普通な生活 普通な人々

日々の何気ない出来事や、何気ない出会いなどを書いていきます。時には昔の原稿を掲載するなど、自分の宣伝もさせてもらいます。

恐怖の喫茶店

2010-11-20 22:10:35 | 極端な人々<的>な
 昔々、奥さんと結婚する前のこと。神戸在住だった彼女に会いにでかけた。むろん、地理は不案内で、三宮がどこだかだけを頭に叩き込んで、約束の時間まであちこち歩き回った。
 70年代後半の三宮は、当然震災の20年近くも前で、昔の神戸の面影が残っていた。
 どこをどう歩いたか、喉が渇いて喫茶店を探していると、道の少し先にどうやら喫茶店らしいものが見えた。何気なくその店のドアを開けた。
 中はカウンターと二人がけのテーブル席が3つほどあるこじんまりしたもの。7~8席あるカウンター席は半分埋まり、テーブル席も2つが埋まっていた。えらく繁盛しているような印象を受けた。
 ただ、妙な違和感を覚えた。それは客が全員、男だということと、その客たちのヘアースタイルが独特だったこと。7人の客のうち3人がほぼ坊主に近く、4人がパンチパーマだった。服装はラフで派手目な色柄のシャツスタイル。その上にブレザーを着るか着ないかくらいの差。全員だぶだぶの印象を受けた。
「いらっしゃい」
 マスターらしき人がそう言ったのだが、客全員が、ボクをねめ回すような視線を投げかけてきた。
「あ、まちがえました」
 この言い草はあるか? ないよな! でもボクはそう言って、後ろ向きのままドアから外へ出た。
 神戸はY組の本拠地だった。選りに選って、組関係の喫茶店に紛れ込んだらしい。実際店の2階は組事務所だったようだ。
 そんな事が分ったのは、ずっと後のこと。
 この時はただ「やばい!」と思って、間違えた事にしたのだ。この判断は、間違っていなかったと今でも思っている。

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