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クラブ経営について76

2017-11-13 00:01:26 | サッカー(Jリーグ(J1・J2)・国内)

 リスペクト(事例紹介)コラムです。
 先日、群馬さんがJ2最下位とJ3降格圏が決定しました。J3降格が決定した訳ではありません。いつもならそのままJ3降格が決定ですが、今季は特殊です。秋田さんと沼津さんはJ2ライセンスが無いためにJ2に参戦する資格がありません。Jリーグ規定にJ3クラブのJ2昇格条件について書かれてあり、J2昇格圏のJ3の1位と2位に秋田さんと沼津さんでフィニッシュすると、J2昇格もJ3降格も無い事になります。すなわち、群馬さんのJ2残留が決定するという事です。
 なので、当ブログでも群馬さんの最終結果が出るまではここで語りにくい面があり、まだ記事が書けません。ただ、J3降格圏決定の時にサポーターが掲げた横断幕のインパクトが強かったので、今回は一つの情報という事で紹介させていただきます。今回は8月にQolyに出ていた群馬さんの記事を引用して紹介。
             
【J2最下位ザスパクサツが抱えるGM問題!ヨーロッパの先例から学ぶべし】
「かつて、ザスパクサツは深刻な経営難に陥っていた。Jリーグでは3季連続赤字になるとライセンスが剥奪となる。2季赤字だったザスパを救いJ1ライセンスを取得するまでに復活させたのが菅原宏GMである。」

〔菅原宏GMとは何者か?〕
「ここで問題になるのが菅原GMの経歴である。」
「簡単にいうと前橋市のサッカーを発展させてきた人物である。前橋商業高校で初の全国大会に出場した時のメンバーで、高校卒業後に現在のtonan前橋の前進である図南クラブを設立した。」
「ザスパ草津は前橋商業や前橋育英が中心だった群馬県に誕生した初のJクラブであり、菅原氏は草津から群馬県全県へと展開を広げたザスパクサツ群馬のGMに2014年に就任した。だが、tonan前橋というチームで監督兼代表を務めてきた人物がJ2でGMも兼務するのはありなのか?という問題が指摘されている。実際に菅原GM体制では今季新人を多く獲得した。正ゴールキーパーの牲川歩見をはじめ多くの若手選手が起用されているが、一方で若手がtonan前橋に期限付き移籍でレンタルへ出されている。」
「期限付き移籍をしながらも「週に何回かはザスパの練習に参加する(菅原宏GM談)」というのが生み出された手法だ。しかし、現状では上手くいっていないというのが正直なところだ。」
「まだ1年という期間ではあるが、今のところ昨年tonanでプレーした選手がザスパの主力へと成長するようなことはない。」
「今季の体制はザスパクサツ群馬(J2)、tonan前橋(関東2部)で、さらにザスパクサツ群馬チャレンジャーズ(群馬県1部)、tonan前橋サテライト(群馬県1部)とサテライトチームが加わるために実質4チームに影響力を持っていることになる。サテライト2チームは同じカテゴリだ。」
「決してうまくいっていない。今季のザスパクサツでは8月18日現在2名の選手しか前所属tonan前橋という選手はいない。」

 先日、J2群馬公式HPから監督、GM、社長の退任が発表されました。なので、菅原GMは過去の人という事になります。なので、もうあれこれ触れるもどうかと思いますが、あくまで参考事例という事でお読み下さい。群馬さんの情報については、ネット情報を中心にいろいろと読みました。経営危機になり、J1ライセンスが取れない群馬さんが、禁じ手として県サッカー界の有力者を招聘したとか、昔関東リーグ出場権を賭けた県代表戦で直接対決し、負けた前橋さんにとって、群馬さんはネガティブな存在であり、群馬さんの弱体化を望んでいたのではないかとか、菅原GMは今季もほとんど試合会場に来る事はなく、クラブが連絡が取れない存在だったとか、菅原GMはJ2群馬とは出資等の金銭的な関係は持っていなかったとかいろいろ。
 その辺りは後日詳しく書くとして、このコラムでは、同じ人物が実質4チームに影響力を持っていた事について、注目していました。そして、その異様な体制は決してうまくいっていなかったと。では、海外を含めてそういう事例が無いのかという事で、まずはセリエAの事例が出ました。

〔ペルージャが描いた未来予想図〕
「1991年から2004年までペルージャの会長を務めたルチアーノ・ガウッチとその一家は新しいビジネスモデルを考えていた。」
「世界のあらゆる選手をプレーさせようとした。」
「選手を活躍させビッグクラブへ売却させる戦略をとっていた。一方でこうした世界に目を向け選手を獲得し成長させてビッグクラブへ売却するというスカウティングは21世紀には“ふつう”になっていった。そこで、同国内のセリエB~Dに所属する選手に目を向けたのだ。 そこで考えたのがサテライトチームを同国内に作ることである。20億リラでサンベネデッテーゼを購入するなど、彼らは最大でセリエAにペルージャ、セリエBにカターニア、さらにセリエCクラスにサンベネデッテーゼ、ヴィテルベーゼと4チームを所有した。選手をそれぞれのカテゴリで行き来させることで1~4軍を同国リーグ内に持たせようとした。」
〔下部選手を育てて売る。ペルージャが目指したサテライト方式〕
「“育成”のペルージャは、中田英寿がプレーしていた時代よりも好循環を生み出し2001-02シーズンには一桁順位の8位、翌2002-03シーズンも9位フィニッシュと中堅クラブへ定着した。一方で、その裏には大きなサポーターの反発があった。当たり前だが「毎シーズンのように活躍した選手がこぞっていなくなる」「なのに、獲得するのは2~4部でしか経験のない若手」とあれば前評判は低い。さらに、ガウッチ一家は選手売却で稼いだ金額をペルージャの選手獲得へは投資せず、毎シーズンのようにペルージャは降格候補にあげられた。」
「毎年新戦力を下部から獲得してうまくいくことは難しい。2003-04シーズンにはUEFAカップとの両立もたたりセリエA15位でプレーオフの末にセリエBへ降格している。ペルージャは2004-05シーズンをセリエB3位で終えセリエAプレーオフを戦ったが、その直後ガウッチ一家の脱税などが明らかになり破産。セリエC1から再出発となった。」

 ペルージャといえば、ヒデ中田が颯爽とセリエAに移籍したクラブとして、当ブログも鮮明に覚えています。当時のペルージャは徹底して、同じセリエAの若手選手を獲得しては、育成後売却していたのですね。そこで得た資金でチームを強化しなかったために、チーム力の維持ができずに結果的に下部リーグに降格していった訳ですか。Jリーグでもよく「育成型クラブへの移行が理想」という話をよく耳にし、J1柏が現在のJリーグの理想形と言われていますが、柏も真ん中から下は育成型ですが、前は基本的に選手を獲得しているので、全部育成ありきではないと思っています。以前の記事で、下平監督が「理想は8+3」と、11人のうち8人が育成選手である事が理想と言っており、数のバランスが大事と触れています。
 そう見ると、詳しく確認していませんが、ペルージャは前から後まで育成しては売却していき、サポーターの反発を買うくらいに選手が定着していなかったのですね。そりゃサポーターも満足しないでしょう。Jリーグで、育成型にほど遠いクラブで、レンタル選手が活躍しても、すぐに去っていく事に対してサポーターが不満に思う例がありますが、逆の事例になるので、ちょっと面白いです。その一方で、ペルージャのやり方を応用させたような方法でうまくいったのがウディネーゼだそうです。
              
〔ウディネ・イズム。北中米やアフリカからも選手を獲得する〕
「ウディネーゼは「世界各地から若手選手を格安で買ってきては育てて売る」というスタイルで成功を収めてきたチームである。」
「ヨーロッパや南米はいざ知らず、今まで目を向けていなかったアフリカ(スティーブン・アッピアー、シヤボンガ・ノンヴェテなど)、北中米・カリブ(サムエル・カバジェロなど)といった地域の国内リーグからも活躍できそうな選手を引っ張ってくるというスカウト網がウディネーゼらしさといってよいだろう。」
〔世界にサテライトチームを持つ。ウディネーゼのやり方〕
「ウディネーゼがペルージャと違うのは「世界に目を向けた」ことである。」
「5大リーグの下部に低迷するチームを購入し選手をレンタルの形で送り込む。結果、ワトフォード、グラナダは1部昇格を勝ち取るなど好循環を生み出した。」
「ビッグクラブと同等の20人、30人といった人数を毎年傘下のチームを含めた世界各国のチームへ送り込んだ。そして、ウディネーゼのスタイルはここまで成功している。ひとえに見切りが上手いのだ。」
「また、ガウッチ、ポッツォともにチームは買った後に短い期間で売却も経験している。素直に複数チームを運営することは難しいだろうが、投資の意味合いで購入しカテゴリをあげるなどして売却するという手法でもあるのかもしれない。そう考えるとザスパクサツかtonan前橋のカテゴリを引き上げたのちに売却や買収をするというのは1つの選択と言えるだろう。」

 ウディネーゼといえば、あのザック前監督が90年代にセリエAで躍進させたことで有名なクラブですね。国内での育成に偏重したペルージャに対して、ウディネーゼは世界中から獲ってきた若手選手を育成する形。これは実はドルトムントなど、ドイツのクラブの現在の特徴でもあります。そして、世界中にサテライトチームを所有しているというのはスゴいですね。これは日本ではJ1新潟やJ2横浜がアジアに少し下部チームを所有している事例があります。でも現地のチームの買収では無く、自チームの海外版という形。
 上の2クラブのオーナー(ガウッチ=ペルージャ、ポッツォ=ウディネーゼ)の共通項は、買収したクラブを長く持たずに手放している事だそうです。コラムでは群馬さんが、自チームか前橋さんのどちらかを育てた後に売却のも一つの選択肢という斬新案を提示していますが、当事者が見たらたまげるのでは。イングランドの事例もありました。

〔選手を大量保有するイングランドのケース〕
「イングランドでは50人、60人のプロ契約選手がいるのが普通だ。イングランドではその代わりに、アカデミー以外にプレミアリーグ2(21歳以下のリーグ戦)、短期レンタル(短い期間下部リーグへ移籍できる)がほぼ1年中できるなど選手が経験を積める土壌が多く用意されている。そのために実質アーセナルのサテライトのような提携関係にあるようなチームは少なくない。」

 これはすごい話ですね。前にメキシコリーグの話を聞いた時もカルチャーショックを受けましたが、イングランドもスゴい。上のセリエA2クラブのように直接サテライトチームを持たなくても、リーグとして若い選手達に活躍の場が用意されているのです。プレミアリーグ2というサテライトリーグがあるのですね。あと、日本と違って年中レンタル移籍できると。さすが、歴史が違いますね。たぶん、メガクラブとプロビンチャクラブ間で、様々な提携がされているのでしょう。日本はこの2点について、まだまだ未成熟です。サテライトリーグは、JリーグU-23選抜では選手の集まり具合が悪く断念され、JクラブのU-23では手を上げるクラブ数がもう一つという状態で、練習環境などの格差等の問題も発生。まだまだ不安定な状況で、東京五輪前年まで試行錯誤は続く事でしょう。
                          
〔「他の選択肢はなかったのか?」ザスパの予算を考える〕
「ザスパには複数の選択肢があったはずだ。1つは、他国へサテライトチームを作ること、もう1つがU-23チームを別途作ることである。」
「U-23チームの年間予算は発足当時5000万円は少なくともかかると言われていた。数年間の運営の結果、実際には1億円以上の支出が必要になっている。つまり、U-23チームをJ3に参戦させることができるのためにはお金が必要なのだ。
そして、もう1つが他国へサテライトチームを作ることである。」
「若手選手を送り込みその後主力へと成長させているという点については、まだ大きな成果を残しているとはいいがたい。また、シンガポールであっても年間予算は1~2億程度は必要である。」
「小さくて良好な経営では、そうした大きな支出をすることは難しい」
「国内ではチーム同士が提携関係を結んでいることは問題がない。」
「問題はザスパクサツとtonan前橋の関係である。問題点は2つだ。1つはJリーグの規則では以下のような規則がある。」
Jクラブの役員または職員は、以下の事を禁止されています。他のJクラブまたは当該他のJクラブの重大な影響下にあると判断される法人の役員 または職員を兼務すること。JFL以下はJクラブではないからtonan前橋とザスパクサツの兼務はOKということなのだろう。」
「トップからアカデミーまで、指導者や選手の交流をしたいと思っていますし、現在は指導者の交流をしています。確かに現ザスパクサツGM補佐の氏家英行氏はtonan前橋でコーチ、監督代行を行っている。」
「今季J2でダントツの最下位で調子が悪い、しかも起用されるのは実績がない若手選手ばかりという状況だからこそこういう問題になっているのだ。」
「財政を健全化させつつ少ない予算で大学サッカーなどからよい若手選手を獲得しチームもJ1へとステップアップさせていく、ザスパクサツ群馬が掲げる理想はなかなかに難しい。」

 ようは育成組織がしっかり運営され、実績を残せていれば良かったのですが、下部チーム運営にはお金がかかります。育成組織はお金をかければいい、年月をかければいいというものではないと思います。J2岡山も何年か前にネクストを解散しました。ちなみにJ1柏は確かに日本で初めて少年サッカースクールを作った歴史のある古豪ですが、アカデミーからトップまで一貫したチームコンセプトがあるから、成功したと思っています。つまりお金でも年月でもない部分、関係者、当事者の心が統一していなければ決してできなかった偉業。実質4チームが中途半端につながっているだけの群馬さんでは難しいのは当然。
 ネットのどこかで、「合併」「統一」という言葉が出ていましたが、軽々には口にできません。先日のマスコミ発表で、社長、GM、監督の3人が揃って退任されました。ここから群馬さんと前橋さんがどう動いていくのかとても興味があります。実は昨日まで、群馬さんがJ2に残留する可能性がありました。このままJ2に残ったらどういう事になるのかと、個人的に混乱していましたが、今日のJ3で栃木さんが勝ち、可能性は低くなりました。これからの群馬さんに注目です。長崎さんのようにホワイトナイトが表れて蘇生して欲しいですね。
 あと、1県にJクラブもしくはJを目指すクラブが2つある環境について最近時々触れます。群馬県でもいい事になっていませんでしたね。岡山県は1つで良かったと思います。でも、将来はわかりません。ひょっとしたら、倉敷からJクラブを作りたいという動きが生まれようとしているのかもしれません。当ブログでは愛媛県や福島県、そして群馬県のようになって欲しくないので1つでいいと思いますが、未来はわかりません。そういえば昔、倉敷トライブというチームが下の方のリーグで活動されていましたが、今はどうされているのでしょうか。
 と書いてきて、群馬さんの一つ前の記事はとチェックしてみると・・・2014年でした。ひょっとしてと思って読み返してみると・・・「水と油」? あちゃーと頭を抱えてしまうタイムリーな内容でした。「深い」ですね。本当に今後の群馬さんの動向に注目です。
引用:Qoly
J2群馬公式HP:http://www.thespa.co.jp/
tonan前橋公式HP:http://tonan-sc.jp/
J2群馬関連⑦:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20140427
  〃     ⑥:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20130413
  〃     ⑤:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20130207
  〃     ④:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20100311

  〃     ③:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20090520
  〃     ②:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20051022
  〃     ①:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20051020 

 話は変わり今日、奉還町りぶらで開催された、ファジのアウェー横浜戦のPVに参加してきました。その模様は明日。加えて山口さん、J3降格圏脱出、とりあえずおめでとうございます。

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