新聞のコラムや時評、週刊誌の書評など、年内に書くべき原稿の仕事がすべて終わった。
おつかれさま、ワタシ(笑)。
そこで、この冬休みに読みたい、書評や仕事とは無関係の本を仕入れに、神田神保町へ。
九段下で地下鉄を降り、ゆるゆると歩きだす。

地上に出れば軍人会館、いや九段会館がそびえている。3月11日の震災では、天井が落ちて人が亡くなった。合掌。
この界隈をのんびり歩くのも久しぶりだなあ、と思いつつ神保町エリアに入っていく。

神田古書センター、田村書店、小宮山書店、少し回りこんで三茶書房。
結局、学生時代から立ち寄ってきた店に、いつも寄るわけです。
すずらん通りに入って、最初のお宝あり。

三省堂書店裏側の小さな広場のワゴンというか出店で、大量の三島由紀夫を発見してしまった。
何とほとんどが初版で、しかもいずれも1000円以下と安価なのだ。
さあ、大変(笑)。

入手したのは・・・・

『沈める瀧』中央公論社(昭和30年4月 初版)

『美徳のよろめき』講談社(昭和32年6月 初版)

『音楽』中央公論社(昭和40年2月 初版)

『対話・日本人論』番町書房(昭和41年10月 初版)

『わが友ヒットラー』新潮社(昭和43年12月 初版)

『命売ります』集英社(昭和43年12月 初版)

『対談集 源泉の感情』河出書房新社(昭和45年10月 初版)

『新潮 三島由紀夫読本』新潮社(昭和46年1月臨時増刊)

『蘭陵王』新潮社(昭和46年5月 初版)

『わが思春期』集英社(昭和48年1月 初版)
・・・・それぞれの本の感触に、時代がフリーズドライされているようで。
さらに、オマケのように(笑)、大江健三郎の初版も1冊見つけてしまった。

大江健三郎『日常生活の冒険』文藝春秋(昭和39年4月 初版)
勢いに乗って、そのまま三省堂第2アネックスビルに入り、エレベーターで5階の神保町古書モールへ。
ここでは開高健の、やはり初版本に遭遇してしまう。
1冊500円となっていて、それでも十分なのに、さっき三島本を購入した際に「御買物券」400円分をプレゼントされたので、名作2冊を計600円にて入手。
何だか開高さんに悪いみたいだった(笑)。

開高 健『夏の闇』新潮社(昭和47年3月 初版)

開高 健『ロマネ・コンティ・一九三五年』文藝春秋(昭和52年5月
初版)
かなり重くなった手提げ袋を持ちながら、すずらん通りを歩き出したのだが、ボヘミアンズ・ギルドでストップ。
店先の棚に「みすず書房」の本がどっと並んでいたのだ。
岩波書店の岩波茂雄や筑摩書房の古田晃などと同じく、みすず書房創業者である小尾俊人もまた、わが故郷・信州の生まれ。
「みすずかる信濃の国」なのです。
ま、それはともかく、みすず書房も良質の本が多いのだが、基本的には結構いい値段(笑)であり、学生時代には、そう簡単に手が出せなかったのを思い出す。
で、この“みすず棚”で見つけたのが、中野好夫の以前から気になっていた2冊だ。各300円也。

中野好夫『酸っぱい葡萄』(昭和53年10月 2刷)
中野好夫『人は獣に及ばず』(昭和57年6月 初版)
・・・・ということで、本日の“仕入れ”は終了。
大収穫に満足し、両手のずっしりとした重みと共に、地下鉄の駅へと向かいました。
やはり“古書ワンダーランド” 神保町は楽しい(笑)。