7月に入った。湿度は高いが気温はそれほどでも、という予報を受けて小道が鬱蒼としてきた青葉の森を歩く。坂を急いで登らなけらばさほど暑さを感じず、尾根を通り抜ける風がむしろ心地よい。
森の途中でニイニイを聴いた。ニイニイ→カナカナ→ジリジリ(アブラ)→ミンミン、そして暦が秋を伝えるころからのツクツクと、セミの季節すなわち真夏の到来である。
高山ならもっと早い時期にエゾハルゼミが、盛夏にエゾゼミを聴くことができ、関東以南から南西諸島にかけて喧しいクマゼミは当地にはまだ現れない。
個人的にはカナカナ真夏でも涼しさを呼ぶカナカナが好きであるが、真夏のとっかかりに登場するニイニイもすてがたい。あの芭蕉が奥の細道の途次、山形立石寺で詠んだ「閑さや岩にしみ入る蝉の声」の主がニイニイと言われているように、ニイニイの微かな高周波の音は瞑想に相通ずるような気がする。真夏の寺や木陰でこのセミとともに目を閉じて静かな時を過ごしたい。
そして、森の周囲の道端や森には真夏の花たちが静かに登場している。皆が皆、個性的でなんとも形容しがたい花の美しい色彩と可愛らしい意匠だ。小さな花には小さな虫、花たちはそのサイズを好んでやってくる虫たちにその美を放っているのだろう。たぶん虫たちが好みそうな芳香も放ちながらだ。
ヒルガオ
ツユクサ
ツユクサ
ワルナスビ
ヤブガラシ
キンミズヒキ
ギボウシ(ウルイ)つぼみ
ナツツバキの花とつぼみ
ネジバナ
オバボタル(ゲンジボタルではありません。こちら昼行性)
ハグロトンボ♀(極楽とんぼ)