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Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

バトンパスの常識を疑う 2

2010-09-07 23:28:16 | 体育

 右手でバトンを受ける場合は,フィールドに背を向けているために,インコースが空いたときに容易に詰めることができない。
 視野に入らないために,インコースが空いていることに気づかない場合もある。

 背を向けていてどれぐらいのスペースが空いているか把握しきれないため,不用意に間隔を詰め過ぎて他の走者と接触しやすくなってしまう。

 一方,左手でバトンを受ける場合は,フィールド側に体が向いている。
 その結果,インコースが空いていることに気づくので,内側に詰めていくことができる。

 更に,右手を伸ばしてインコースの人をブロックすることにより,自分が走るスペースを確保しやすいという利点も生じる。
 他の走者と接触する可能性は減る。



 右手でバトンを受け,左手に持ち替えて走る従来の方法は,コーナーを走りやすいだろうか。

 コーナーを走る際は,遠心力に逆らうために内側に体を傾け,左腕よりも右腕を大きく振ることとなる。
 右腕を大きく振るためには,バトンを右に持った方がよいのか,左に持った方がよいのか。
 私は右手の方がよいような気がするのですが,どうだろうか。
 バトンを持つということは,その分だけ腕が長くなるということである。長くなった腕を大きく振る方が自然のように思う。

 ちなみに4×100mリレーの場合は,カーブを走る第1走者,第3走者は右手にバトンを持っている。
 ただ,それは第2走者,第4走者が直線を走る際にレーンの外側を走ることが大きく関連している。



 バトンパスの際,前走者は相当疲れている。
 疲れと遠心力のためにカーブで膨らみがちになる。

 左手でバトンを渡す場合は,相手の右手に渡すために,ただでさえ膨らみがちであるのに更に自分の体の分を外側に走ってバトンを渡さなければならない。
 結果的に走る距離が長くなる。

 右手でバトンを渡す場合は,自分の体の分だけ内側に寄って走るので,走る距離は短くて済むということになる。



 バトンをパスしたあと,前走者がどこに抜けていくかという問題がある。
 
 従来のバトンパスだと,右側に抜けていくことになる。
 すると,外側にいる後続の走者の妨害になりやすい。

 一方,左手でバトンを受ける方法だと,バトンパスのあと左側に抜けて,すぐにフィールドに入れる。
 コーナートップであるから,左側には走者はいないはずである。
 したがって,後続の走者との接触はない。





バトンパスの常識を疑う 1

2010-09-06 00:25:18 | 体育
 通常の体育の授業で,バトンパスをどのように指導しているだろうか。
 一般的には次のような指導がされている。

「右手でバトンをもらい,その後左手に持ち替えて走る」

 私が子どもの頃もこのように指導されてきたし,教師になってからもこのように指導してきた。体育の準教科書でも,このように書かれている。
 常識といってもよいほど浸透している。
 しかし,これは本当に有効なのだろうか。


 右手でバトンを受けるためには,フィールドに背を向けて待つことになる。
 そうすると,レースの様子を把握するためには,首の向きを変えなければならない。視線が途中で遮断されることになる。

 校庭のトラックで走る場合には,カーブが終わるとすぐにテイクオーバーゾーンになることが多いので,尚更この傾向が強くなる。
 フィールドに背を向けていては,コーナーを回ってくる前走者を捉えにくい。

 常識に反して,左手でバトンを受けるようにした場合はどうなるだろうか。
 フィールド側に体を向けて待つことになる。
 内側に体を向けていれば,レースの様子が把握しやすい。
 コーナーを回ってくる前走者をとらえやすいので,スタートが容易になる。

体育授業のユニバーサルデザイン

2010-08-05 23:35:05 | 体育
 7月26日,「TOSS体育全国セミナー」に参加した。
 今回のテーマは,「特別支援に対応する体育授業の提案!」である。いわば「体育授業のユニバーサルデザイン」の提案である。

 合計17本の模擬授業から見えた「体育授業のユニバーサルデザイン」のキーワードを,自分なりにまとめてみた。

1 示範する

 示範することによって,目で見てわかるようになる。動きのイメージをつかませることができる。
 よくわからなくても,真似していくことで授業に参加できる。


2 視覚的に伝える

 ビブスではっきりとチーム分けをする。
 コーンやラインなどで並ぶ場所をはっきりと示す。
 順番がはっきりするようにする。


3 言葉を削る

 あれこれ説明してはいけない。
 そのためにも実際に動きで見せることが大切になる。


4 見通しを持たせる

 全体像を示したあとに活動に入る。
 1つの活動は短く区切る。部分に分けて指導する。
 何をしていいのか分からない,いつまで続くのか分からないのでは,見通しが持ちにくい。不安になり,飽きてしまう。


5 一時一事での指示や説明

 一時一事の原則に従って,短く端的に伝えていく。
 

6 変化のある繰り返し
7 スモールステップ


 ルールを簡易化するなどし,易から難へとステップを踏んでいくようにする。
 そして,少しずつ変化をつけていくようにする。


8 リズム言葉
 言葉で動きの原理を説明するのではなく,リズム言葉,イメージ言葉で伝えていく。


9 エラーレス

 誰でもできる簡単なことから始める。
 誰でも得点したり,達成感を得たりできるよう,用具やルールを工夫する。


10 温かい雰囲気づくり

 教師からはもちろんのこと,仲間からも温かい言葉を掛けていく。
 親和的な雰囲気の中で学習が進められるようにしていく。

体育授業の改善による運動感覚づくり

2010-07-22 23:07:28 | 体育
 本日,勤務校で学校保健委員会が行われた。
 勤務校の学校保健委員会は,校長,教頭,教務主任,保健主事,養護教諭,給食主任,栄養士,体育主任,学校医,PTA役員,そして全職員と希望する保護者が参加する。
 これまで私がいた学校では,全職員が参加したり,保護者に公開したりするなどということはなかった。職員の研修を兼ねているとのことである。

 私は体育主任の立場から,体力・運動能力調査の結果と,体力向上のための手立てについて述べた。

 体力向上のために私たちができることは,まず何といっても体育授業の工夫である。
 経験が不足している子どもたちが多いのであるから,体育の授業の中で様々な動きづくりをしていくことが大切である。

 そこで私が提案し,先生方にお願いしたのは,体育の時間で毎回,10~15分の運動感覚を養う活動を取り入れてほしいということである。

 毎時間,準備運動的に帯単元として取り組むことによって,運動の基礎感覚が身についていく。
 体育係の子どもたちが前に出て,ストレッチなどの準備運動を行っているクラスを目にする。それはそれでいいが,そのあとに教師主導での多様な動きづくりを行っていってほしい。

 運動感覚としては,リズム感覚,腕支持感覚,逆さ感覚,投感覚,平衡感覚を取り入れたプログラムを提案した。

 このプログラムを行えば,すぐに体力が向上し,動きがよくなるというものではない。すぐに体力・運動能力調査に結果が反映されるというわけではない。

 もとにしたのは福島県教育委員会の制作した「運動身体づくりプログラム」と,私のTOSS体育などからの学びである。

 全職員がいる前で提案したのだから,実行されていく可能性は大きい。
 ただ,今回は運動プログラムを記した文書のみでの提案であったため,まだイメージできていない先生もいる。
 福島県教育委員会の制作したDVDがあるので,今後映像も紹介し,誰もが取り組めるようにしていきたい。

短なわ スキップ跳び 2

2010-07-18 12:48:15 | 体育
 太田昌秀氏のスキップ跳びの指導の手順は次の通りである。
 
 「足を前後に開いて立ち,ゆっくりその場跳びをしなさい」

 なわを持たないで,足の動きを練習する。
 「トン・トン・トン・トン」とリズミカルに行うことと,足の裏全体を床につけて行うことに留意する。

 「足を前後に交互させながら,その場跳びをしなさい」
 
 リズムが上手にとれるようになるまで練習する。

 「そのまま前に移動しなさい」

 「スキップ跳びをしなさい」という指示をしなくても,足の交互のリズムがいつの間にか「トトーン・トトーン」とスキップのリズムに変わり,スキップ跳びとなる。

 「ももを高く上げなさい」

 慣れてきたら前に出す足を高く引き上げるようにしていく。
 

 スキップ跳びのバリエーションとして,宍戸威之氏は次のものを挙げている。

(1)後ろスキップ跳び
(2)あやスキップ跳び
(3)交差スキップ跳び
(4)なわ1本での2人跳び
(5)なわ2本での2人跳び
(6)なわ3本での3人跳び
(7)音楽に合わせてスキップ跳び

 これらを学習カードにして示せば,できた子の次の課題も明らかになり,授業のシステム化ができる。

【参考文献】
『楽しい体育の授業』2000年11月号石橋健一郎氏論文
同2001年2月号渡辺喜男氏論文
同2003年12月号寺本聡氏論文
同2006年11月号宍戸威之氏論文

短なわ スキップ跳び 1

2010-07-17 12:44:34 | 体育
 短なわのスキップ跳びに至るまでの指導の手順について,寺本聡氏は次のようにいう。

(1)なわ無しスキップ
(2)両足1回旋2跳躍跳び
(3)片足1回旋2跳躍跳び(左右)
(4)片足交互1回旋2跳躍跳び
(5)片足交互1回旋2跳躍跳びで前に移動する
(6)移動を「大きく」して行う
(7)移動の時のリズムを「トーント・トーント」で行う
 
 ポイントとして「大きく」ということを挙げている。この「大きく」の要素として,

(1)なわを大きく回す
(2)前への移動を大きく行う
(3)上方への動きを大きくする

の3つを挙げている。

 上越教育大学教授の太田昌秀氏は,

 なわの回旋スピードはいつも等速で回転しているのではなく,ジャンプしているときはフルスピードでなわが回旋し,足が地面についている間はブレーキが掛かり,ゆっくりと回旋している。これは,回旋技術の中で最も大切であり,なわを速く回すことのみに注目するのではなく,なわをゆっくりと回す練習も大切である。

と述べている。

 この点が寺本氏のいう「なわを大きく回す」「前への移動を大きく行う」のポイントにつながっていく。

 練習法としては「なわとび走」がある。
 なわとびをしながら走れば,1回旋の中で2歩,3歩と走るために自然とブレーキが掛かる。リレー化していくと,楽しみながら技能が身についていく。

 次に「ケンケン跳び走」である。
 足は左右好きなところで変えてよいし,2歩ずつ入れ替えるようにしてもよい。やっているうちにスキップ跳びになる子が出てくる。この動きによって「上方への動きを大きくする」というポイントに触れることになる。

3年 浮く・泳ぐ運動

2010-07-06 23:25:37 | 体育
 第3学年の体育で「浮く・泳ぐ運動」の指導を行っている。
 「水遊び」の段階から水泳に移行していく時期である。
 そのため,水遊び的な内容も交えて指導している。

 今のところ,概ね次のような流れである。

(1)プールサイドに腰掛けて,脚バシャバシャ20回。
(2)体に水を20回掛ける。
(3)手で水をすくって顔洗い20回。
(4)隣の人の顔に20回水を掛ける。
(5)入水し,大股で向こう岸まで歩く。すれ違ったときに,お辞儀をして(顔を水につけて)「こんにちは」とあいさつする。
(6)すれ違った人に水を掛ける。
(7)バブリング10秒×5回
(8)ボビング20回
(9)2人組でじゃんけんおんぶ10歩。
(10)じゃんけんをしてスーパーマンのマント(おんぶで足をブラブラ)
(11)じゃんけんをして股くぐり
(12)少し離れて股くぐり
(13)だるま浮き10秒
(14)壁を蹴ってけ伸び(3本目のラインを目標に)
(15)底を蹴ってけ伸び(ラインから壁に向かって)
(16)バタ足(4本目のラインを目標に)
(17)面かぶりクロール
(18)呼吸しながらのクロール


 厳密には区分できないものもあるが,(1)~(12)までが水遊びの内容,(13)~(15)までが浮く運動,(16)~(18)までが泳ぐ運動の内容といえる。

 習熟度別のコースに分けるのではなく,3クラス合同での一斉指導で行っている。
 若干名水慣れが必要な児童がいるが,その子たちを他の先生が個別指導している。

 今日で,今年度6回目の指導であったが,多くの子が(17)までついてきている(自己流の「なんちゃってクロール」のような子も多いが…)。

 1つ1つの運動についての指導はしていない。考え方としては向山型水泳指導に近い。
 「やっているうちにできるようになる」「真似しているうちにできるようになる」というものである。

 今のところ,発問は1つだけである。
 「バタ足のとき,膝は曲げたほうがよいか,伸ばした方がよいか」というものである。
 挙手して予想させ,実際に泳いで比較させた。
 曲げたときは4本目のラインを越えたのが10名だったのに対し,伸ばしたときは31名がラインを越えた。
 このことから,バタ足の際は膝を伸ばすとよいことに気づかせていった。

 向山型指導を基本線としながら,発問も入れて知的な体育授業にしていきたい。

ダブルダッチの模擬授業

2010-04-19 00:00:58 | 体育
 TOSSデーでダブルダッチの模擬授業を行いました。
 
 子ども相手の授業はしたことがあるのですが,模擬授業は初めてでした。
 しかも,事前に検討しておらず,ぶっつけ本番です。
 
 ダブルダッチが簡単にできるという衝撃を受けたのは,2006年の「TOSS体育全国セミナー」で富山県の表克昌先生の授業を見てからです。

 ダブルダッチは,サークルのメンバーが模擬授業を行っていますし,杜の都セミナーでも根本先生が行っています。

 今回は私が最初に見て衝撃が大きかった,表先生の授業を参考にして組み立てました。


1 遮断機
 ・縄が上がったら,その下をくぐり抜けます。

2 かぶり縄くぐり抜け
 ・かぶり縄を走り抜けます。

3 逆遮断機
 ・縄が下がったら,それを跳び越えていきます。

4 三角跳び
 ・三角にゆっくり回します。向かってくる縄を跳びなさい。

5 迎え縄1回跳び
 ・迎え縄で跳びます。
 ・どのタイミングで縄に入ったらよいでしょうか。

6 迎え縄1回跳び(斜めから)
 ・斜めから入って,迎え縄を跳びます。
 ・どの場所で跳んだらよいでしょうか。

7 ダブルダッチ1回跳び
 ・2本回します。手前の黄色い縄だけ見て跳びます。緑の縄は関係ありません。


 結果として,授業に参加した方全員がダブルダッチ1回跳びをクリアーすることができました。

TOSSデー in 宮城 「サークル代表講座」

2010-04-18 22:32:31 | 体育
 本日,旭ヶ丘市民センターにおいて「TOSSデー・サークル代表講座」が行われました。
 私も「体育の授業づくり」の講座を,模擬授業を交えて行いました。
 内容は次の通りです。

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 体育の授業で大切なのは,まずはネタ・教材です。
 どんなネタ・教材で授業をするかということで,授業の盛り上がりが概ね決まるといってもいいです。
 ネタ・教材によって,子どもをひきこんでいきます。
 ネタで7割方決まると思います。

 今日は,このあとダブルダッチの授業を行います。
 大変難しい技だと思われていますが,習熟過程をしっかりと踏まえて指導していけば,みんな跳べるようになり,大変盛り上がります。

 ところが,ネタがよくても,授業がうまくいかない場合があります。

 それは授業を支える土台の部分がしっかりしていないからです。
 ネタを生かすための腕です。
 マネージメントといわれる部分です。
 それが残りの3割です。

 集合,準備や後片付け,話の聞かせ方,ルールやマナーを守るといった学習規律が,しっかりできていると,授業の雰囲気がよくなります。

 私の授業でもそういう場面はありますが,話を聞いていない子がいたり,喧嘩が始まったり,集合がノロノロしていたりすると,授業の雰囲気が悪くなり,余計な説教などで時間がとられてしまい,盛り上がりに欠ける授業になっていきます。

 こういったマネージメントをしっかりとしておくことが,大切です。
 
 学級づくりとも関係が深いです。

 授業参観で体育の授業をするという先生を,私はあまり多く見たことがありません。
 それは,体育の授業をすると,学級の素の姿が丸見えになってしまうからだと思います。授業参観中に,喧嘩など起こったら大変です。

 「材料7分に腕3分」と有田和正先生はいいますが,ネタを生かす3分の腕を身につけることも大切です。

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着陸ゲーム 4

2010-03-03 22:15:02 | 体育
 助走が長くなったことが影響したのか,練習では直線的な動きが多かった。
 高くジャンプするのではなく,水平にジャンプするような感じである。

 そこで,次のように発問した。
 
「高く跳んだほうがよいですか。低い方がよいですか」

 両方試させたあとに聞くと,高く跳んだほうがよいという子が多かった。
 そのほうが着地が安定するという。
 水平に勢いよく飛び出していくと,着地の際に自分の体をうまくコントロールできず,輪に入れなかったり,前につんのめって転んでしまったり,手だけでなく膝も着いてしまったりして0点になってしまう。

 最終ゲームの得点は,何と全チームが8点満点であった。
 先週はほとんどのチームが3点であったことを考えると,大きな向上的変容である(ただ,子どもたちの審査は若干甘く,3秒のカウントが速かったり,輪からすこし出ているのもOKにしたりしていた)。

 実践を通して,次のようなものを概ね身につけられたと思う。

空中で自分の体をうまくコントロールする技能
片足踏み切り→両足踏み切りの技能
助走のリズム感