ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

昨日は〝立冬〟でしたよ!

2020年11月08日 | 俳句

 昨日7日は「立冬」でしたね。〝冬立つ〟〝冬に入る〟〝冬来る〟〝今朝の冬〟ともいって、全て初冬の季語になります。

  菊の香や月夜ながらに冬に入る       正岡子規        

 歳時記に載っている結構知られた句ですが、この句には「菊」「月」「冬に入る」と、三つも季語があります。普通はこんなに季重ねのある句は採り上げられないのですが…、なぜだかいやに説得力のある句なんですよね。これが子規の句だからというのではなくて…。もちろん季語と知った上での作でしょうが、江戸時代やこの子規の時代ではあまり季重ねのことは気にしていなかったような気がします。

 ここに描かれているのはきっと実景なんでしょう。まさに秋の終りの景。ただ、暦の上だけでは間違いなく「冬」が来たということ。先ず子規を突き動かしたのは〈菊の香〉、即ち嗅覚…その香りにはまだしっかりと〝秋〟が感じられたのです。更に見上げれば今日は綺麗な月夜…と、今度は視覚を加えての完全なる〝秋〟を思わせる様子。しかし、そういえば今日は立冬だったのだなあと、子規の思いがやっと冬に至ったという構図が見えてきます。それが〈ながらに〉という語の働きなんですが…。

 私はここでちょっと考えて見ました。上五を敢て〈菊の香〉にしなくても、季語以外のものでもよかったのではと。例えば、「美しき」や「澄み渡る」などのような月夜の描写などで。しかし、そうなると〈…月夜ながらに冬に入る〉となって、散文的で理屈っぽくなる。ここでは〈冬に入る〉という季節の移り変わりへの驚きが重要なのだ。とすれば、〝秋〟を印象づけるもの、月だけでは弱い。もっと強烈な決定的なものが必要となったのではないか。この句では香と言っていますが、当然菊の花の映像もしっかり見えてくるでしょう。それも切字「や」で印象づけるのですから秋真っ盛りの菊を連想したとしても不思議ではありません。

 読者に秋を代表する花、「菊」を焼き付けて、さらに「月」で引き延ばしておいて、最後に「冬に入る」という決定打を打つ。しかし、その作為を感じさせないところに説得力があって、読者は納得させられるのです。ちなみに、この句は「冬に入る」が主で、「菊」と「月」は副ですから、冬の句になります。なぜなら月は年中ありますし、菊も秋だけでなく夏から冬まであります。しかし、立冬は1日だけのことで、季語としては動かないから強いのですよ。

 こう考えてきますと、この句の季重ねがイヤミには感じられず、却って季節の移ろいというものが前の季節を色濃く残しながらもいつの間にか次の季節へと変わっていくものだと…。昔、といっても子規の頃ですから明治時代ですが、実際の風物と暦の上での季節というものに多少の隔たりがあったということかも。

 それが今日のような地球温暖化の中では暦と現実との季節感のズレはいよいよ大きくなってきています。今年の〝立秋〟などはまさに然り!そうなると、これからその傾向は益々強くなるのでしょうから、多くの季語の見直しが必要になってくるのでは…と思うのですが、皆さんはいかが思われますか?

 写真は、我が家の菊です。皆小菊ですが、今ちょうど真っ盛りで…これ、もう「冬菊」と詠まないといけないのかしら?

 ところで、昨日は前日の鰯雲のせい?で、こちらでは一日中よく降りましたが、今日はまた快晴になりました。本日8日の午前には、「立皇嗣宣明の儀」が皇居・宮殿「松の間」で厳かに行われたというおめでたいニュースが流れていたというのに、他方では相変わらずの新型コロナのニュースが…。

 昨日の新型コロナウイルスの感染者は、全国で新たに1332人が確認され、3日連続で1日当たりの新規感染者が1000人を超えたんだとか。また、新規感染者が1300人を超えるのは8月14日以来で、クルーズ船の乗客乗員らを合わせた感染者は計10万8163人、死者は4人増えて1829人となったようです。

 東京都では294人で、3日連続で200人を超え、北海道は187人、神奈川県は137人でいずれも1日あたりの過去最多を更新。大阪府も191人だったんですって。

 それが今日は、東京は189人と200人を切っていますが、北海道などでは今日も152人と、収まる気配どころか増え続けているようすで…。

 先ほどNHKスペシャルで「新型コロナ 全論文解読~AIで迫る いま知りたいこと~」を、少しだけ見たのですが、なんだか恐ろしいような…罹患した人の後遺症などが大変な様子でした。今度オンデマンドでもう一度ゆっくり見てみたいと思っています。

 それでは、皆さまも充分に気をつけられて…オヤスミナサイ!

コメント (2)
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