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小つると鶴瓶のき楽寄席!

2009年05月20日 | キモノイベント

 去る5月9日、金沢駅前の石川県立音楽堂にて『小つると鶴瓶のき楽寄席』が催されました。おなじみ『金沢落語情報』主催の落語会ですが、今回はいつものホールの数倍、定員730人の邦楽ホールでの催しです。しかも、ゲストにテレビでおなじみの笑福亭鶴瓶師匠を招いて!
 興行のシロートがこんな大それたことしちゃっていいんだろうかとびびりつつも、主催なぁさんの情熱に引きずられ。とうとうこの日がやってまいりました!
 わたくしはいつものようにお茶子です。き、緊張。
 
 今日の着物:笹柄大島(きむらで買ったのんを洗い張り・仕立て直し)
 今日の帯:丸鶴リバーシブル二部式帯(ヤフオクの羽裏をカクマさんで二部式帯に)
 今日の半襟:白塩瀬半襟(うちにあった)
 今日の帯揚:白地飛び絞り(きむら)
 今日の帯締:薄緑三分紐(きもの・なかむら)
 今日の帯留:シルクロード(竹蔵龍)
 今日の簪:赤花蜻蛉玉(玉やふちこま)
 今日の足袋:杵や白足袋(広島・杵や)
 今日の草履:酒袋台すうちゃんお見立て花緒(松屋)

  赤い『お茶子前掛け』を、この日のためにちくちくいたしました。記念の会に初おろしです。着物は笑福亭の紋・五枚笹にちなんで笹柄。これも、洗い張りしたものの仕立て下ろし。そして帯はもちろん、小つる師匠鶴瓶師匠にちなんでの鶴柄です。気合、入ってます。

 朝早くにオットとともに地元を出発し、金沢へ。
 会場に着くと、すでに準備は始まっていました。照明チェックをする、笑福亭…ではなくて席亭なぁさん。
 

 そして、小つる師匠の音声チェック。
 
 ぴいん、と張りつめた空気に身が引き締まります。
 
 
 楽屋でスタッフ・ミーティング。タイムスケジュールに沿って仕事を確認します。会場が大きいだけあって複雑です。がんばろー!
 
 繁昌亭でもお茶子をやってる桃葉さんに、前掛けの紐を結んでもらいました。言うなれば『前掛けの儀』。ぶるる(←武者震い)。

 
 き楽寄席名物、受付キモノ美女軍団。


 いつものスタッフのほか、桃葉さん・mayさん・ことりちゃん・にっぽんちゃんにもお手伝いいただきました。普段ならわたくしもここに加わるんだけど、今回はさすがに楽屋と舞台袖に詰めっきりでした。

 オットのカメラマンセット。
 
 いつもは噺の邪魔にならないように撮影は『マクラだけ』なのですが、今回の会場には撮影ブースがあるので、噺の間も写真が撮れるのです。防音のブースの中、さらにカメラに防音カバーを被せて念を入れております。

 師匠方に見台・膝隠しの確認をしたり、場内アナウンスの影マイクをチェックしたりしているうちに…あっという間に会場の時間です。一番太鼓が鳴って、お客さんが続々入ってこられます。大入りです!!


 さぁ、とうとう始まりです。二番太鼓に続いて出囃子。一番手、笑福亭鉄瓶(てっぺい)さんが舞台に出て行かれます。鉄瓶さん、舞台袖で何度も手のひらに『人・人・人』と書いて飲み込む仕草をなさって…そして、きりっと顔を上げて、まっすぐに歩いて行かれました。後姿から熱気が。
 そして…おおっ、空気が変わった。高座に着いた鉄瓶さんがしゃべり出すと、ぶわああっと笑いの波が舞台袖まで押し寄せてきます。すごい。「行きの長距離バスで後ろの席が小つる師匠の同級生だった」というマクラから、ネタは『狸の賽』。

  
 「まだ修行の足らぬ子狸でっさかい、なんにでもというわけではありませんけど、知ってるモンならたいがい化けられますぅ」
 
   
 サイコロに化けたたぁちゃんにバクチ打ち「最初は六やぞ。一番数の多いやっちゃ、間違えな…」。
 子狸たぁちゃんが可愛いったらありません。ほこほこ笑って、幸せな気分です。

 温まったところで桂宗助さん。宗助さんも『人人人』やっておられました。ベテランの方でも、なさるんだ。その真剣な面持ちが、舞台の方に向き直るとふわぁっと和やかな表情に変わります。
 宗助さんは人間国宝米朝師匠のお弟子さんということで国宝話をマクラに、ネタは『始末の極意』。わかったかわかっとらんのかわからんような二人の、ケチ自慢。

  
   梅干いっこで一日三食食べられるという話に「そーんな贅沢なことしたらあかんがな~」

 
 鰻屋の店先に行って、ニオイでご飯を食べている…。

 さすが米朝師匠系という感じの、しっかりした噺っぷり。それに加え宗助さん、ほんわかしているだけでなくってどこか『ヘン』で可笑しいのです。宗助さんの『ヘン』と登場人物の『ヘン』の相乗効果でおもっしろーい。

 そして中トリ、いよいよ小つる師匠の出番です!
 襲名の挨拶では割れんばかりの拍手。熱気とともに気持ち良い空気が会場に満ちています。そしてネタは『ちりとてちん』。
 まずは、ご隠居にご馳走を振舞われ、「初めてでございます~」と感激しつつ食べる喜ィやんに見入ってしまいます。茶碗蒸しを「あふ、あふ、あふ」といただく様子、お酒をホントおいしそーに飲む様子。いつものことながら、おなか減っちゃう芸です。
 そして、『知ったかぶりの憎らしい男』竹やんの話になり、いたずら思いついたご隠居の、うれしそーな顔!
 
 「長崎名産・ちりとてちん…肩へ『元祖』と書いといたろ」

 
 銘酒『白菊』を、まずそーに飲む『竹』。なのに、「もう一杯」。

 
 『ちりとてちん』食べた竹!なんつー顔でしょう。
 場面場面で大笑いが沸いています。笑いの熱気とともに小つる師匠の気迫も伝わってくる、ほんと面白い『ちりとてちん』でした!

 中入りのあと、鶴瓶師匠の登場!着物の裾を軽くはしょってタタタっと登場すると、もうそれだけで会場はどよめきと笑いがいっぱいになりました。舞台袖にいらしても鶴瓶師匠、テレビで見たまんまのあの雰囲気。トークのようなマクラで、すでに会場は鶴瓶ワールドって感じです。ネタは『青木先生』。鶴瓶師匠の男子高時代の実話、だそうで…『青木先生』のリアルな存在感がすごいです。「ページをまくりなさい」「ノートをつけなさい」なんて、そういう言い方する先生いたいた、おじいちゃん先生には。
 
 入れ歯の具合をなおす青木先生。怒るとこの歯の間から空気が漏れて『ピー』と鳴る、それを面白がる悪童ども。
 
 先生が黒板の方を向いている隙に、机を持ってどんどん近づく…

 
 向きなおって、呆然とする青木先生。

 もうどっかんどっかん、会場中大爆笑でした。舞台袖で聞いてても可笑しくて可笑しくて!そして、最後はちょっぴりホロリもあって、濃ゆい時間があっという間に終わりました。
 鶴瓶師匠、このあと大阪でお仕事ということで、舞台から袖を走り抜けて帰っていかれました。

 そしてトリ、ふたたび小つる師匠。ネタは『愛宕山』。さっきのヒーヒー笑い転げた空間が一転、春の野の情景がふわあーーっと広がっていきます。
 
 「待っておくれやす~」と、芸妓さん。流し目が色っぽいですう。

 
 旦那はんは得意のかわらけなげを披露して「さあどうじゃ!」

 
 一八つぁん苦労の末・・・「小判はどうした?」「…忘れたぁ」

 サゲを言い終えて小つる師匠が深々と頭を下げると、大きな大きな拍手が会場いっぱいにあふれかえりました。
 そして、幕。お客様がたが、昂揚した気分を身にまとったまま席を立っていかれます。ああ、いい感じです。ホントにいい落語会だった。はじめからトリまで、とりどりの色合いで、とりどりにどれも素晴らしく楽しくって。

 「本日は小つると鶴瓶のき楽寄席にご来場くださいまして、まことにありがとうございました…」
 最後の場内アナウンスを終えると、体から力がふぅーーっと抜けていきました。ああ、終わったわぁ…。ほぉっとしたような、少し淋しいような。

 さあ、打ち上げだーい!!地酒と魚のお店『いたる』にて!
 なぁさんの第一声は「終わったぁーーーっ!」でした。いやほんま、ようやったねぇ。やっちゃったよねぇ。
 「いただきまーーす!」のかけ声とともに飲み干したビールの美味しかったこと!
 北陸の海の幸と美酒をいただきながら、話に花を咲かせます。小つる師匠、宗助さん、鉄瓶さんも一緒に、今日の話・落語の話・お酒の話・そのほかそのほか…。飲み放題の『恵比寿ビール』と『池月純米』がどんどん運ばれ、どんどん空になっていきます。気持ちいいわぁ。


 あっという間に一次会お開き。小つる師匠の音頭で『大阪締め』。

 そして、半分くらいが二次会に流れました。小つる師匠はもぉできあがっておられます。はれーなにしはんのん~。ちなみにこの写真を撮ったのはオットですのに~。
  
  ひとりひとり自己紹介したり、それに宗助さん鉄瓶さんがリアクションしたり、わあわあゆうております…という感じで二次会もふけていきました。ああ本当にお酒が美味しかった!
 準備から打ち上げまで、味わいつくした『小つると鶴瓶のき楽寄席』でした。
 

 素晴らしい熱演を披露してくださった小つる師匠・鶴瓶師匠・宗助さん・鉄瓶さん、そして三味線の勝正子さん。
 常軌を逸した情熱でこの会を実現させちゃった席亭なぁさん。そしてスタッフの皆さん。
 手伝ってくれたキモノ友達。
 そしてなにより、会場に足を運び、笑いと拍手でもりあげてくださったお客様たち。
 すべてのひとびとに、心からありがとうと言いたい気持ちです。

 
 とっても緊張したけど、愉しかったですお茶子。またやりたいなー。


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6 コメント

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おつかれさまでした。 (may)
2009-05-21 21:24:43
大きな舞台での大役、お疲れ様でした。
本当に楽しくていい会でした。
いい雰囲気だったね~。
打ち上げも参加させていただいてありがとう。
それにしても毎度
師匠の落語を聴くために遠征している私って
名古屋辺りで定例の会が開かれたらいいのになあ・・・
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ありがとう! ()
2009-05-21 21:57:42
>mayさん
 今回の参加者では、mayさんがいちばん早起きして金沢に向かってくださったのよね。遠いのに、お手伝いしてくださってどうもありがとう!はじける笑顔が、とっても嬉しかったです。

 こっち方面ではなかなか小つる師匠に出会えないのよね。おっかけもたいへんだけど、こっちで会を主催する器量がわたくしには。
 というわけで、これからもおっかけご一緒、お願い奉りますぅ~。
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Unknown (ふちこま)
2009-05-22 06:42:36
大盛況、おめでとう御座います。そしてお疲れさまでした!
地元なのに行けなかった私が、あまりにも悔しいです・・・TT
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次回はぜひ! ()
2009-05-22 07:17:45
>ふちこまさん
 ホント、見ていただけなかったのがとっても残念な、素敵な会でしたのよ。
 『き楽寄席』次は8月1日、そして来年の秋冬にいよいよ襲名披露の会を催します。またご案内いたしますので、よろしかったらいらしてね。

 ふちこまさんご本人はおいでになれなかったけど、作品ちゃんはしっかりわたくしの髪にとまって落語を聴いていましたわよ~。
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ぜひまた (ことり)
2009-05-23 13:54:08
葉さんのおかげで、私も楽しませていただきました。
葉さんのお茶子、可愛かったです!
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また行こう! ()
2009-05-24 00:25:22
>ことりちゃん
 朝早くからのおつきあい&おてつだい、ありがとうございました!
 誘ってよかった!と思えるすっごいいい会でしたね。また行こうねーーー。
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