ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

〝宗隣寺〟の値打ち知ってますか?

2020年07月15日 | 俳句

 昨日は午後から俳句教室、今日は朝から吟行会でした。

 昨日の教室が終って外に出ると、久し振りの青空に眩しい日差しまで。これぞまさしく梅雨晴間、明日の吟行会は大丈夫かもねと…

 ところが、今一つの天候でした。一応午前中は曇りという予報でしたのに、少しパラパラと…でもたいしたことはなくまあまあの吟行が出来ました。

 まだコロナが落ち着いていない状況ですから今回は近いところでということで、宇部市内の宗隣寺とその近くの護国神社への吟行でした。どちらも何度も行っていますので、みんな見飽きているところ。その見慣れた情景から新しい句材を見つけ出すというのが今日のテーマですよと言うと、早速〝今日は絶対古刹という言葉を使わずに詠んでみようと思っていま~す〟という人が…。なかなか良い心がけですね。これでみんなも刺戟を受けて、さあそれでは句材探しへ…出発!

 以前にもこの〝宗隣寺〟については紹介しましたが、山口県ではまあ有名なお寺なんですよ。

 この寺は、奈良時代の777年(宝亀8年)、唐より来朝した為光和尚によって松江山普済寺として創建されたと伝えられる古刹で、江戸時代の1670年(寛文10年)、長州藩永代家老で宇部領主であった福原広俊(15代)が菩提寺として再興した禅宗(臨済宗)の名刹です。1983年(昭和58年)には国指定名勝を受けました。

 特に有名なのは本堂の北側にある築山泉水庭で、「龍心庭」と呼ばれている県下一の古庭園。池の浅瀬は干潟様、池中の8個の立石は夜泊石(よどまりいし)と称されていて、「東の毛越寺(平泉)と西の宗隣寺」のみに現存するという鎌倉(南北朝)時代の遺構をのこす貴重な書院庭園なんです。

 立石を2列に配置したこの〝夜泊石〟は、蓬莱へ向かう集団船(宝船)が夜のうちに船溜まりに停泊している姿を抽象的に表現したものといわれています。他にこの夜泊石が見られる庭園では、世界遺産・特別名勝になっている金閣寺や西芳寺などだと。

 また、〝干潟様〟というのは、池畔に小石を敷いて、池の水位により干潟が見え隠れする潮の干満を表現したもの。これが日本に現存するのは、この宗隣寺と世界遺産で特別名勝・特別史跡の毛越寺だけだと。スゴイでしょ!(この写真はブレていたので、お借りしました。スミマセン!)

 私も最初この庭園の良さが分らず、初めて見に来たとき〝ふ~うん〟という程度でした。私が結婚してここに来た頃の知識では、宇部といえば石炭の町、それで栄えて一躍村から市へ昇格したところだということぐらい。地元でもそれほど宗隣寺のことを自慢げに言う人もなかったような…。

 要するに、山口県といえば萩にある吉田松陰の松下村塾をはじめとする明治維新に関わる史跡や平家物語で有名な壇ノ浦など、日本の歴史を大きく変えた史跡がありますので、宇部などに関心を持つ人などは殆どいなかったのです。更に山口県には秋吉台とか錦帯橋とか他に見るべきところはたくさんありますので。

 いつか東京で出身地を聞かれたことがありました。〝山口県の宇部です〟というと、〝ああ、あの宇部商があるところ…〟と。ちょうど無名の宇部商が甲子園に出場し、全国の人々の予想を外してあれよあれよと勝ち進んで、〝ミラクル宇部商!〟とまでいわれ、準優勝した頃のことだったかしら。まあそれぐらいしか知名度のないところでしたものね。

 もし、宇部が立派な歴史的遺産のあるようなところだったなら、また、宗隣寺が萩の近くにあったとしたらこの庭園も、世界遺産とまではいかなくとも特別名勝ぐらいにはなったかも。規模は少し小さいですが、それぐらいの価値は十分にあるのではと思います。最近は観光バスも来て、少し宣伝しているようですが。でも、観光地化されて喧噪になるよりは、こういう鄙びてひっそりとしたところが却っていいのかも…。

 ところが、その素晴らしい価値を一番分ってないのが宇部市民なのかもしれません。アハハ… 要するに宝の持ち腐れですね。しかし、私も今回じっくりと拝見していると、その良さがしみじみと感じられ、だんだん心が安らいでいくようなそんな気分になりました。ここではもうコロナのことなんか全く関係な~い……でも、みんなしっかりマスクをしていましたが。(笑)

 その後、もう少し時間がありましたので、護国神社までぶらぶらと…田圃の中の小道を歩いて行くと、やっぱり何かみんな拾ったようですよ。吟行は決して目新しいところばかりでなくてもいいんです。ほら〝犬も歩けば棒に当たる〟というでしょう。でも、このことわざには二通りの意味があって、本来は災難に遭うという悪い意味だったらしいのですが、吟行では、もちろん思いがけずいいものに出会うということね。

 さて、みんなどんな句材を拾ったのかしら…楽しみ!

 他にも写真や話などがありますが長くなりますので、それはまた次に…。今日はここまでね。

 

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする