goo blog サービス終了のお知らせ 

かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

イカリソウの花咲く森で

2021-04-18 05:22:01 | 日記

       

 

「ああ、天上から真っ白なUFO到来!4本の長いキャッチャーにより、ゲーセンのぬいぐるみのように捕まっちゃうよ~」

 

植物学者の多田多恵子先生がUFOキャッチャーと表現したイカリソウが青葉の森のいつものところに群れで咲きだした。昔のヒトが船の錨のかたちを思い描いたからイカリソウ。

それにしても複雑でユニークな形をした花である。

 

いちばん外側の4枚の花びらに見えるのは萼片(がくへん)

その下に細長く伸びた4本の脚は距(きょ)という蜜を貯める貯蔵庫

一番下の小さく筒状に見えるのが4枚の花弁

その奥におしべの黄色いのがのぞいている。

全体としてこの地面を見つめたような下向きの花に、どんな虫たちがやってきて、あの細長い距の蜜を吸うのだろう。

多田先生のお話によれば、マルハナバチの仲間やビロードツリアブなどの長い口の持ち主が器用に花弁につかまって蜜を吸い、お返しに頭に花粉をくっつけて別の花に運んでいくのだという。ビロードツリアブなんかは運動能力が高いから、もしかしたらホバリングしながら蜜を吸うことができるかもしれないが、しばらく観察を続けてもハチたちはやってこなかった。

 

      

 

そんなことで、めでたくタネを儲けたら、あのカタクリたちと同じようにタネにゼリー状のエライオソームというアリさんの大好きなお菓子をくっつけてタネを地面に散らすのだという。

花の時期が終わったら、また青葉の森のその場所に行ってみて観察してみよう。アリさんの行列ができているかも。

それにしても、イカリソウ、薄紅色だけでなく、こんな純白の花や、色の濃淡も様々で、その場所にの花たちは多彩だ。色合いといい、不思議なかたちといい、愛すべき4月の花だ。

ちょっと重いがD750君とマクロレンズを持ち込んで少しはきれいに撮れた日。

 

     

 

     

 

       

 

    マキノスミレさんも傍らにぽつんと咲いていました。

 

         

 

 

Youtubeのダニエル・バレンボイムさんのサイトから、1970年に録音されたと思われるベートーベンのピアノトリオ№1の甘いアダージョ・カンタービレが流れてきた。奥様のチェロ奏者ジャックリーヌ・デュ・プレさん、バイオリニストのピンカス・ズーカーマンさんとの若き日のトリオ。

デュ・プレさんは、この後、難病とされる多発性硬化症に冒され、演奏家を引退、後進の指導をしたが1987年42歳の若さで逝ったのだという。

まさに、スプリング・エフェメラルのように美しくもはかなく消えたが、地に落ちたタネがまた花を咲かすように、いつまでも心に残っている演奏家。この楽章は、春の林床の花たちが奏するみたい。

              

コメント

ウコギ党のブランチ

2021-04-17 06:43:05 | 日記

ウド・タラノキ・コシアブラ、それぞれの姿かたちは異なるが、植物分類上は、みんなウコギ科に属する木の仲間だ。

春にいただくこれらの若芽は、みなウコギ科独特のエグミがあって、言ってみれば「地霊の妙味」、食べた後でも口中に爽やかな後味が残り、何かしら土のエネルギーをさずかったような塩梅になるから不思議である。

そのエグミたるや、若芽に含まれるアクなのだろうが、病みつきになるほど尾を引く。でも、体にどれだけいいものか分からないので、あまり乱獲、乱食は慎んで、山歩き中にそれらの若芽を見つければ、木の成長を害しない程度に、その日の晩酌のアテで終える程度だけ摘んできて季節を楽しもう。

とかっこいいことは言ったが、一昨日は晩酌だけでは少し余る量だけコシアブラの若芽を採ってきてしまったので、市販のそばつゆで炊いて、二三日は保存できるようにした。

その一部をお弁当にのせてきたので、青葉の森のベンチに腰かけて、すこし芽吹いてきたコナラ林でシジュウカラさんやメジロさんが歌うのを聴きながら、朝10時過ぎのブランチにゆっくりいただいた。ほんの少しであっても口中に「地霊の妙味」が広がっていき、不思議なエネルギーとなっていく心地がした。

もしかしたら、これは「地霊の呪い薬」なのであって、死後、オイラはウコギ科の木として、この森に立ちつくすようにされてしまうのかもしれない。

 

 

    

コメント

春の雑木林の多目的散歩

2021-04-15 21:45:25 | 日記

この季節、1日だって眼を離せば、落葉広葉樹の森は間違い探しの間違いを見つけるように、昨日の姿とはどこか違っているし、森に入るオイラの心も昨日とは違っている。

今日のオイラの目的は、ヒメギフチョウさんに逢うことと、5月に卵を産むというトウゴクサイシンという草を見つけることだったが、まったく気配さえ、手がかりさえ見いだせずに終わった。

逢えたのは、普通に舞っているというルリシジミさんの♀とキタキチョウの性別不明さん。

     

 

     

でも、どうしてチョウは成虫になると美しいのだろう、ルリもキイも人知では生み出せないような美と意匠でこの世に現れているな、と驚かせてくれた。物言わぬチョウに愛着がわいてきた。チョウのこともっと知りたくなった。

そうだ、美しいといえば花なのだが、美しいからチョウもハチも寄ってきて、蜜をもらう代わりに子育ての手伝いまでしてやっている。そうか、花も子育てしたいから、ありったけの美を振りまいているんだ。

今日出会ったのは、チゴユリさん、ヤマブキさん、イカリソウさんです。

     

     

     

     

       イカリソウさんのツボミ

 

せっかくマクロ付き一眼持って行ったのに、写さなかったからチゴユリさんとイカリソウさんは、明日にでもまた写させてもらいます。それだけ、愛着のある花たちなのだ。

 

あっちこちで、小鳥たちが囀っていたのに、みなすばしっこくて、写した小鳥はこれ。なんだ。

     

おなかの赤っぽいのとおつむの黒いので、「ヤマガラさん」だと思うのだが自信はない。野鳥の会の上田会長は、先週のNHK山カフェで野鳥と接近するにはヒトが木になったようにじっとしておれ、とアドバイスくださったが、たしかにわずかでも動くと小鳥たちは気配を察して逃げるのだから、木のようにじっとしている観察態度が必要なのだろう。もうすぐ、オオルリさんやサンコウチョウさんもやってくるのだろう。今年こそは美しい野鳥たちを木になったつもりでじっくり観察したい。

 

そして、この季節、申し訳ないがおいしい「山の幸」を少しだけいただく行動が始まっている。

何と言っても、ウコギ科のコシアブラさん。

    

    

今日は、同じ仲間のハリギリさんやタカノツメさんも少しいただいてきた。

    

そして、林床には、ウルイさん。

    

 

家で、水洗いして、天ぷらとおひたしに。

    

           タカノツメ・ウルイ・コシアブラ

 

    

             ハリギリ・ニワトコ・コシアブラ

 

このサイト「花鳥風月」なのだが、花鳥(蝶)風(食う)月(好き)に改題しようかな。

 

 

 

コメント

石垣島トライアスロンのアラカンさんたちは元気

2021-04-14 18:22:38 | 日記

こないだの日曜日、石垣島のトライアスロンが開催された。数あるレースが全国的に中止の憂き目にあっているのに、感染リスクのでかい人口5万の離島でよくぞやってくれたな、「強引な開催か」と若干懐疑的な目で見ていたが、この10数年ばかりの間に埋め立てられて整備された市街地とは橋で隔離された南ぬ浜(ぱいぬはま)地区を中心にスイムとランがコース設定され、市街地はバイクコースだけなので、応援の数だけ制限して、なんとか開催にこぎつけたのだろう。

この大会には、OさんとYさんという石垣島在住時に仲良くしたお二人も参加していて、Oさんはいつの間にか60才~64才の部門からエントリーしているし、Yさんときたらオイラと同年の65歳~69才部門なので、完走を心配していたが、お二人とも完走していて、今朝寝ぼけまなこでLINEを開いたら元気な写真入りの完走報告がアップされていた。

何よりうれしかったのは、2019に石垣島を離れるとき、オイラの愛用のバイク、アンカー(石垣伝説の名馬にちなんでアカンマ号と呼んでいた)をOさんに譲ったのだが、Oさんは今回このバイクに乗って完走したよと綴っていたこと。「ああ、アカンマよかったね、大事に乗ってくれる人がいて・・」と、いくぶん目頭が熱くなった。

もしも、石垣島に今も住んでいたら、オイラもまだまだ定年のない石垣島トライアスロンを続けていたのだろうが、これからのエントリーと完走は、現地在住のアラカンであるこの二人に託し、毎年応援を続けていこう。

Oさんから、「3年前完踏できなかった、西表島横断をまたやりましょう!」とメッセージが付されていたので「コロナが収束したら、西表に集合しましょう」と返信した。

西表やまねこマラソンの翌日、2019年2月に中間地点の増水のため、OさんやYさんと断念した西表横断、2022年2月、アラカンのお二人や石垣・沖縄で出会った山仲間、ラン仲間に再会し、今度こそ西表横断を完遂したいと思った。コロナよ、はよ立ち去れ!

 

石垣島トライアスロン(公式)

 

     

          2017年6月27日、徳之島で一緒に戦ったアカンマ号

コメント (2)

ヒメギフチョウさんに逢いたい

2021-04-13 14:22:49 | 日記

太白山のふもとの自然観察センターの遊歩道わきに薄汚れた案内板があったので立ち寄ってみる。

ヒメギフチョウというチョウのことが書いてある。オイラは、60数年も生きてきて恥ずかしながらチョウの生きざまに関心を持たなかったし、毎年のようにカタクリの花を撮影し続けているのに、蜜を吸いにやってくるチョウのこと、ましてやヒメギフチョウの暮らしぶりなんて知らなかった。

 

わずか数行の説明だが、驚きとナゼ?という疑問でしばらく看板の前に立ち止まった。

「ヒメギフチョウは、落葉広葉樹の林で生活している蝶です。4月の初めから5月の初めにかけての1ヶ月が彼らの活動期です。幼虫はトウゴクサイシンを食べて育ち、6月中旬から次の年の春まで、落ち葉の下で蛹の姿過ごします。」と。

① え、たった1ヶ月の今の季節だけ飛んでいるの?どんな蝶だっけ。

② トウゴクサイシンって「一般的な」草なの?どこに生えてるの?

③ 1年のうち雪国でもないのに、10か月も蛹の姿でじっとしてるってどうして?

  小鳥やアリのエサにならないの?

看板が立っているくらいだから、目の前のカタクリが咲いている草原にもやってくるんだろうが、まったく目にできなかったし、そもそも、トウゴクサイシンってのも目の前の草原には目にすることができない。

 

 

 

       

 

秋田森づくり活動サポートセンターさんのHP

秋田の森づくり活動サポートセンターによると、ギフチョウとヒメギフチョウは住み分けがなされていて、東日本以北は、ヒメギフチョウといわれる仲間であること、ギフチョウはカンアオイ属のウスバサイシンをヒメギフチョウは同じ属のトウコクサイシンという多年草を食草としていることが分かった。

食草とは、その草に卵を産み付け、孵化したら幼虫はその葉っぱを食べて育つということで、草側の立場としては寄生されたみたいでありがたくはないのだろうが、なんらかの共生の仕組みがあるのかもしれない。

母親は1度に約20個、累計約100個の卵を、わずか1か月足らずの間に生みつづけるとのことだが、やはり活発に動いている幼虫の間にクモなどの天敵に食べられてしまい、翌年チョウになるのは、わずか2~3匹とのことであり、やっぱ、かれらも大変な世界を生き抜いているなと、ため息が出てしまう。

それにしても、美しいチョウではないか、姿かたちもそうだが、スプリング・エフェメラルたちの花たちの生きざまに呼応するかのような短い生の輝きに、愛惜の念が生じてきた。

その命、5月までか。明日から、なんとかこのチョウに出会えないか・・・駆けずり回ってみよう。これからカタクリが咲くもっと高所にも出かけてみようか。

 

 

     

      カタクリ、サクラ、キクザキイチゲなどにやってくるのだという。

 

       

     5月になったらトウゴクサイシンを探してみよう。卵や幼虫(毛虫)にであえるかも。

 

コメント