に入った人も少なくないかもしれない。
個人的には自社の転換社債を買って、以降は株の世界には手を染める事はしなかった。以降は主に外為を貯蓄の場としていた。
株にうつつを抜かせば仕事をおろそかにし、資産も結局は減少していたような気もする。
バブル期は人の人生の曲がり角だったのかもしれない。この小説を同時期に生きた人は自分と照らし合わせながら読んでいたのでは?

  

コメント