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欧州リーグの事情16

2021-04-24 00:34:56 | サッカー(J3以下・外国・他カテゴリ)

 リスペクトコラムです。
 緊急事態宣言による無観客試合とともに、ここ数日間でサッカー界を賑わせていたのが、欧州スーパーリーグ騒動ですね。思ったよりあっけなく頓挫してしまいましたね。当ブログでは2020年10月の記事で初めて取り上げています。この時は「欧州プレミアリーグ」構想でした。この時はFIFAもこの大会の開発に関わっているとありますが、実態はどうだったのか。2024年までの放映権契約に合わせての動きのようです。それにしてもあっという間の騒動で終わってしまいました。失敗したのはやはり昇降格を無くして囲い込むという米大リーグ型モデルへの反発なのでしょう。欧州リーグがMLS化するというのは普通に考えてダメでしょう。
   
【欧州新リーグ撤退クラブ続々 早くも頓挫か】
「サッカーの強豪クラブによる欧州スーパーリーグへの参加について、イングランド・プレミアリーグのリバプールなど全6クラブ(他にMユナイテッド、アーセナル、Mシティー、チェルシー、トットナム)が20日、一転して撤退を表明した。21日にはイタリア1部(セリエA)のインテル・ミラノとスペイン1部のアトレチコ・マドリードも不参加を決め、18日に3カ国の12クラブが創設に合意した新リーグは早くも頓挫する見通しとなった。」
「新リーグには合意発表の直後から「利己的だ」などと批判が殺到し、国際サッカー連盟(FIFA)や欧州サッカー連盟(UEFA)は参加クラブの選手をワールドカップ(W杯)などの主催大会に出場禁止とする方針を示した。」
引用:山陽新聞 
       
 「利己的」、まさにそうですね。そこにはファン・サポーター不在のメガクラブ側の身勝手な論理があり、当ブログで大昔から口にする「商業主義」そのもの。勝手に徒党を組んで動いても最後にFIFAがOKしなければ頓挫する事はわかっているはずなのに、どうして行き当たりばったりな事をやってしまったのか、理解に苦しみます。リーグもクラブ・チームも公共財、一民間企業の一商品ではなく、地域みんなのもの、ファン・サポーターのもの、クラブはその管理人という事がわかっていなかったのか。

【英王子もスーパーリーグ懸念=欧州サッカー、社会問題に】
「ウィリアム英王子は19日、欧州の強豪クラブが創設で合意したサッカーの「欧州スーパーリーグ」について「ファンの懸念を共有する」とツイッターに書き込んだ。英政府が創設を全力で阻止する姿勢を示すなど、世界的な人気スポーツの行方は大きな社会問題に発展している。
 王子はイングランド・サッカー協会の総裁を務めている。投稿では「トップレベルから草の根に至るまでのサッカーコミュニティー全体と、その核となる競争と公平性の価値を守らなければならない」と訴えた。
 政府も反対姿勢を強めている。ジョンソン首相は19日、「この国のサッカーにとって良いニュースではない」と強調。ダウデン・スポーツ相は議会答弁で「阻止するためにできることは何でもする」と表明し、競争法(日本の独占禁止法に相当)などを使った介入を示唆した。」
引用:時事通信

 サッカー発祥の地イングランド。王室も政府も国を挙げて全力で阻止する姿勢というのは尋常ではありません。さすが王子、「草の根」「サッカーコミュニティー」「公平性の価値」とアメリカでは聞く事のないキーワードが並び、歴史のある深いサッカー文化がにじみ出てきます。イングランドもメガクラブの規模膨張が目立っていましたが、今後はぜひ国を挙げてファン・サポーターが臨む適度なクラブ規模に矯正して欲しいと思います。そうしてもらわなければ、日本にも悪い影響を受けてしまうので。
    
【欧州SL降格なしのアメリカ方式にサッカー発祥国のファン激怒 英国在住通信員が見た】
「欧州の強豪12クラブが創設を表明した欧州スーパーリーグ(SL)が20日、計画の見直しを発表した。SL創設の発表直後から批判が殺到したことを受け、同日にリバプールなどイングランド・プレミアリーグの全6クラブが撤退を表明。21日にはインテル、ACミラン(ともにイタリア)とAマドリード(スペイン)も不参加を決定。SLは「プロジェクトを作り替えるために、再検討する」と声明を発表。」
「英国内では「降格なし」の大会方式に批判が集中した。一握りのエリートクラブが永久メンバーとなり、永遠に所属し続ける―。この方式がサッカー発祥国のファンを激怒させた。
 降格がない大会方式は米大リーグ式で、プロ野球の歴史が長い日本でもなじみ深いが、英国では違う。発足に賛同した6クラブのうち、リバプールとマンチェスターUのオーナーは米国人。またアーセナルの最大株主も米国人だ。オーナーがアラブ人のマンチェスターC、ロシア人のチェルシーの順で撤退が発表されたのは、彼らが英国サッカー文化を米国人より理解していたからかもしれない。
 米投資銀行がリーグの準備金を用意したという事実もあり、米国人の大きな関与があったことは容易に想像できる。わずか48時間での崩壊は、米国のベースボール文化を当然という感覚で、文化の異なるサッカーに当てはめようとしたことが最大の原因だったのではないだろうか。」
引用:スポーツ報知

 これらを読んで気になるのがドイツとフランス。リーグとして断ったと聞きました。そうでなければ、ドイツもスポーツシューレから来るドイツサッカーの歴史を否定する事になるから。質実剛健の国が易々とMLS化を許すはずがないと思います。実際に表明12クラブも英国6、イタリア3、スペイン3でドイツとフランスは0。その2カ国が入っていない時点で新リーグは瑕疵があるものになっていました。

 降格なしの大会方式に猛反対という事ですが、修正案で条件付きで昇降格制度を入れてくるかもしれません。それって、Jプレミアリーグ構想とだんだん似てくる気がします。今回のイングランドの6クラブのうち3クラブが「アメリカ系」の経営だそうです。しかも米投資銀行も資金を用意という事で、米国人の大きな関与があったと書かれていますが、サッカー文化をベースボール文化に染めようという無理がある話でした。個人的にはJプレミアリーグ騒動やWEリーグも米国人の関与があったりしてと勘ぐってしまいました。

【欧州サッカー界バブルの終焉 欧州SLの背後にある大問題】
「ペレス会長(Rマドリード)がSL(スーパーリーグ)に固執する理由は明白だ。それはパンデミックの影響でRマドリードが大きな減収に直面していること。SL発足の直後に出演したスペインの深夜枠のテレビ番組で、白い巨人が直近2シーズンで4億ユーロ(約528億円)もの減収に直面することを明かしている。」
「ペレス会長が“サッカーの未来を守るためにSLが必要”と主張したが、この“サッカー”の部分に『銀河系軍団』を当てはめると、その意図はさらに明確になる。
 もちろん、Rマドリードに限らず、これ以上選手の移籍金と年俸が高騰すれば、さらに潤沢な資金源が不可欠となるのは明白だ。そんな金欠の心配が、新型コロナウイルスのパンデミックで前倒しとなり、ペレス会長が「3年かけた」というわりには唐突で、稚拙な印象も強い欧州SL発足につながったのだろう。
 とすれば、問題は現行の欧州サッカー界の現実離れした金銭感覚ということになる。2008年のリーマンショックから経済が停滞し、世界に貧困が広がっているのは歴然たる事実だが、そうした一般の状況と乖離するかのように、欧州サッカー界の金銭事情は現実離れするばかり。今も極端な右肩上がりだ。
 しかしそんな好景気もパンデミックで弾けてしまった。今回の欧州SL発足騒動が明かしたのは、ファン不在の一部の権力者に牛耳られたビッグ・クラブの実情に加え、いつ弾けるのかと心配されていた欧州サッカー界の危いバブルがついに終焉したことだったのかも知れない。
 英国では今後、今回のような欧州SL構想が2度と立ち上がらないように、法整備をするという話も出てきている。しかし、ここではやはり、常識はずれの金満が続いた時代の終焉を意識する必要があるはずだ。
 今度こそ、有名無実になりつつあるFFP(ファイナンシャル・フェアー・プレー)を厳格に法定化して、バブル崩壊後のサッカー界を変革することが不可欠になりそうだ。」
引用:スポーツ報知

 この記事では経営規模が肥大化しすぎて、コロナ禍で頭打ちになったスペインのメガクラブが特にESLをやりたかったと書かれています。問題は現行の欧州サッカー界の現実離れした金銭感覚とあります。まさにバブル。バブルはどこかで弾けます。「FFP」というキーワードが出てきましたが、また今度リスペクトします。バブル化しないように英国を中心に法整備をして、しっかり管理して欲しいと思います。バブル化して欲しくないです。欧州も日本も。

 従来のリーグ戦にもう一つカテゴリを上乗せして、スーパーもしくはプレミア化するビジネスモデルといえば、Jプレミアリーグ化構想と、WEリーグを思い浮かべます。2部リーグから引き離して、1部からの降格を(全くもしくはなるべく)無くすモデルとしては本当によく似ていると思います。ESL構想がすぐに頓挫した事に象徴されるように、ファン(ファン・サポーター)不在で一部の経営者(運営者)が思い描いただけのもろい大会方式だと思います。
 ESL騒動で浮かび上がってきたのが米国勢力(米国人の関与)。昇降格の無いMLBやMLSの米国方式こそが理想的なビジネスモデルという主張なのでしょう。でも、サッカー発祥の地の欧州では通用しなかった。それではこの「米国」部分って、日本ではどうかなのかと思い返してみる。2ステージ制騒動の時も確か、プロ野球に慣れている日本人はクライマックスシリーズと同じプレーオフ方式を受け入れてくれるだろうと言われていたっけ。
 かつての2ステージ制騒動も、MLSのプレーオフ方式を強く意識していた覚えがあります。現在、Jプレミア構想を口にされている木村専務理事(米証券会社Gサックス出身)は、以前に米国視察を行い、米プロスポーツ(MLS等)を理想とし、米国のビジネスモデルを取り入れたいと思われているイメージが昔からありました。そういえばJ2岡山の木村社長時代の経営イメージ(現在はどうなのか)もどちらかといえば欧州型よりは米国型に近かったのかもしれない。
 ならば、WEリーグはどうか。おっと岡島チェアがアメリカ在住で、米女子プロリーグを強く意識されていました。つまり、当ブログとしては、JプレミアもWEリーグも、Jリーグ百年構想につながる欧州型から離れた米国型を意識した大会モデルと思っています。今回、ESLが騒動であっという間に終わったという事は、Jプレミア構想も一時の騒動で終わり、WEリーグも長続きしないという事なのかと今回の騒動の報道を観ながら思いました。長くなったので、この辺にしておきます。またリスペクトしたいと思います。
欧州スーパーリーグ騒動関連:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20201023
#がんばろう日本 #ThankYouHealthcareWorkers #ThankYouCaregivers 

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