普通な生活 普通な人々

日々の何気ない出来事や、何気ない出会いなどを書いていきます。時には昔の原稿を掲載するなど、自分の宣伝もさせてもらいます。

何年振りかで、新宿歌舞伎町に行った

2023-05-04 23:51:42 | 普通な生活<的>な
5月3日。娘夫婦と出産準備で新宿に。出産と同時に新居に引っ越すということで、クーラーなどの家電を買いに出かけたのだ。それはそれとして。その脚で歌舞伎町に出向いた。
もう何年も歌舞伎町には足を踏み入れていなかった。行く用事もなかったのでおそらく20年はくだるまい。

ゴジラが顔をのぞかせるTOHO BILDINGと、KABUKICHO TOWERという高層階ビルが建っていた。ボクの知っている歌舞伎町とは、まるで別の世界がそこにあった。

昭和の時代。歌舞伎町はアウトローの生息するエリアだった。地回りのやくざが幅を利かせ、一般客はおそるおそる飲み屋の扉を叩いた。歌舞伎町を象徴したのはコマ劇場とミラノ座だった。そこは今も変わらないのか、コマ劇場跡がTOHO BILDINGに、ミラノ座跡がKABUKICHO TOWERになっていた。

昭和の時代。歌舞伎町は表向きは芝居と映画と音楽の街だった。ただ、夜の歌舞伎緒は昼間と一変、男と大人のための歓楽街に変貌した。

名物の一膳飯屋も、人気のスナックも、こじんまりとしたライブハウスも劇場も、それはそれは魅力的で、ボクは何度も小さな劇場で芝居をした。ボクらが芝居をしている小屋の上層階では、まだ売れる前の「レディ・ジェーン」のつのだ☆ひろが、ライブをやっていたりした。

ある時、いつものように気心の知れたカップルと、ボクと彼女の4人で酒を飲み夜中近くなった。その日はカップルの旦那のライブがあって、その打ち上げを4人でやったというわけだ。4人とも帰る方向は同じで、新宿通りに出てタクシーで帰るつもりだった。

歌舞伎町をふらふらと4人で歩いていると、地回りのチンピラ3人と絵に描いたように肩がぶつかり口論になった。酒を飲んでいるせいもあって強気のボクは、チンピラを怒らせるようなことを言ったのだろう、暴力沙汰になりそうな気配が漂った。女性2人を先にその場から遠ざけ、男2人でさも「やったろうかい」といったそぶりを見せて、次の瞬間、脱兎のごとくその場から逃げた。

酔っている割には、素早く逃げおおせた。おおよそ歌舞伎町を半周するほどは走ったろうか。タクシーをみつけ、飛び乗って帰った。他の3人もうまくその場を切り抜けたと後で知った。彼女にはしこたま怒られた。「私を放っておいて何をしているのだ、あなたは」というわけだ。

歌舞伎町の思い出は、この話以外にも腐るほどある。

5月3日に足を踏み入れた歌舞伎町は、おそらく走ることなどできないほどの人の波。まあ、走ることもないだろうが。

こんな昔話をしても、誰の耳にも届かない時代になったということだけは、はっきりしている。

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