目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

宇宙戦争 ★★★★

2005-07-03 12:32:31 | ★★★★
スティーヴン・スピルバーグ監督最新作、H・Gウェルズの小説を元にしたSF映画のリメイク、見てきました。

トム・クルーズ、ダコタ・ファニング主演のこの映画、終盤まではほんとに楽しめました。
大風呂敷は広げれば広げるほど畳むのが大変です。この映画は丁寧に丁寧に広げるだけ広げておいて、畳むときは二つ折くらいの乱暴な畳み方でした(^-^;期待しながら見ていた方は見終わったときに「それだけ!?」と席から滑り落ちそうになるかもしれません。そのせいで人によっては大変低い評価をしかねないです。

毎度毎度「インデペンデンス・デイ」のようなハリウッド的アメリカ空軍礼賛映画を批判していながらどうかと思いますが、批判しながらもそういった展開に慣れ過ぎてしまったんでしょうか。こういう予想外の結末には肩透かしを喰らったような気になってしまいました…。

さて、では何が面白かったかというと宇宙人登場の余兆から全体的に充分面白かったんです。ダメなのは結末だけですね。

私がいつも映画を見る前に参考にしている「前田有一の超映画批評」では満足度35点で「今週のダメダメ」に指定されており、初日に見に行ったある先輩からも「見る価値なし」との烙印を押されて見に行こうか大変悩みました。

私が思うに、楽しめなかった方も見方を変えればきっと楽しめたように思います。
つまりこの映画は「巻き込まれ型のパニックムービー」であり、人類は一方的になぶられる存在でしかありません。
前田有一氏は「インデペンデンス・デイの方が余程面白い」と評されていますがそれは当然なんです。
「インデペンデンス・デイ」や「アルマゲドン」や「ザ・コア」と「デイ・アフタートゥモロー」や「ディープインパクト」は楽しみ方が全く違う映画です。

「デイ・アフタートゥモロー」に「アルマゲドン」のような展開を期待しても失望しかありません。
「アルマゲドン」や「インデペンデンス・デイ」は迫り来る未知の強大な驚異を人類の愛と勇気と叡知でクリアする映画で主人公はたいてい大統領や勇敢な戦闘機乗り、英雄であり、観客はそこに非日常的な体験や憧れを投影し、最後には驚異を打ち倒す快感を共に味わいます。

「デイ・アフタートゥモロー」は迫り来る強大な驚異に成す術もなく人類が痛め付けられる映画であり主人公はただの一般市民(=観客)に近いです。観客は有り得ない非日常に巻き込まれ、主人公に感情移入しハラハラドキドキします。最後には生還する達成感こそありますが、根本的な驚異の消滅に主人公の尽力はほとんどありません。(この両者を劇場宣伝の際に区別するのは簡単なハズですがたまに判別が難しいわけです。今回のように公開前の情報に乏しければ尚更のことです。)

当然のことですが、期待するものが裏切られれば当然失望しますし、それでは満足感があろうはずもありません。

いつもヒーローやイケメン役の「トム・クルーズが主演」で
いまや「超大作を作れば一億ドルは間違いなしのヒットメーカーのスピルバーグ」がタッグを組んで、
邦題は「宇宙戦争」、とくればやはり観客は勇敢に宇宙人を打ち倒すトム・クルーズを期待してしまうのでしょう。
私も原作小説や過去に作られた作品を未見だったのでかなり期待しましたし、結末を知らない人はみんなそうでしょう。誤解しない人は少ないように思います。

巻き込まれ型パニックムービーにヒーロースペクタクルムービーのような要素を期待して見れば観客は失望しますよね。
パニックムービーとしては「宇宙戦争」はよく出来ています。
パニックムービーならばラストの結末であってもやむを得ない、
と好意的に捉らえることも可能かと思います。
SF映画と言えばSF映画ではありますが、作りがちょっと違うために楽しみ方を間違えれば失敗するでしょう。まだ「宇宙戦争」を未見の方は必ずこの点に留意して見に行くことをお勧めします。

音楽は素晴らしい。
宇宙人の描き方はやや使い古された感は否めませんが、いわゆる「トライ・ポッド」の驚異はとてもよく描けています。あの音と光が迫ってくる感覚は劇場だからこそ味わえるものだと思います。


ダコタ・ファニングはちょっとキテますね。
こんな子役、恐すぎ!こんな子供いないですよね。
真顔だったり、キャーキャー言うシーンは本気で恐かった…。
可愛い顔して末恐ろしい子役です。
彼女の叫びっぷりを見ているだけでも充分お腹いっぱいかもしれません。

トム・クルーズは全編父親役で通していて役者としての表現の幅を広げようとしているのでしょうかね。
でもやはり私ももっとカッコイイ役がよかったなあ、と思います。
ティム・ロビンスはとても人間の狂気を演じきっているように感じました。

パニックムービーということもあり、人間の様々な部分を「宇宙人の侵略」という非日常の中で描くわけですが、群衆がトム・クルーズらが乗る車に群がり、奪われる一連のシーンは正にこの映画における一種のメッセージを感じました。実は宇宙人も地球人も同じくらい恐ろしい存在なのかもしれませんね。

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2 コメント

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同感です。 (gou)
2005-07-30 19:50:07
そうです。そうなのです。

あなたは私の代弁者です。

すばらしいです。

友達と観に行ったのですが、

友達はいまいちだっといっていました。

自分はもう一度観たいくらいです。スターウォーズ、バットマンビギンズもよかったはよかったのですが、もう一度観たいものはと聞かれると「宇宙戦争」と答えてしまいます。

あのはらはら、どきどき感、「パルプ・フィクション」以来です。確かに終わり方がこれ?的なくらいで、あとは最高のできではなかったでしょか。・・・だから非常にもったいない。似た作品の中ではやはりこの映画は群を抜いていると自分は思うのですが。

宇宙戦争、DVDでたら絶対に買います。

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コメントありがとうございました☆ (kiki@管理人)
2005-08-06 11:08:05
>gouさん



コメントありがとうございます★

いやー同感の方がいらっしゃって私はとても嬉しいです。

宇宙戦争、なかなか必見の出来だったにも関わらず、

いまいちヒットに繋がらない様子なのは残念ですわ。

DVDでももう一回見直したいです、私も。
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