叙事詩 人間賛歌

想像もできない力を持つ生命の素晴らしさを綴っています !

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人間賛歌 生命の境涯 十六

2006年11月06日 | 生命の境涯
  タイタニック号の最期

 史上最大の海難事故  タイタニック号の最期は
ドタン場に追い込まれた 人間の本性を
むきだしにする  大ドラマでもあった

 一九一二年四月十四日夜 不沈を誇る
イギリスの豪華客船  タイタニック号は
処女航海で  アメリカに向かっていた

その途中  氷山に衝突し沈没寸前になった
悲鳴のように  汽笛を鳴らし
エスオーエスを 発信し続けたが
運悪く  近くを航海中の船はなかった


おおぜいの  乗船希望者の中から
選ばれて  タイタニックの乗客になり
船旅を  楽しんでいた人たちは
一瞬のうちに  パニックに陥った

このとき  タイタニック号が
積んでいた 救命ボートは
二千数百人の  乗員乗客に対して
半分にも満たなかった

われ先に  ボートに乗ろうとする
乗客を制して  船長は
婦人 子供から ボートに乗るよう指示し
乗員や男性客は それに協力するよう
要請した

 
ほとんどの男性客は  船長の要請にこたえ
婦人や子供を  ボートに乗せる作業に
おおわらわに  働いた

そのとき一艘のボートで 騒動か起きた
女装した男がひとり  婦人子供ばかりの
ボートに紛れ込んで  逃げようとしたが
女装がバレて   発見されたのだ

男は取り押さえられ  船上に引き上げられた
卑怯な男は  船の乗組員で三等水夫だった

三等水夫の男は  衆人の冷たい視線に
見送られ  船倉に連れて行かれた

甲板の一方では  ヨーロッパの鉱山王と
呼ばれていた  著名な紳士が
婦人や子供を  ボートに乗せ
海面におろす作業に 懸命だった

そのとき  ボートに乗ろうとした
貴婦人をみて  紳士は声をかけた
この婦人は  紳士の知り合いだった

「マドモアゼル もし私の妻にあいましたら
 私は立派に 義務を果たして行ったと
 お伝えください」

と頼んだ  つづく 


 


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