渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

「基本練習」を検証する ~センターショット~

2022年08月07日 | open



撞球上級者の友人と撞球談義をし
ていて、「センターショットの練習
って意味あるの?」という話になっ
た。
互いの共通認識としては、「あまり
意味は無い」という結論に。

ストロークやキュー出しを確認する
為には意味があると思われる。
また、押し引きの具合を見るために
は。
だが、真っすぐな玉をいくら練習し
ても、実際のところは益は薄い。
それよりも、玉半分重なりずらし
や、押し引きヒネリでの合わせを
して行ったほうが遥かに上達の
速度は上がる。
センターショットでも、真っすぐの
デレッチョ(スペイン語)の状態で
そこからあえて穴振りをして手玉を
任意のエリアに出す練習とかなら
大いに意味があるだろう。
あるいは立てキュードローの練習と
か。
だが、ただ真っすぐな玉を撞いて
コトンと的玉を入れても、まったく
何の練習にもならない。

しかし、世の中、スポーツでも嘘を
教えられる事は実に多い。
ひどい例としては、1970年代は
スポーツの練習中に水を飲むな
とか、うさぎ跳びで鍛えろとか
医学的にも大嘘の出鱈目が学校
でさえ指導されていた。
そして、技法の訓練課程にあっても
スポーツの世界は嘘が往々にして
通っている事が多い。
ビリヤードについていえば、キュ
ーの振り方は肘から下のみで
振り子のように振ってそしてキュー
は水平に出せ、等がそれだ。
肘から下はゴムのように伸びない
ので、肘から下だけで振り子振り
したら握り手は円弧運動をする。
キューを水平に突き出す事などは
物理的に不可能だ。
フライフィッシングでも似た嘘が
ある。ロッドは時計盤で10時から
2時の間を往復するように振る、
というものがそれ。
円弧運動になりタイトループなど
物理的に絶対に作れない。

そうした世迷言のような事がこれ
まで「基本」であるかのように
喧伝された誤謬がビリヤードの
世界でも多く存在する。
私は「センターショット100発入る
までとことん練習せよ」等の類は
その世迷言の一つだと確信している。
的玉を真ん中に置かずとも、短クッ
ションレールの直線距離で十分だ。
そこでもキュー出しやストロークは
確認できる。

誤った不見識な「指導」により、
撞球技術の発達が著しく遅れる
事態になってはいないだろうか。
渋台でのナインボールマスワリ等
はビリヤードを初めて一ヵ月乃至
二ヵ月で出て当たり前だ。
毎日「正しい練習」をやっていれば。
センターショットをやるのは、ごく
ほんの初期だけでよいし、むしろ
手短にその期間を設定したほうが
よい。
自分の状態の確認の為のセンター
ショットではなく、「センターショ
ット
で的玉を入れる訓練」に拘泥す
る事などは、益
あるどころかむしろ
弊害を多く生む。

理由はいろいろあるが、撞球を長年
やっていると真実が見えて来る。
這界の「虚実」というものも。


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