目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

スターウォーズ エピソードⅢ シスの復讐 ★★★★★

2005-06-27 12:32:34 | ★★★★★
 派手にネタバレするので気をつけてください。



 ジョージ・ルーカス監督のSF映画の金字塔「スターウォーズ」シリーズもついに完結の時がやってきました。時系列的には公開第1作の新たなる希望に続く物語だけに、結末はシリーズのファンは既に知っている、という作品をここまでやりとげたのは稀有なことではないでしょうか。
私は鑑賞1週間前からエピソード4~6、エピソード1、2を鑑賞し予習しました。そして先日の先々行オールナイトでしっかりとこの目に焼き付けてきました。

 正直悲しい気持ちになってしまったこの映画、それもそのはず、これは悲劇の物語だからです。
エピソード4~6は帝国の圧政に苦しむ人々が反乱軍を結成して、皇帝を打ち倒す「正義」の物語でしたが、それに相対するかのようにエピソード1~3は隆盛を極めた共和国が忍び寄る皇帝の陰謀によって徐々にその姿を失い、そしてダース・ベイダーを生み出す「邪悪」の物語なのです。正義が負けて、悪が勝利する映画を見て気分がいい人はおそらく暗黒面に見入られた人だけで、大半の鑑賞客は同じように悲しい気持ちになったに違いありません。なぜなら、エピソード1で純粋無垢な9歳の少年だったアナキンが強大な素養を抱えて傲慢になり、ついにはその自らの憎悪によって破滅への道に転落してしまうわけですから。その流れを知っていれば涙を流さずにはいられないはずです。

 もちろん6作も続く作品ですから前5作の鑑賞は必須です。
彼氏が行くからデートがてらにアタシもついていく♪なんていうお気楽娯楽大作ではないのです!
まだ前5作を見ていない方は必ず見てからこの作品を見なければお話なんてさっぱりわかりません。
なぜかといえば、今まで張ってきた伏線の数々を回収する作品でもあるためです。
「クワイ・ガン・ジン?誰だっけ?」ではこの作品は全く楽しめないのです。
チューバッカやC-3POのメモリー、クワイ・ガン・ジンの永遠に生きる方法、などはまさに旧3部作につながるように作った仕掛けなわけですから。旧3部作を見ていないとルークやレイアの誕生の瞬間など見てもあまり感慨が沸かないような気もします。

 さて、今回の作品はストーリーとしても悲劇ですが、それ以上に戦いが多い作品でもあります。
ここまでライト・セーバーでの戦闘が多いとはちょっと嬉しい展開ではありました。
おもちゃ買いそうになりましたもん(笑)

ドゥークゥーvsアナキン
グリーヴァス将軍vsオビ=ワン
皇帝vsメイス・ウィンドウ
アナキンvsオビ=ワン
ヨーダvs皇帝

などなど。これらの戦闘はまさにスターウォーズを締めくくるにふさわしいベストバウトの数々でした。

 余談ですが戦いの様子を見ていると各キャラクターの力関係が非常に拮抗していたことがわかります。
特にメイスの強さは銀河一なのでは?と思わされるほどでした。(余計な横槍がなければ・・・)
ヨーダも別に皇帝に負けるような描写はあまりありませんでしたし。
アナキンは皇帝を超える素養があったのに機械化してダース・ベイダーとなってしまったために皇帝を超えることが出来なくなったとパンフには書いてありました。
後に年老いて、若いルークに敗北するのも当然と言えるかもしれません。

 一番悲しかったのはジェダイたちの哀れな末路でしょうか。次々と殺されていく様は見ていて本当にやりきれませんでした。そして、壊れていくアナキンを見ているのもかなりつらかったです。しかし、シリーズのファンとしてはどんなに悲しい結末だとわかっていても見ないわけにはいかないストーリーだったのです。

まつさんの映画伝導師でも言われていますが、「You are the chosen One!(選ばれし者だったのに!)」はオビ=ワンの苦悩を、ファンの苦悩、悲しみを全て言い表しているといえます。
この新3部作の影の主役とも言えるオビ=ワン、ユアン・マクレガーが熱演しているのですが、かなり旧3部作のオビ=ワンを研究したらしく、確かに喋り方がそっくりでした!これは研究の成果なんでしょうね。

 エピソード1~3は4~6となぞらえて作られているのはファン公認の事実でありますが、
パンフにもルークとアナキンの共通点が数多く挙げられていました。(多少こじつけに感じるところアリ)
こういった点からもルークとアナキンは非常に似た存在でありながら道を違えたと言えるかもしれません。
皇帝の眼前でライトセーバーの刃を交わらせるシーンやダークサイドへの執拗な誘惑はアナキンもその息子ルークも経験しますが、最終的にアナキンは皇帝を助け(パドメを助けるためではありますが)ルークは皇帝への刃を捨ててダークサイドへの誘惑を断ち切りました。こういった作劇はまさに自家引用というやつですが、お見事としか言いようがないですね。右腕を切られたり、お姫様を助けたり。緻密で計算されつくした描写はエピソード3でついにカタチを成しました。1と2の2倍は楽しめるはずです。

 それくらいこの作品は冒頭の宇宙での戦闘シーンからダレることなく走りつづけます、ダークサイドへ。
1と2で張ってきた伏線やアナキンの危険な兆候ですが、3において劇的に一瞬でまさに「転落」するかのように暗黒面へと落ちていきます。そして一度転落しジェダイの道へと「帰還」するのに20年以上の月日を要するのです。20年以上続いてきた偉大なサーガの終幕、これを見ずして映画は語れない、そんな作品になっているように私は思います。

シリーズのファンは必見、ファンでなくても旧3部作、1、2を見てから映画館に行くべきです。
CGや音響、視覚効果も素晴らしい、の一言、DVDを待つだなんてナンセンスですよ。



追記になりますが、この先々行上映、私は50を過ぎた父と共に行きました。

私はまだ20代なので父は私が生まれる前にスターウォーズを見たことになります。

そして父は未だにSFモノは好きでよくDVDを購入して見ていますが、

もう長らく映画館には行っていなかったそうです。

(理由については「いま、会いにゆきます」の記事参照)

しかし、今回私が見に行くのに珍しく着いてきて二人ではじめて映画館に行きました。

父と映画館には一生行くことはないだろうとまで思っていましたから、嬉しかったです。

そうなんです。

20数年の月日を越えて親子が楽しめる超大作なんて今まで

「スターウォーズ」くらいしかないんじゃないでしょうか?

新3部作は結構ファンにはウケが良くないようですけど、

私はそういう機会を与えてくれたこの作品に対してとても素直に感謝の気持ちを

言いたいと思います。

そして、とても「面白かった」と私は思います。

スターウォーズ、この夏、親子で見に行ってはいかがでしょうか?

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2 コメント

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素晴らしいです~ (chishi)
2005-07-05 23:47:56
もう既にストーリーがバレているのに

こんな風に描ききれるなんて!

そして親子で楽しめるなんて!



やっぱりスゴイ作品ってことですね~♪
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私も~ (kaoritaly)
2005-07-09 09:07:44
お父さんと行きましたよ。



でも私はお父さんにEP6を、オールナイトなんてものに連れて行ってもらったくらいだし、EP2も実は一緒に行ったんです。お母さんは寝てましたけど^^;



こうして家族でみれるっていいですね。



オビ=ワンのユアン、似てるよな~って思いましたよ。昨日見たEP2はやっぱりまだ若くて・・EP3の演技が素晴らしかったと思ってます。それはアナキンのへイデンも同じくで・・少年からオトナになっていてカッコよかったです。

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