目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

シン・エヴァンゲリオン ★★★★★

2022-08-17 21:44:33 | ★★★★★
映画 シン・エヴァンゲリオン 劇場版
なるほどなあ、と納得。今作は相当わかりやすかった。解説や考察をあれこれ、一通り読むと解釈が人によって違うのがよくわかる。映像からしか判断できないことも多いものなあ…でもこれで長い長い長い「もやもや」が晴れて少し寂しいながらも一区切りついた感じがする。それにしてもついにちゃんと向き合ったのか、という気はする。Qからどう続けるのか気になってたけど、きちんとQの落とし前をつけつつ、長らく気になっていたことにようやく向き合った。
具体的には碇シンジというよりはゲンドウ側の話にフォーカスしたのが良かったのだと思う。子による父殺しの物語というのはありふれてるからか、展開としては父殺しでもないところは今風なのかもしれない。

鬱展開の後、ラスト2話で謎な展開が続いたTV版最終回。
その後の期待された旧劇場版でも結局は視聴者が観たかったものではない謎展開で観客はみんな置き去りになってしまった。
思わせぶりな謎や難解設定ワードを数多く作り上げつつ、新劇場版も完結まで足掛け14年?も掛かってしまった。25年前、TVアニメ版を観ていた時、わたしはそれこそ中学生だったが、今では子どものいるいい歳したおっさんになってしまった。
毎度毎度気になっていたのが、碇ゲンドウや冬月、ゼーレの面々の目的やその手段の謎具合が激しく、旧劇場版では碇ゲンドウは「ユイと出会う」という目的を達成するも、LCL化してしまい、息子であるシンジとの間の距離は縮まらないままに終わってしまっていた。そもそも、エヴァンゲリオン という作品世界では父親は常に息子への理解が無く、息子を突き放す存在として描かれてきた。そのことそのものが、シンジの中の空虚感にも繋がってきたし、「父親に認められたくてエヴァに乗る」というシンジの動機を物語として生み出してきた。
そんなずーっと距離しか描かれてこなかったゲンドウとシンジは今作では対話を通じて両者の「理解」は進んでいるとも言える。そしてこれこそが、エヴァンゲリオン に不足していた物語ではあったのだと思う。
日本のアニメでは例えば、ガンダムでも父親は殆どいつも理解が無いことが多かったとは思うが…(アムロにはテム・レイが居たが、アムロの良き理解者というわけでも無かった) ジブリアニメなどでも父親が肯定的に描かれることはあまり無かったように思う。昔のアニメだと巨人の星での星一徹のような極端な例もあるが、時代とともに父と息子の在り方も変わってきている。
ゲンドウの場合、今作では明確にほぼ全ての心情を明言して吐露しているため、大変わかりやすい。ユイに恋に落ちるまで、そして、その後の葛藤も含め、細かく描かれている。そして、その葛藤や迷いがシンジを遠ざけた理由であることも語られる。


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