再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

連載企画:FESCO十年の歩みを振返って(4)

2007-06-16 15:17:19 | 連載・FESCO十年

トータルサービス戦略の理想と現実

FESCO創業時の基本的な事業戦略の第一は、トータルサービス戦略であった。

このトータルサービスとは、営業時において「顧客施設の総合ドクター」というポジショニングを取ること。

ESCO事業者は、通常顧客に対して、省エネを中心とした効率的かつ効果的な施設管理上の諸問題の解決方策を企画・提案し、設計・施工をおこない、施工後の管理・運営にも責任をもつ。ここでESCO事業者の提供するのは、個別の省エネ機器ではなく、省エネ効果そのものである。また、「個々の省エネ」から、「施設全体の省エネ」という、できるだけ広い視点で施設全体の浪費体質を改善する、まさに「総合ドクター」なのである。

「FESCOは、『もの』は売りません。削減という『サービス』を売ります」

「貴社の省エネについて、FESCOにすべてお任せください」

これが理想的な営業トークであり、ESCO事業者の目指すべき「ワンストップサービス」である。

さらに、この基本戦略の基となる考え方は、「サービスは『ただ』ではない」という私の信念でもあった。

現実のビジネスにおいては、この戦略を遂行することの最大の壁は、やはりコストであった。「総合ドクター」としての立場を顧客に認めてもらうためには、相当な努力が必要であり、それは時間とコストがかかるものである。

この厚く高い壁については、現状ではFESCOのみならず、まだどのESCO事業者も越えていないであろう。しかし、決して不可能ではなく、この壁を越えることができたESCO事業者こそが、真の勝者となると信じている。

その意味では、闘いはまだ始まったばかりかもしれない。