私は今回の旅行の直前にある番組を見ておいて本当に良かったと思っている、いや感謝すらしている
それはイタリアはローマに嫁いだ日本人妻の番組だった。
なんと素晴らしきイタリア人目から鱗だった。
イタリア・・・ローマだけかもしれないが、レストランでウェイターがグラスなどを
ガシャーンと営業中に割るとする・・・そのような場に出くわすと日本では
ほぼ全ての日本人が心の中でブーイングだろう。
それが、かの地ではブラボーで客達は拍手を送るのだそうだ。
嫌味の拍手ではなく「それはラッキーの前触れだよ!」という事らしい。
なんたる発想の逆転
失敗が一瞬にしてポジティヴに変わりだれも非難されないわけだ。
これは「メメントモリ」以来のイタリア人万歳だ
何か良くない事が起きた時にどれだけ助けになる発想だろうかと初イタリア訪問を
前に予習の意味合いで夫にもその番組を見せていたのであった
さてタイムバーック~
素晴らしいTKのラウンジでくつろいでいた我々夫婦。
ファイナルコールのアナウンスなしという事で、何度か電光掲示板を確認した。
次のフライトが8:50発なので7:00になったらメイクをしようと思っていた。
夫もまた一服したいので、早めにゲートに向かいたいと言っていた。
でその7時の少し前に掲示板を見に行くとヴェネチア行きの302番ゲートがオープンと
表示されていた。
かなり早くゲートがあいた事になる。
メイクも終わりそろそろ8時なのでゲートに向かおうと再び掲示板を見に行くと今度は
「closed gate」になっていた
はて???出発時刻まではまだ1時間もあるのにどゆこと????
とにかく急いで302番ゲートに向かう。
その途中、途中、にある掲示板からは、今度は8時台のフライト情報はきれいさっぱり消え去り、
9時台以降のフライト情報のみになった。
ラウンジからそこそこ遠かったな~(ヴェネチア行きゲートはラウンジに入ってから決まったので
事前に302番ゲートの確認はしていなかった)
ノロノロと急げないジジイに「早くしてよ!先に行っているからね」と言って先を急いだ
私の目に飛び込んだのは302番ゲートの前に列をなし機内への案内を今か今かと待っている
アフリカンな人々
その中の数パーセントは民族衣装をまとっていた。
あきらかにヴェネチアに行く人々とは異なった客層・・・
そう・・・302番ゲートはすでにアフリカのどこぞの空港名が掲げられていた
ミスド・フライト・・・オーマイガッーーーーーーーー
えっつ???まだ十分に時間はあるよ???何故に???
アタチュルク空港内には時計がとても少ない。あっても小さくドバイの時計の様に
キンキラなロレックス製で時を主張しているわけでもない。
電光掲示板の一番上にDeparture timeと表示されそのすぐ右に現在時刻の
表示があるが非常に見難く私はスマホで時刻を確認していたのだったが、
時計を見つけて確認すると、私のスマホが示している時刻はちょうど1時間遅れていたのであーる
ラウンジでWi-Fiにも繋げ現地時刻が表示された。
夫もタブを持っており、私はWi-Fi設定をしてあげたのに彼は一度としてそれを見る事は無かった。
家にいるとタブ中毒の様に番組表、ヤフーニュースそしてFacebookチェックに余念がない男なのに
彼は大のビール党で居心地の良いラウンジでひたすらビールを飲める環境に大いに満足していたのであった。。。
「トランジットは何時間」「ヴェネチア行きは何時
」いちいち質問する夫。
私はいつものように、とても詳しい旅の栞を作っており夫にも渡しているのにだ。
それで私は質問攻めの夫にこういってもあったのだ。
「いちいち私に質問せず、自分で確認するようにして下さいね なんの為に栞があるの?」
他のメンバーとの旅行なら誰かがその間違いに気づいただろう。。。
しかし今は役に立たない夫と間違った時刻を刻んでいるスマホを恨んでもしょうがない。
とにかく、ヴェネチアに行かなくっちゃ~
まずターキッシュの職員を見つけなきゃ!と探すが、プラプラしてる職員って
なかなかいないのね
ようやく見つけ、かくかくしかじかと説明すると200何番ゲートの右隣にトランジット用の
ターキッシュ・デスクがあるのでそこに行けと。
直ぐに見つかりそこで又かくかくしかじか・・・「おおーそれは間違ってない時計を持つべきだね」と
言いながらパソコンをカチャカチャ、カチャカチャ・・・そしてまたカチャカチャ、カチャカチャ・・・
そんなに無いのか?ヴェネチア行き???それとも満席なのかヴェネチア行き???
そしてようやく男性職員は口を開く・・・
「このフロアの下の階に行くとセキュリティー・チェックがありそこでパスポート・コントロールを抜けて
からターキッシュのチケットカウンターがあるからそこに行ってください」と言われ、
その通りの手順をチケットにも書いてくれた。
一刻も早くチケットを入手しヴェネチアに行かなくっちゃ~と焦る私。
ところが階下に行く階段が見つからない 広い空港をウロウロしても全くありそで、ない・・・
エレベーターを見つけたので乗ろうとするとそれは上の階にだけ行くエレベータだったり。
直ぐに見つかるだろうと考えていたのだが、これは誰かに聞くに限る。
だいたい海外の空港で清掃スタッフは英語が通じない。。。案の定だった。。。
お店の人に聞くとフードコートの右だという。。。そのフードコートという単語ですら
聴き難く少しして「あっつフードコートね?」というありさまだった。
無事にパスポートコントロールに到着したと思ったらそれはイラク国民専用で、
その手前にあった我々用が目に入らず通り過ぎていたのだ、そしてまた戻る。
2人共に目に入らなかったのだろうか
おそらく夫は探してもいなかっただろう・・・私の後を追うだけだったのではないだろうか
そういえば成田からの便が到着し商業施設に向かう途中にここは目にしていた。
一度出国し、出発ターミナルにあるチケット売り場に行くわけだ。
パスポート・コントロールってポリスなのね?
お隣同士の男女の職員が私のパスポートをチェックしながらフランス語で
会話しているように思えたんだけど???
トルコは歴史上、英語よりもフランス語やドイツ語の方が通じると後から知った。
とにかくヴェネチアに一便でも早く行かなくっちゃ~チケット・オフィスに向かった。
再度、事情を説明しチケット・オフィスの職員がPCをカチャカチャ・・カチャカチャ・・・
私はこの時点でヴェネチアまでのチケットを購入する事になるだろうけれど、
イスタンブールからヴェネチアまでの航空料金はそんなに高額ではないだろうと踏んでいた。
それにこの後にもヴェネチアまでのフライトはあるのではなかろうか?
最悪1日1便だとしても明日の朝の便でヴェネチアに行けるのではないか?
夫の仕事の都合もあり日曜には日本に戻らなくてはならないので、わずかな滞在となるけれど
ヴェネチア出発便は夜便だし、そこそこ楽しめるだろうと考えていた。
その短期間の滞在で夫からは今回の旅行の了解を取り付けていたのだった。
このPCカチャカチャタイムがとても長く感じた
難しい顔をして職員はPCと向き合っていた。そして顔を上げて彼はこう言ったのであーる・・・
「マダム・・・このあなたの持っているチケットはプロモーションのチケットなので
この後の全ての区間がキャンセル扱いになります。1区間でもキャンセルすると全ての
区間がキャンセルになるのです」
げーーーーーーーーーーっ!!!
「have been cancelled...???all...???」「Yes...」
そんな事~予想していなかったよ~「ヴェネチア行きだけではなく、イスタンブールから東京への
チケットも全てですか?」
「残念ながらそうですマダム・・・」
「という事は新規にチケットを購入しなければならないという事ですか?」
「そうですマダム・・・おーマダム・・・そんなにガッカリしないで~」
この時、私の頭の中のソロバンがパチパチと音を立てていた(ソロバンできないけどさ)
片道チケットは往復チケットより恐ろしく高額だ。なおかつ直前ともなると想像もしたくない料金だろう。
しかしながらこのままイスタンブールに居続けるわけにもいかないし、どんな価格を提示されようとも
東京までは買わねばならぬだろう。
そして背後にただ立っているだけの夫に事情を報告。
「かくかくしかじか・・・と言っているから、とにかく日本へ戻るチケットは
確保しなくちゃね!」「そうだな・・・」
そしてまた職員の方に「東京行きのチケットを買います!」カチャカチャ・・・
「一番早い便は明日の2時のフライトです」はいーーそれでーー
オールキャンセルという予期せぬ事態にヴェネチアの事はすっかり飛んで、
東京行きだけは確保せねば~と思ったのだ。
ヴェネチアの宿泊代、現地ツアーの料金、ヴァポレットやエアポートシャトルの
ヴェネチア・カードを事前にネットで購入し後は現地で引き換えるだけだった物など、
しょうがない・・・宿泊代などは当日だけではなく前日でも100パー払わなくちゃなのだ
最低限の出費で抑えようと考えたわけだけど、今、考えると一応ヴェネチア行き含めて
試算してもらうべきだったと思う。とにかく頭が真っ白で東京行きだけは
確保したかったのだ。
イスタンブールの事は何も調べていないし、多少の不安も急に湧いてきたし、この地での
観光に残された日々を費やそうとは、その時に冷静に判断できなかったのであった。
そしてこの予期せぬ事態になった為、私は慎重にヒアリングした。
「can't」という言葉が多用されるのだか、いちいち「can not?」と聞き直したりとかね。
その時、お隣のブースのベテランっぽい職員の男性が、何やら私の担当の職員に
話している。
そのうちに担当職員がどこかに行ってしまった・・・
ベテラン職員「そんなにがっかりしないでマダム・・・大丈夫だから。
日本人の事はとても好きです、どうにか力になりたいので、色々な可能性を
試します、その為に今、彼はボスの所に相談に行っているのですよ」と言ってくれた。
「良い方への可能性はあるかしら?」
「アイ・ホープ・・・」
その後で知っている限りの日本語を披露してくれた(挨拶だけだったけれど)
結局はやはりオールキャンセルは覆せなかったけれど、二人の職員が一生懸命に
良い方法を探してくれ、私を慰めてくれた事にどれだけ救われたことか・・・
夫もあれは本当にありがたい事だったと感謝していた。
イスタンブールから東京への片道は最初の購入金額よりも高かったけれど、
おそらくこれが日本発券ならばもっと高額だっただろうと思う。
やはり海外発券は安い。今になってヴェネチアまでのチケットを含めても良かったのにな~と
後悔しているけれど、それは今だから思える事なのだ。
「いいですかマダム?今度このフライトに遅れたら○○アメリカドルがかかってしまいます。
(おおよそチケット代の70%くらいで次の便に変更可能という事)なので今度は
11時にはカウンターがオープンしますからその時間に来てくださいね、今度は遅れないでね」
そしていくらかの返金もあった。ベネチア間と東京までを使っていないので、
タックス分のリファウンドがあるというのだ。
それはトルコリラで支払われその日のホテル代には十分だった。
おまけにベテラン職員はホテルの心配までしてくれた。
私は当初、エアポート内ホテルに行こうと思っていてそれを話すと
直ぐに電話で確認してくれ満杯だといい、他のホテルを勧めてくれた。
ターキッシュエアーではターキッシュ側のキャンセルやデレイなどがあると次の便まで
ホテルを用意してくれるので、近くのホテルの事を良く知っているのだろう。
タクシーで5分ほどのホテルだという、今のところ空きの確認は出来たので
そこに行ってみてと紙にホテル名を書いてくれた。
地下鉄でも行けるけれどタクシーで行く方が迷わなくて良いと言ってくれた。
タクシー料金がどの程度かもわからないので、使う事が無いユーロから少しだけ
トルコリラに替えておいた。
この後はトラブルなどの相談カウンターに行ってくれと言われそこに行くと
チケットを発券してくれた。
そこで初めて自分たちの荷物がどうなっているのか?どこにあるのかの疑問が湧き、
尋ねると、今すぐにはどこにあるとは言えないけれど、ヴェネチアから直接東京には
行きませんと・・・そりゃあそうだ、、、ヴェネチアからまたイスタンブールに戻ってくるのだろう・・・
外は氷雨が降る寒いイスタンブールであった。
ところで!!!アンドロイド携帯に文句を言いたい
今までタイムゾーンが間違っていた事は一度もない!
私はスマホに世界時計というアプリを落としている。
それにスマホの設定は自動タイムゾーンにしてあるのになぜに誤表示を起こしたのだろうか???
それにいつもならドコモから海外ローミングと日本時間が両方表示されるのに今回はなぜか
表示されなかった。
日本に戻って世界時計を確認するとやはり1時間遅れている。
一番下のイスタンブールを見るとGMT+2:00になっているが、これは正確には
GMT+3:00なのだ
おそらく昨年から実施されたウィンタータイムへの移行中止、一年中サマータイムという
決定が反映されていないものと思われる。
ネットで調べると、昨年の12月にトルコの空港でgalaxyを持っていた韓国人旅行者が
何人か飛行機に乗り遅れたとニュースになっていたのだ!
galaxy側は早急にそのアプリをアップデイトするとその記事にはあった。
私はXperiaを利用しているのだけれどアプリの世界時計だけではなく、Xperia自体の
ソフト(タイムゾーンの)も是正されていないという事になる。
金返せ~Sony
しかし今回の経験は、貴重な経験で全て自己責任だという事が身に染みてわかったし、
今まで飛行機の方の事情でキャンセルになったりデレイになったりで、
目的地に無事に予定通り到着できない場合は想定していたけれど、
自分が遅れてなんて想定していなかったのだった。
いつもトランジットそのものも多少の不安があり、それはとても些細な事で間違って
出国してしまったらどうしようなどというくだらない不安だ
今回、この様な事に遭遇してしまいながらも、どうにか解決できた事で、それも
1人で乗り切った事で、ある意味、度胸というか自信がついたのだった。
私はいつも私の背後に銅像の様に一言も話さずぼけーっと立っていただけの夫に聞いた。
「あのさ~私が必死で駆け回り交渉している時に助けてあげようと思わなかったの?」と。
夫はこう答えた誠に正論である。
「ママの方が旅行の経験は多いし英語も俺よりできるだろう?俺はね仕事でもそうだけど
自分の専門外の事はその相手に任せるの。
専門外のヤツが口をだしても、その事態を混乱させるだけだろう???」
この男のお蔭で誰を頼ることなく事を成し遂げた事が自信となったのではあるが、
一言「いろいろやってくれてありがとう」があっても良いのではないだろうか
そして夫はこうもいった「飛行機から降りてママが言った時刻が通路にあった時計と
違うな・・・とあの時思ったんだよ~」
男なんてものは会社に於いて出張などはたいがい誰かがおぜん立てしてくれるだろう、そして
現地に着けばお迎えが来ているだろうから、自分で何かするという事がないのだろう・・・
「トルコ人は親日家ってホントだったんだな~これ現地でしか感じる事ができないよね?
嬉しかったな~イスタンブールに旅行で来たと思えばいいんじゃない?」
そして夫は家を出る時の事を思い出していた。
それは先に夫が玄関から出ていて、そこにお隣の奥様が通りかかって「ご旅行ですか?
どちらへ?」
夫は張り切って「ヴェネチアです」と答えていたので、私はたしなめたものだった・・・
「聞かれた時にはね~ちょっと・・・というのよ、それでも聞いてきたら初めて言うのよ!」
私は殆ど、海外旅行の時に、近隣の人に会うという事が無いのに 。
夫は「帰ってもしばらく外に出れないな~ヴェネチアなんて言わなきゃ良かったな~」等と言っている。
私は「男はツラいよ」の寅さん一家を思い出していた。寅さんシリーズ第4作「新・男はつらいよ」
で寅さんがおいちゃん一家をハワイ旅行に連れて行こうとして近所の方に壮行会まで開いてもらい
旅行代理店がお金を持ち逃げし、行けなくなってしまうがカッコ悪くて家に隠れているという話だ。
こんどは遅れる事が出来ない・・・さーホテルに向かおう!
それにしてもトランジットで3時間少々ラウンジに滞在する予定が4時間チョイもいたなんてね