渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

手玉の動き ~ビリヤード~

2022年08月01日 | open










通常は7番をシュートしてから
黄色のラインで手玉は出る。
だが、赤ラインで手玉を動か
している。
なぜそのような動きになるか。
また、なぜそうしたのか。
どうやったらその動きを出せる
のか。

いわゆるギャッキー逆ヒネリ。
意味があってこう狙っている。

別な玉での手玉の動き。






通常は黄色のラインに手玉は出る
が、赤ラインで手玉を動かして
いる。順角度の分離で手玉を箱玉
での回しをさせないラインを選ん
でいる。

それはなぜか。どうやったら「入射
角と反射角は
等しい」という物理
現象を覆す
この手玉の動きを出せ
るのか。

そして、なぜそれを選択して実行
るのか。


また、初球の2番玉。


どうしてキュースピードを上げて
スコーンと撞いているのに、手玉
はクッションに入ってから跳ね
返って後、磁石の同極が反発して
ブレーキがかかるようにググッと
台上に止まるのか。


他のショットでもそうだが、ただ
手玉をコツンと的玉に当てて的玉
を転がして入れる「転がし玉」は
やっていない。
ソフトなショットでもキュー出し
をして手玉を「撞いて」いる。
「撞く」事を実行している。
手玉の動きは制御する。

また、上掲トップ画像の7番シュート
の時も、動画を見れば、手玉は7番
にヒットした後、カーブを描きなが
らクッションに向かっている事が
判るだろう。
ソフトなショットでもキューを切ら
せてキュー切れをさせるショットを
している。
それの意味は何か。

「撞球」というのは「手玉を撞く」
という事であるから撞球という。
手玉を転がして的玉に当てて、的玉
も転がして落とすのは、それは「転
球」であり、「撞球」ではない。
そして、手玉の撞点はド芯のど真ん
中から1/4タップ~マックス限界ヒ
ネリまで、手玉が撞球者側から見え
る範囲すべてに「撞点」が存在する。
また、同じ撞点を撞いても、ストロ
ークやキュー角度、キュー出しの
速度等ですべて違う手玉の玉筋が
出せる。
その手玉をどのようにコントロール
するかというのが、ポケットビリヤ
ードの題目となる。
的玉をシュートインさせるのは当た
り前で、それが大前提だが、コツン
と当ててコロコロコトンで的玉を
落とすのは手玉と的玉とポケット
の直線ラインを取れば誰でも簡単
にできる。
しかし、手玉に狙い通りの動きを
させるためには真ん中ド芯撞きだ
けだと、手玉と的玉の分離角度は
ほぼ90度にしかならないので、
手玉の上や下を撞いて分離角度を
意図的に変えて手玉を次の的玉の
ラインに乗せる。
しかし、シュート後に手玉をクッ
ションに入れてから次に出す場合
は、こちらの希望通りの配置に
などはなっていないので、撞き手
がその状況に合わせて手玉を自由
自在に台上に任意の軌跡を描いて
移動させる。

また、ビリヤード台とラシャと玉
の物理現象は不思議なもので、ある
特定角度ではスロウやスキッドと
呼ばれる分離角度の不正狭窄化現象
が発生する。的玉が引きずられて
正規に分離せずに角度が狭く離れ
ていく。結果厚めに的玉が外れる。
これは手玉真ん中撞きで緩めに撞く
とその現象が増幅する。
これを防ぐ方法はある。
手玉にヒネリを入れて、その摩擦
抵抗による不正引きずられ現象発
生を防止する。しかも、ある程度
のキュー速度を与える。
こうすることでスロウやスキッド
による的玉不正分離進行を防げる。
上級者がラストボールなどを入れる
時にやや順ヒネリや逆ヒネリを
入れてスパンと撞くのはその為だ。
不正分離を防止して、正規のライン
に的玉を乗せる為にそう撞く。

こうした手玉操作による奥義。
そこにこそビリヤードの妙がある。

的玉をポケットインさせるプール
も、手玉を的玉に当てるキャロム
も、すべてビリヤードは手玉を
いかに意思の下に制御するか、と
いうスポーツだ。
ポケットビリヤードでは的玉を
シュートでポケットインさせる
のはごく当たり前の事。
シュートが大切なのではなく、いか
に確実にシュートさせる位置に手玉
を自在に移動させるか、が重要に
なってくる。
入れポンだけに目が行くと、大切
な事は見えなくなってくる。
入れポン出しポンでワンセットで
あるのが、ポケットビリヤードの
セオリーなのだ。
入れだけでは駄目。
かといって入れられないのに出し
だけできてもダメ。
入れポン出しポンでワンセットだ。
出しポンの為には、手玉を自在に
操縦できるスキルを身に着けない
と意思通りの手玉制御の実現は不能。

私は、どうせ玉撞きをやるならば
玉転がしではなく本当本物の「撞
球」をやりたいので、このように
「玉を撞く」事をやっている。


この記事についてブログを書く
« 夜食 | トップ | シャフトとバットの相性 »