目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

Barbie ★★★★

2024-01-14 16:35:46 | ★★★★
Barbie
サンフランシスコからの帰りの飛行機で鑑賞。バービーはマテル社のおもちゃなわけですが、そんなバービーがおもちゃの世界バービーの世界であるバービーランドから実際の現実世界、リアルワールドに飛び出してきた、というお話です。
おもちゃの世界、ということで最初からなかなか飛ばしてきますが、設定を理解するにはそんなに時間はかかりません。バービー人形やリカちゃん人形で遊んだことがない人たちは殆どいないわけですから。(大きな手の話もなかなか面白い)
バービー人形について詳しければ、より楽しめる作品になっています。日本にはリカちゃん人形があるため、バービーはそこまで人気ではないかもしれませんが、それでもおおよそ、キャラクター性は類推できるようになっています。(そういえば、リカちゃんの場合、ボーイフレンドは確かイサムくんか何かでかなりジャニーズっぽいイケメンだったけど、バービーの場合のケンがイケメン白人金髪マッチョなのはやっぱりお国柄なんでしょうねえ。)

そんなバービー人形の世界では全てが完璧で、様々なver.のバービーたちが無害なケンたちと楽しく暮らしています。
そこからひょんなことから人間世界に行く羽目になるある「標準的なバービー人形」の話です。

「女性の女性性」というものについて深く考えさせられるような展開が後半に待ち受けるわけですが、前半は楽しげな話が続きます。
バービー人形は元々、子どもたちに好かれるために作り上げられた八頭身の金髪女性の人形なわけで、それは冒頭に説明があります。最序盤は一体自分は何を観てるんだろうなあと思わないでもないですが、後半に至るとそれが全てきちんと伏線になっているという優れた脚本、そして配役です。
マーゴッド・ロビーと言うと、私はディカプリオと共演した作品を思い出すのですが、彼女が圧倒的なブロンド美人であることがこの作品をこの作品たらしめています。(それはなんと作中でメタ的なナレーションでも言及があります)

概ね、ある時、子どもたちは人形遊びをしなくなります。それが楽しいのは年齢が小さい時だけです。バービーたちにとっては受け入れ難い事実です。そんな存在意義に関わる話はさっさと済ませてお話はだんだん思わぬ方向に転がり始めます。

女性が社会的役割として古来から要求されてきた「典型的な女性的であること」を喜んでやっているのか、それともそれは洗脳なのか、押し付けなのか、それとも文化なのか?そんなことを考えさせる展開が待ち受けています。「普通のバービー」はまさにそんな、典型的なあっけらかんとしたノー天気な女性キャラクターを物語冒頭には演じていますが、根本から揺るがされる展開に至り、一度はひどく落ち込みます。

そこから立ち直っていく様が大変興味深いエモーショナルなものでした。現代の女性が置かれている立場は非常に難しいものです。働いている人、主婦、子育てをしている人、母親、娘、大統領、科学者、いろんな立場を合わせ持つことになります。その時々に応じていろんな役割を果たすのはとても骨が折れます。投げ出したくなる時もあるけれど、それぞれが自立した女性でいようとする、それが美しいのだ、という人間讃歌なのかなと思いました。



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