HAYASHI-NO-KO

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ロマンチストの独り言-1 【序章】

2004-12-31 | 【独り言】
ロマンチストの独り言-1

【序章】
 確かに僕たちの記憶は、自分を中心にした狭い同心円の中でしかない。
考えることも、議論することも、慰め合うことも、大笑いすることも。
日常の大部分は限られた円の中にあったし、それ以上のことを望まなくても、精一杯喜怒哀楽の中にいたし、充実していると思っていた。
特に高校時代の3年間は、その前にあった筈の中学時代の3年間とは比較にならない位に、様々な体験に満ちた日々だった。
その一コマ一コマの全てを、蘇らせることが出来ない程に。
 しかし時としてその断片が、例えばコスモスの花が風に揺れているのを見た時とか、遠く電車の警笛が風に乗って聞こえてきた朝とか、
工事現場で古代の遺跡や生活用品のカケラが見つかったという新聞記事を読んだ時などに蘇ってくる事がある。
それらの脈絡のない断片を、どこかで繋げてみることが出来れば、きっとその頃に戻る入り口が見つかるのだろうか、と考えたりもする。
ただ、人は、独りきりでは生きて来た訳ではないから、多くの断片が例え蘇ったとしても、それは個人的な断片に過ぎず、日々を生きた証拠にはならない気もする。
 しかし、又、こうも思う。
それらの日々に、それらの時間に、共に生きた人々との共通の断片がもし見つかれば、それは正しく生きた証拠になるだろう。
僕はそんな淡い期待を抱きながら、そして又かって「ロマンチスト」と言われ続けた僕自身の、高校時代の断片を可能な限り綴ろうとしている。
人は、必ず何処かに「ロマンチスト」の部分を隠している。
ロマンチストとは、つまり寂しがり屋のことであり、人は皆寂しがり屋である。


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2023.08 に再編した折、手違いで消えてしまった為に、オリジナルテキストからコピー再編し、一部を追記した。
このページには「人丸山東坂」 「G3連」の2章が含まれていたがそれぞれ別の章として分割した。
この一連のエッセイを記すきっかけになった「肥前諫早/春爛漫の花の色」も、古い独り言3の冒頭に含めた。(2023.08.20)
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『古い独り言3 目次2023.08現在

肥前諫早/春爛漫の花の色 

ロマンチストの独り言-1 【序章】
ロマンチストの独り言-2 【みんな、昔は子供だった】
ロマンチストの独り言-3 【幾つかの古い遊び道具など】
ロマンチストの独り言-4 【林小学校のこと】
ロマンチストの独り言-5 【中学生だった頃】
ロマンチストの独り言-6 【山陽電車】 
ロマンチストの独り言-7 【明石公園】
ロマンチストの独り言-8 【人丸山東坂】
ロマンチストの独り言-9 【明石高校校舎鳥瞰図への書き込み】
ロマンチストの独り言-10 【自彊丘周辺】
ロマンチストの独り言-11 【G3連】
ロマンチストの独り言-12 【幸ちゃん】
ロマンチストの独り言-13 【金木犀と沈丁花】
ロマンチストの独り言-14 【古典音楽】
ロマンチストの独り言-15 【新潮文庫/草の花/福永武彦】
ロマンチストの独り言-16 【幾つかの詩】 
ロマンチストの独り言-17 【旅】
ロマンチストの独り言-18 【旅】
ロマンチストの独り言-19 【関西合ワン】
ロマンチストの独り言-20 【恵那山から塩尻・みどり湖まで】 
ロマンチストの独り言-21 【伯耆富士 大山】
ロマンチストの独り言-22 【彼方からの便りに...】
ロマンチストの独り言-23 【邂逅】
ロマンチストの独り言-24 【邂逅 続き】
ロマンチストの独り言-25 【コンコード】
ロマンチストの独り言-26 【秋色山行 爺~針ノ木・蓮華】
ロマンチストの独り言-27 【近所迷惑5プラス1人組 初秋山行 大山~快晴彷徨 出雲大社】
ロマンチストの独り言-28 【季節の花たち】 
ロマンチストの独り言-29 【花ごよみ 目次ぺージへの書き込みの幾つか】
ロマンチストの独り言-30 【星の王子さま】
ロマンチストの独り言-31 【瀧口入道/高山樗牛】第一~第十三
ロマンチストの独り言-31 【瀧口入道/高山樗牛】第十四~第二十五
ロマンチストの独り言-31 【瀧口入道/高山樗牛】第二十六~第三十三 「滝口入道と横笛/神坂次郎」
ロマンチストの独り言-32 夢のやうに 

 

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
林の子さんて...すごい~~~ (こいも)
2018-02-16 18:46:33
林の子さん
『ロマンチストの独り言』
  読ませていただきました。
友との楽しかった日々・・・
ほろ苦い思い出などなど・・・
あっと言う間に 幼い頃…そして青春の日々に戻ってしまいました。
懐かしさで胸がいっぱいになりました。
林の子さんて・・・
素敵な文章を書く作家さん!
素晴らしい写真を撮るカメラマンさん!
それとも植物学者さん!
と~ってもすごい方なのですね。
大変なことにも遭遇して…でも頑張って・・・
切符が出てきて良かったですね~♪
こいもは元気をもらえました。
ありがとうございます(*´▽`*)
これからも頑張りたいと思いました。
すでに何度も読ませていただきましたが
このページ…時折り読みたいと思うのです。
お気に入りに追加させていただきたいのですが
よろしいでしょうか・・・お願いいたしますm(__)m
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お読みいただきましたか。どうぞ。 (林の子)
2018-02-16 21:22:32
人の回顧録なんて読んでも詰まらないでしょうけれど。
震災の後、残していた高校時代までの雑品が一日で壊された物置と一緒に灰燼に帰しました。
残念だとも感じなかったのは、年老いた両親が怪我も無く元気だったからです。
建物は建て直せば何とかなる、消えてしまった雑品類はいずれはゴミだったかも知れない…
そう思った直後に、藤沢に運んでいた段ボールから一枚の切符を見つけ出して
それがきっかけで
一つの文章が出来たこと、そのことに我ながら驚き、延々と綴り始めました。
大昔の記憶が残っていることに驚きましたし、
今では実名で良かったのか?と、自問しています。
ページは1~20まで取りあえずブログの中にコピーしました。
何の脈絡も無く、記憶だけを頼りに綴ったものです。
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