再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

エネルギー・環境戦略の国民的議論をどう進めるか?

2012-06-24 09:01:08 | コラム
昨年の6月に新しい国のエネルギー・環境政策を決めるべく、「エネルギー・環境会議」なるものが内閣官房・国家戦略室が事務局となり設置された。

それから丸1年が経過して、今週中にもやっとのことで新しいエネルギー・環境戦略の「選択肢」が提示されるようである。

当初の予定では、この選択肢なるものは、今年の春頃に出されることになっていたが、すでに初夏どころか梅雨時真っ最中と2ヶ月程度の遅れとなっている。

このスピード感のなさに、この国の大きな病巣があるように思うが、それはさておき。

この選択肢は、いくつ出てくるか、またどの程度のものが出てくるのか分からないが、これらは最終的な政府決定の前の「国民的議論」というプロセスのためにある。いつものような形骸化したものでないことを祈りたいが、果たしてどうなるか。

そして、その国民的議論の結果として、これも当初予定では今年の夏までには、国としての「革新的エネルギー・環境戦略」を正式決定する段取りとなっている。

昨日の某セミナーにて、この約1年間多数の有識者による前述の「選択肢」作成のための議論のプロセスと概要を聞いた。確かに、さまざまな立場のそれ相応な立派な方々が、膨大な時間を費やして議論した結果であることは理解できた。

しかし、こうした膨大な労力をベースとした選択肢なるものをこれから国民に分かりやすく説明しようとすればするほど、問題の本質に迫るのではなく表層だけしか取り扱えず、なかなか深い議論にはとても到達できそうもないのではないか。

そもそも革新的な戦略立案するためには、エネルギーの受給問題、原子力を含めた電源構成問題、地球温暖化問題、経済成長や産業構造問題などなど、実に多種多様な利害調整や利益相反を克服すべき諸問題が複雑に絡み合っており、またそれぞれに既得権者や反対者が多数おり、こうした中での落とし所(選択肢)を定めるのは並大抵のことではない。

さらに、こうした背景も前提も過程も知識もあまりない国民が、果たして国民的というような総括的な深い議論ができようか。それも1、2ヶ月という短期間で。

では、果たして誰が責任を持って、この国の将来を決める大事な意思決定をしていくのかというと、今の政府や政治家の在り方では、とても無理なのではないかと諦めが先に立つ。

少なくとも選択肢を真剣に議論をして、政府に答申いただいた有識者には、この選択肢についての結果に対する責任感はあまりないだろう。

有識者というのは、大体そうしたものである。

彼らが言うのは、最後は政治や政治家が決めるものだからというのが常套句になるのだろう。しかし、今の政治家諸氏に、いったどのくらいこの問題を重大かつ深刻な国家課題として捉えてくれていると信じて良いのだろうか。

今の国会の様を見ていると、本当に心もとない、というよりも、無力感に襲われる。

結局は両極端ではない、中庸的な結論でお茶を濁すことになるのであろうが、本当にそれでこの国の将来を託せる「革新的エネルギー・環境戦略」となるのであろうか。

当たり障りのない戦略で、果たして厳しい国際競争に勝てるのだろうか。勝てなくても良いのではないかと思っている人も決して少なくないよに思うが。

いずれにしても、こうして市井の片隅で嘆いてばかりいても何も始まらない。

要はこうした現実が今の日本国であることを真正面から受け入れて、その上で自分自身が何を主張し、具体的に何ができるか、そして自分が信じたことを実行に移すため前に進むしかない。

政治や政治家が悪いなどと他責の念に駆られることで、結局自分は何もしないことの言い訳だけはしないようにしたい。

覚悟と実行、そして自立。

これが混迷の時代に求められる生き方であると信じている。