目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

ウルフオブウォールストリート ★★★★

2014-02-02 13:11:15 | ★★★★
ウルフオブウォールストリート

上大岡TOHOシネマズで鑑賞。

(以下概要とあらすじ)
実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの回想録を映画化した実録ドラマ。1980年代から1990年代のウォール街で、若くして大金を稼ぎ、その後証券詐欺の容疑で逮捕された彼の栄枯盛衰を見つめていく。監督と主演は『ディパーテッド』『シャッター アイランド』などでコンビを組んできた、マーティン・スコセッシとレオナルド・ディカプリオ。事実とは思えないほどのジョーダンのエピソードもさることながら、ジョナ・ヒルやマシュー・マコノヒーら、実力派の共演にも注目。

学歴や人脈もないまま、22歳でウォール街の投資銀行で働きだしたジョーダン・ベルフォート(レオナルド・ディカプリオ)。巧みな話術で人々の心を瞬く間につかみ、斬新なアイデアを次々と繰り出しては業績を上げ、猛烈なスピードで成り上がっていく。そして26歳で証券会社を設立し、約49億円もの年収を得るまでに。富と名声を一気に手に入れ、ウォール街のウルフという異名で呼ばれるようになった彼は、浪費の限りを尽くして世間の話題を集めていく。しかし、その先には思いがけない転落が待ち受けていた。
(以上シネマトゥデイより引用)


これは面白い!上映時間は3時間ととても長丁場なのだけどそんなことを感じさせないくらいには豪華な映像と目まぐるしい成功と没落のストーリーです。

ディカプリオが好きー!っていう人でなくても十分楽しめますが、金と女とドラッグの話ですし、ボカシが登場するシーンもいくつもありますので、そういうのがあまり好きではない人にはオススメ出来ない作品と言えるかと思います。間違っても子どもとは観ないように…


ネタバレします!





一体3時間の間に何回fuck!とかfuck'nとか聞いたか数え切れませんが、本当になんというか、狂乱の世界を垣間見た気分です。こういった展開で見せられると、人というのは良いところもあれば悪いところもあり、単純に世界は善人悪人だけでは語れないな、と感じます。FBIの捜査官ですら、別に完全な正義のために仕事をしているわけではないことは作中の会話劇を見ていればわかります。




二番目の妻ナオミを演じるマーゴット・ロビーは本当にすごいキャスティングですよね。この映画、他にはモブでしか美女が出てこないため、より一層、彼女が美しく感じられ、その隙の無い美しさに見惚れます。いきなり脱いで、ジョーダンを誘惑するところなんかは本当にこれでノックアウトされない男性など居ないだろうといった雰囲気です。





面白いなあ、と思ったのは、そんな彼女とのハネムーンから18ヶ月後、子どもも生まれるとすっかり倦怠期に突入しちゃってるところなんかですかね。どんな夫婦関係にもある展開なのでしょうけど、それにしてもハネムーンまであんなに美しく見えてた彼女が段々冷たくなって心が離れて行くとそこまで魅力的ではなくなっていくのも面白いなあ、と感じます。

ジョーダンの最初の妻とのくだりもなかなか面白かったですね。彼の転機である求職活動で株屋を継続させるのも、ペニー株のターゲットをエリート層に絞らせて大金持ちからの収入を格段に増やしていくのも、助言を与えてるのは最初の妻なんですよね。ナオミは結局、ジョーダンの人生にあまりインパクトを与えているようには見えずそこもまた面白い描き分けだと感じました。

ディカプリオについてはやはりこの映画の中ではオーバードーズのくだりが最も目を引き笑えるシーンとなっていると思います。階段を転がりランボルギーニをボロボロにしてしまう流れなんかは本当に笑えます。船を沈めてしまうシーンもまた笑えます。乱痴気騒ぎしてるシーンはいずれも凄まじいもので社内でSEX…なんてのも普通に出てきます。

また脇役がみんな、くせ者しかいないのですが、ジョナ・ヒルは最初の従姉妹のくだりから、かなり笑わせてくれます。どこかで見たことあるなあと思ってたらマネーボールにも出てたんですね。彼はまだ30歳なのに、こんなに出演作品に恵まれてるとは…。


さて、この作品、殆どドラッグと女のシーンで狂乱的なシーンが多いのですが、金融詐欺については割とサラッと触れており、しかもそれで被害に実際に遭った人たちは徹頭徹尾描いていないのであまり、ジョーダン・ベルフォートという人がおこなった事の是非を問う感じになりませんが、
http://m.jp.wsj.com/articles/SB10001424052702304299204579281484100002764?mg=reno64-wsj

この辺りの記事を読むといかに被害に遭った人が多く、また、ジョーダン氏が映画ラストのモチベーショナルスピーカーになるに至る経緯の側面が見えてくるかと思います。

またこの記事あたりでもオリバー・ストーンの「ウォール街」との比較論が出てきますが、まあ、映画としての面白さはウォール街の方が遥かに上でしょう。教訓にも満ちています。あまり、ジョーダンはIPO詐欺などへの良心の呵責で苦悩したりするシーンもないですしね。
http://app.f.m-cocolog.jp/t/typecast/1318823/1335849/92352038


それにしても、この映画を通じてジョーダンの半生を観ていると、金も名声もドラッグも全て手に入れたとしても「それでも手に入れられない何か」を感じざるを得ませんでした。結局、彼には平凡な人生や日常が訪れることは無いですし、それをとても強く毛嫌いしてる、といった印象を受けました。
ウルフオブウォールストリートにはウォール街ほどの批判精神や志はありませんが、贅の限りを尽くした映像はそれなりに面白く、是非はともかくとしても楽しめる作品にはなっていたと思います。


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