ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze, 1925年1月18日 - 1995年11月4日)は、フランスの哲学者。元パリ第8大学(ヴァンセンヌ-サン・ドニ)教授。
ドゥルーズは、数学の微分概念を哲学に転用して、差異の哲学を構築し、スコトゥスの存在の一義性(これについては、アラン・バディウのドゥルーズ論に詳しい)という視点から、ヒューム、スピノザ、ベルクソンらの著作を読み解いた。ただし、アラン・ソーカルからは『知の欺瞞』において数学的概念の用い方のいい加減さを批判された(詳しくはソーカル事件を参照)。 また、プルーストやカフカやマゾッホ・サドといった近代文学の読解、画家のフランシス・ベーコン論、映画論(『シネマ1, 2』)などの著作も著している。フーコーとの親交は良く知られ、彼の死後、フーコー論を著す。また、『記号と事件』に「追伸」として収められた「管理社会について」では、「フーコーが近い将来、私たちにのしかかってくると考えていた」ものとして、「管理社会」という概念を提示している。この概念は、監視カメラやデータベースなど、個人情報の大規模な集積を容易にする電子技術の発達との関連から、規律に代わる、個人の管理(コントロール)のための新たなテクノロジーの発展を予期したものである。
精神分析家、ガタリとの共著のなかで、戦争機械、リゾーム、器官なき身体(これは作家、劇作家のアルトーの言葉から発したもの)等の「概念」を次々と創造していった。いまだその概念の可能性のすべては汲み尽くされていないとされる。これらの理論はニーチェ、ベルクソンにその源流を持つ「生成の哲学」とも言うべきもので、日本の思想界にも、大きな影響を及ぼした。浅田彰、中沢新一などのニューアカデミズムは、彼からインスピレーションを得ている。