渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

鉄の祭演作

2024年08月18日 | open




この刀身は日本刀の熱変態の
ありとあらゆる現象を一刀に
収められている面白い個体。
表と裏で全く焼刃頭=刃文も
異なるが、錵と匂が交互に現
れもしている。映り、如輪杢
に板目も交じり、どのように
鍛えたらこうした刀身になる
のかよく解らない。
また、一般的解釈での匂出来
なのか錵出来なのかの二分化
概念はこの刀身には当てはま
らない。非常に不思議な刀身。
たぶん、高度な技術を持つ刀
工の実験刀のような作品なの
ではなかろうか。
長曾祢虎徹はほぼ全作品が実
験刀のような作品だが、彼と
似たような境地で作刀に挑ん
だ刀工がいた、という証明だ
ろう。
江戸時代初期作。無銘。
鉄味はその時代よりもかなり
古く見える。使用材料は江戸
新鋼ではないように見受けら
れる。
作域から見て、かなりのいろ
いろなトライをしている作品。
非常に興味深く、不思議な作。
鉄(かね)の変態を見るには
こうした一作が面白い。

 


この記事についてブログを書く
« WGP500 最速列伝。獰猛な500c... | トップ | 職業病? »