Hobo's File by KINO

道の向こうへ歩いて行けば 違った空が見えてくるんです

空の下の違った風景を見ていたら 色々感ずることもあるんです

「ぼくのアメリカ音楽漂流」読了

2016-09-15 16:26:00 | 
鈴木カツさんの新刊「ぼくのアメリカ音楽漂流」をやっとの事で読了。
旅行前に読み切ってしまうつもりだったが、432頁は流石に簡単には読破できなかった。
カツさんの50年に渡るアメリカ音楽愛好の集大成と名乗っており、書下ろしも多い力作です。
巻末の来日年表が1980年迄とあるように、ほぼ70年代末までのもので占められているが、
その辺りが一番集中的に聴かれてきた時期なのでしょう。まだまだ音楽も新しいものが生まれ、
上り調子の時期だったはず。私的には、70年代中期から集中してリアルに聴き始めた感もあり、
少し嗜好はズレているのかもしれない。フォークよりも、ロックに最初から熱中していた。
カツさんがアメリカ音楽を語るように、私たちは私たちの生きた時代のアメリカ音楽を
語れば良いのだと思う。一部ブルースを除き黒人音楽はあまり語られていないが、
私にとってはソウル・ミュージックも大事なアメリカ音楽の一部。
但し、この辺りも取り込むと、本としての構成がまとまらなくなる事も理解できます。
アメリカ音楽の遺産を引き継ぐアーチストやアルバムでまとめられている気がします。
個人的には本文以上に生の声が聞こえるコラムの項が楽しかった事を付け加えておきます。
大方のものは既知感有ですが、まだまだロック創成以前の音楽には取っ付き難い私がいます。
カツさん、最近のライターは勉強が足りないと嘆かれますが、ロック創成から60年経てば
振り返りの時間が長すぎますよ(笑)。この辺は少し多めに見てあげたい気もしますが、
仕事としてライナーや記事を書くのなら読者が興味を深めるものを書かないと、
やはりいけないのかな。かって岩田由紀夫さんが「音楽評論家は音楽の紹介役」と
言われたのを聞いたことがありますが、ロクな紹介せずに自分の思いだけを書かれても、
万人には理解できないのかもしれませんね。
文中にハンク・ウィリアムスの遺作詞集「The Lost Notebooks Of Hank Williams」が
取り上げられてますが、同趣向のウディー・ガスリー集「Mermaid Avenue」、
ボブ・ディラン集「Lost On The River」にも言及して欲しかった気はしています。

体調が今一つのカツさんですが、既に次作のブルーグラス本に取り鰍ゥっているとの事。
そのパワーに敬服いたします。語るには故島田耕氏との約束を忘れていないらしい。
いい話や(涙)。新刊リリースされたらまた買いますので、早期リリースを待ってます。

  
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