渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

木琴

2022年02月03日 | open

 
ちょいと木琴弾いてみた。
TADとボブ・ランデ以外ではこの
シャフトが一番良い音がする。
19年前に買っておいた買った当時
よりさらに昔の大昔のシャフト。
日本玉台中国産業の大坪さんの
親父さんの自宅作業場の玉台置い
てあるとこ行って、数ある中から
選びに選んで引いて来たシャフト。
音も良く、押し引きも良い。
音は高い音域の木琴そのもの。








どこかの上位モデルのノーマル
ソリッドシャフトじゃないかなあ。
ハイテクに換装したので余ったと
かでの。2003年頃にはそういうの
が流行っていた。ひどいのになる
と、高額で一品物のアメリカン
カスタムキューのオリジナルの
貴重なノーマルソリッドシャフト
を捨ててハイテクシャフトを着け
たりする人たちもいた。
さらには、オリジナルシャフトを
破壊してジョイントリングのみ
残してハイテクシャフトに移植
したり。
ハイテク張り合わせシャフトの
寿命は物にもよるが約3年、せい
ぜいもって5年。
ソリッドシャフトは使う人の一生
分は楽にもつ。
5年後にハイテクシャフトの本来
の性能が減退したら、またリング
を移植するのだろうか。
だが、ハイテクシャフトは旬もの
消費商品であるので、その時には
かつての製品は廃番となり存在し
ない。次から次に新製品を出さな
いとならない大量消費商品が産業
の中でのハイテクシャフトだらか
だ。注文打ち日本刀と同じ位置に
あるカスタムキューのオリジナル
ソリッドシャフトとは立ち位置が
そもそも違う。
ハイテクシャフトは「用具」なの
だ。カスタムキューやカスタム
メーカーのカスタムキューは「作品」
なのである。
しかも、戦う為の武器たる性能を
完全具備した道具としての作品。
まさに日本刀と同じ位相にあるの
がカスタムキュー職人たちが作っ
た一品物のカスタムキューであり、
オリジナルのノーマルソリッドの
シャフトなのだ。
木の選別、適切なシーズニング、
時間をかけた精密な削り、そして、
各職人が秘密のデータを持つテー
パー。
それらの至高の位置にあるのが
オリジナルのソリッドシャフトだ。
その製造ノウハウと木の育て方と
乾燥具合と削りに技術の蓄積が
ある事も見逃せない。
Cue Making - CueCut Shaft Taper


工場量産のキューやシャフトは、
乾燥機や木を殺す曲がり止め薬品
を使う。この曲がり止めは古代
木造建造物の修復にも用いられて
いる薬品だが、「形」の保全には
最適だ。
だが、木を振動させて動かす事で
木の本来の特性を利用する打球
用の道具や楽器には使えない。
プロ野球で木製バットに含浸薬品
が禁止されているのも意味がある。
(剣道などでは含浸竹は禁止され
ていないため、樹脂含浸により、
良いしなりと耐久性を出す場合
もある)
カスタムメーカーの標準ソリッド
シャフトは、ただの削り棒では
ない。製品の根本的な部分が、
現代科学技術で作られたシャフト
とは異なるのだ。
 
今世紀初頭、猫も杓子も玉撞き者
たちはハイテクシャフトに乗り
えようとした。特に日本人。
貴重な何十年も木を寝かせて乾燥
させて、コンマミリずつ時間を
かけ
て削って木を「育て」て
製造
したカスタムメ
ーカーの
シャフトさえ捨てる人も
多く
いた。
まるでソリッドシャフトは時代
遅れの低性能のローテク棒とか
の愚者の誤認が蔓延したからだ。
もしかしたら、カスタムキューの
シャフトはハウスキューのシャ
フトとは次元が違うことを知ら
ないのかも知れない。
エフレン・レイズはじめ台湾や
フィリピン、アメリカの
世界の
トッププロはソリッドを
使い続
けた。物事が見えている
からだ。
 
ゆえにその頃、今世紀初頭頃は
カスタムメーカーのオリジナル
ソリッドシャフトとかの放出
日本国内では案外狙い目だ
った。
今はソリッドノーマルも見直され
ているので、なかなか出物が無い。
最近、ようやく、「事の真実」が
見えて来た人が散見されるように
なった。
ハイテクシャフトは万能ではない。
ソリッドシャフトには出せない玉
をハイテクでは出せるが、逆にハ
イテクシャフトでは絶対に出せない
玉筋をソリッドシャフトは出す事
もできる。守備範囲はソリッドの
ほうが広い。但し、昔のように
使い手を選ぶのがソリッドだ。
やった事が誤魔化されずにすべて
克明に現出するのがソリッドシャ
フトだからだ。


久しぶりに装着して撞いてみたが、
このシャフト、めちゃくちゃ良い
わー。暫くこれ使ってみよっと。
友人に声かけたらすぐに飛んで
来て相撞きぼっこし。
私は本日、このシャフトでズビ
ズバー!パパパヤー!だった。
古すぎてこの例え知ってるしとは
確実に60代以上(笑
 
現在は、ハイテクシャフトも製造
販売が飽和状態のようで、最近で
は新製品としてカーボンシャフト
が売りキャンペーンされ始めた。
新製品は良い物、というパターン
で。
全くゴルフ用品、釣り用品と同じ
で「新製品を買い続けさせる為
の商業行為」であるのだが、物の
本質を見ようとしない人たちは、
新しい物は最良と盲信して買い
続ける。
むしろ、古いオートバイの良さを
理解して旧車をあえて選んで乗ろ
うとする人たちが多いオートバイ
の世界のほうが、「物が解って
いる」人たちが多いといえるかも
知れない。
ただし、オートバイの世界では
旧車が「流行」に乗ったもので
ないならば。
流行に乗るのみで機種を選択する
のは、それは、「新しい物は何で
も良いもの」と思い込む目が曇っ
た視点と同じだからだ。
 
ビリヤードのキューの世界には
20何前とは変化が見える。
それは、大手メーカーも、また
「プレーキュー」としてノーマル
ソリッドシャフトを付けた新製品
を昨年秋あたりから発売しはじめ
た事だ。
企業は時流に目ざとい。
ユーザーの中にソリッドシャフト
の良さを見直す人たちが増えて
来ている現状を見抜いての事だ
ろう。

バラブシュカからの伝統を引き
継ぐクリス・ニッティのキュー。
こうした作品に比べたら私の
プレーヤーズキューなどは、
ただの棒だ。
Chris Nitti Custom Billiard Cues

 

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