炎の中、凍てつく氷の中(聖愚問答抄続き) *
山本さん、
「生命の真理を悟った聖人と、それを知らない凡人のあいだには大きな開
きがありますね。
聖人の智慧は無量で、過去、現在、未来の三世を見とおして誤りがないと
うかがいましたが、もう少し具体的に教えて頂けませんか。」
ジッチャン、
「聖人はすべての現象を起こす因果の法則を知っていますから、因を知れ
ば果が分かり、果が現れればそれを起こした因も分かります。
これは過去、現在、未来にわたって変わらない不変の法則ですから、三世
を見通せるのです。
経典には「三世を知るを聖人というなり」と記してあります。
その聖人の目で世間を見るとどう写るか、本文に戻って学んでいきましょう。
「六道四生に輪廻してある時は焦熱、大焦熱の炎にむせび、
ある時は紅蓮(グレン)・大紅蓮の氷にとぢられ」
とあります。どちらも苦しみが極限の状態です。燃え盛る火の中とか、凍て
つく氷に閉じ込められる苦しみは想像することさえできません。
フツウの状態では起きませんが、戦争になるとそうしたことが起こります。
注 焦熱・肌を焼きこがす熱さ。
紅蓮・凍てつく寒さで皮膚がとれ、血肉があらわになった状態
(真っ赤な色)
釈迦の時代も、日蓮大聖人の時代も戦乱はありました。
話が飛躍するようですが、人間が最初に起こした戦争は、食料の奪い合い
から起きた。と学者は指摘します。
相手の部族を殺して、貯蔵している食料を奪えば飢えをしのぐことが出来
るからです。戦争は人間を狂気にすると言いますが、フダンはなんでもない
人が戦争となると狂ってしまい、凶暴になることは歴史が限りなく証明して
います。
私が十二歳のころ、太平洋戦争の末期でした。
米軍機の空襲で焼夷弾が雨あられのように降り注ぎ、空が真っ赤に燃え
上がったのをこの目で見ました。炎の中にいた人たちは焦熱、大焦熱の
苦しみを受けて亡くなったのです。
私は山一つへだてた防空壕の中にいましたので、焼かれなかったので
すが、ナゼ大人は戦争をするのだろう。。とその時疑問に思いました。
この日、私の住んでいた岡山市は壊滅し、焼死者の数は数千人に達しま
した。
以下次回
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