スキージャンプ団体戦は銅メダルを見事GETし、葛西選手の涙で
メダルの色は関係なく心から祝福したい気持ちだけれど、
若い竹内選手の抱えていた葛藤を会見で聴き、神様あまり意地悪は
しないで下さいよと祈る気持ちでいっぱいだ。
とにかく頑張れ~
日曜日の夜「Before midnight」を見てきたお嬢が、
ジュリー・デルフィーがすっかりオバサンになり体型も立派になっちゃって
ますます私と被るというのだ
あここからはかなりネタバレがありますので、ご容赦を
ジェシー(イーサン・ホーク)をいつものようにエキセントリックな
セリーヌ(ジュリー・デルフィー)はあらゆるロジックで責め立てる所も
夫に頭にきている時の私と同じだと
次回作がきっと出来るだろうからオーデションで絶対セリーヌ役を
GETできるよ~と言うのであった
本物のジュリー・デルフィーに対抗できる私って・・・
そしてお嬢は、この話は今の自分には遠すぎてというか、生々しすぎて
あの「Before sunrise」の初々しい二人をまた見たくなったと言っていた。
「ママ、この部分見てよ。凄く印象的な場面なの、ユーチュブにも
アップされているから、そう思っている人が多いんじゃない」
さっそく見て見た。
これには字幕はないけれど、幸いな事にモノローグの主人公は
ギリシャ人という設定なので、英語難民でもわかりやすいです。
これを見てあらゆる事が繋がった気がしたのだ
今から18年前の一作目でジェシーとセリーヌがウイーンに行く
列車の中で初めて出会い(まだ大学生でしたね)セリーヌにした話。
「お婆さんのお葬式でお婆さんの家に行き、まだ子供だった自分は
庭で水やりをしていたら、その水しぶきの中に確かにお婆さんが
立っている姿を見た・・水を止めたらお婆さんも消えていってしまったけれど、
その光景はとても美しく・・」というジェシーの回想。
その後、セリーヌは会話の中で度々「初めて会った私にロマンチックな
お婆さんの話をしたあのピュアな少年」とジェシーを揶揄しますね
いつもこの話はなんだったんだろうと思っていたし、
何か重要なこの映画の主題が隠されているのだろうと考えていたワケなの。
そしてウイーンの遊園地で占い師の女性が言った言葉
「あなた達は星屑なの、みんな星屑なのよ~」
この言葉も何かを暗示しているのかとも考えたし・・・
そして、上のモノローグのおばさまは、あの占い師の女優さんと
同じじゃないかしら?とも思える。
9年を経て公開された「Before sunset」で、ジェシーはこんな話をする。
「僕は何度も同じ君の夢を見た。僕の隣で寝ている君の脚を触ろうとするのに、
君は消える・・そして寝ている君がまた現れ、やはり手を伸ばすと消える
その虚しさ・・・」
この時ジェシーはアメリカで結婚し子供もいたのでセリーヌは
タクシーの中でキレてしまうのでしたね
「あなたは結婚して子供もいて、なのに少年のままでパリに来た!」と。
いつもモヤモヤしていたこの辺りがこの動画で、なーんとなく掴めた気が
したので昨日、見てきましたよ~
そして確信したのは、初めから制作陣は何十年かの構想だったのではないかと
とすると、なんて挑戦的な映画なんだ
お嬢が「Before midnight」を上映している映画館はこの手の映画専門なので
キャパが小さく、一人で来ている人が多いし、これは絶対、一人で
見た方が良いというのよ。
常々、気が合わなくても、あまり親しくなくても一人で行くよりは、
そんな連れでも必要だよ~、じゃなきゃ行けないよ~と
言っていた私は、意を決してお一人様に挑戦したのだった。
しかし、意を決しなくても、この手の映画は一人で見るべきだと解ったわ
凄く集中できるもの。
この映画の会話量は半端ないので、とても集中しなければならないのだ。
殆ど二人の会話の応酬で、出来ている映画なのだから。
午前中の上映は小さな方の箱で、9割がお一人様
アラサー、アラフォー、アラヒフってな感じか
男性も結構多く、若者が多いのだけれど、オサレな感じの男性が
多かったよ~
グループはたった一組だったと思う。
それもこの層からかなーり外れたおば様方で(私よりもうーんとね)
とても前作を見ている感じとは思えなかったな~、不思議だった・・・
そしてビックリしたのは、生後半年以上ではないだろうという乳児連れの
ママ
それも私の前・・「えーーー泣くでしょ~こんな映画の最中に・・」
と先行きに不安を抱えたけれど、やはり途中で何度か退場され、
最終的に戻ってこなかった。
この映画は年齢制限が付いているけれど赤ちゃんは対象外なの
なんだかんだと、映画の内容と関係ない事を書いているけれど
突如、感想
「この映画では夢を見させてくれ~~」って事。
そしてジェシーのような夫なら私がキレる事は滅多にないだろうという事
前々作、前作、それぞれの二人を描いたこの映画は前作でシビアな
現実があったにせよ、やはりそこにはファンタジーがあったのだった。
しかし今回はファンタジーの要素ゼロ・・
too real to dream...ってな感じなんだな~
もちろん、この映画のファンは初回からのファンが多いと思う。
彼らと一緒に18年の歳月を経てきた。
ジェシーはおそらくそこそこ有名な作家になったのだろう。
このギリシャの地でもファンがいてサインを求められるのだから。
ジェシーはお洒落には無関心なオジサンになり、
セリーヌは中年太りのオバサンになっていた。
これは現実だろう・・
交わされる会話も現実過ぎて、今までの様な切なさはわかないのだ。
しかし違う意味の切なさ・・
それが今回というか初めからこの映画の主題だったのでは、
ないかと思う上の動画のタイトルにもなっている「the passing through」
劇中では日本語の「諸行無常」という言葉も出てくるけれど。
若い時からセリーヌは変わる事を恐れていたと思う。
だから愛も変わり結婚に恐れを抱いていた・・今までの恋愛でも臆病だった・・
彼女は高名なパリの建築家の娘でありソルボンヌ大卒の才女なのだ。
しかし高名な父と母の結婚生活には愛がなく、頭の良く感受性に優れた
彼女は愛を信じきれない大人へと成長したのだ。
そしてセリーヌはいま苛立っている。恐れている。
予期せぬほど早く子供が出来て、自分のキャリアが中断する恐れ。
容姿の衰える恐れ。(なのでジュリーは役作りで太ったのだと解る)
そのいろいろな恐れがジェシーに向かうのだ。
変わらないものなんてない、全ては変わり、消えていく。
しかし消えてしまったと思えるものも、確かに存在してもいるのだという事。
もうねジェシーが最高の男すぎてこんな男が夫だったらなーと
女性の全てが思うはずだ
女性の特質で、ヒステリーを起こし昔の事まで引っ張り出して
ジェシーを責め立て「別れるしかない」と出ていくセリーヌ。
そのセリーヌを海辺のカフェで見つけたジェシーの言葉は珠玉だ
「僕はタイムマシーンを操作できるんだよ。それでね、82歳の君から
手紙を預かってきたんだ。今日の夜はセリーヌあなたにとって、
とても熱い最高の夜になるのにそれを逃すのはあまりにもったいないですよ」
って
全ての物は移りゆく・・・
そうか・・だからギリシャか・・・
そして「運命」とか「ソウルメイト」の実存性。
本作品の見せ場はあのホテルでの喧嘩だけれど、
あれは一作目の長距離列車で初めて出会うきっかけとなった
ドイツ人熟年夫婦の痴話げんか。
熟年夫婦の恥も外聞もない、愛し合って結婚した夫婦のなれの果てに
おそらく若い二人はゲンナリしていた・・そんな男女にこの二人も
片足を入れている・・
そんな隠しコマンドをいたる所にちりばめているので、
制作側がこの様な高尚な勝負をかけてくるのなら「見つけ出してやるわ」
と、おそらく何度も見る羽目になるのだろう
少し今までとは違う作風(他の出演者の会話にも重きを置いている点など)
しかし流れているテーマは同じだと気付かせる仕掛け。
おそらく9年後にも制作されそこに描かれるのはどんなジェシーと
セリーヌなのだろうとの興味がつきないのも事実だ。
今回の舞台はギリシャ。2週間のバケーションを過ごしている最後の日の
物語。
ギリシャの田舎の風景とテーマ曲が見終わった後に、
あまりにも現実的な話から解放してくれるそんな映画でした。
ところでJulie delpyってデルフィー?デルピー???