遊びをせんとや

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圧巻の女性小説 ~BUTTER~

2022-09-17 06:57:42 | ブックリスト
図書館で柚木麻子の「BUTTER」

2017年発行。2009年に発覚した首都圏連続不審死事件を元に書かれた小説だ。
あくまでもフィクション。

その前に文庫本の「奥様はクレイジーフルーツ」を読んだ後だったので、衝撃だった。

私はこの「奥様」もたいがい凄いと思った。現代の夫婦の性生活状況を赤裸々に軽妙に綴ったようで現代の女性の置かれている立場、仕事、悩み、食と自分の容姿の問題が真剣に取り上げられていると感心した。

最近富に女性作家が花開く感が半端なく、退職するまでは結構、仕事に間接的に役立つ論説文を中心に読んできたので図書館に通うようになってそれまで読んでみたいとうっすら思っていた小説分野に時間も余裕が出来て半端なく手を伸ばせるようになり開眼した感がある。

この「BUTTER」も凄かった。出だし、ちょっと自分の読むスピードがもたついたが、取材で主人公が親友と取材のために新潟の実家や牧場を訪れるあたりからもう止まらなくなった。ここからの展開がサスペンスに満ちてぺージをくる手が止まらない。

この小説の底に流れるのは女性の人間関係であり、結婚観であり、仕事観、自分の見た目も問題、性の問題、子どもを持つか持たないか、食、健康、結局生きるという生活の問題なんだなと思った。

それをこの事件を題材に余すことなく描き切ったこの作者の胆力は凄いなーと感心した。
それと自分の事を客観視できない相手の女の人に人格があり、意見も持っているということが認められない自分の事してかしゃべらない中老年男性をも見事に表現している。

読後に未来に向かって登場人物がそれぞれ再生されていく希望を持たせるのがまた良かった。

是非柚木さんに直木賞を。

次は「ナイルパーチの女子会」を読もうと思ってる。

それにしても女の人が女の事実と内面の葛藤を伝わるように書けるようになって少し女にとっていい世の中に近づいているような気がする。








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