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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

特集諸星大二郎の世界~ぱふ’79年1月号

2021-07-31 18:52:08 | 諸星大二郎

まんが専門誌ぱふ 1979年1月号 清彗社
これは今年5月に古本市みたいなとこで見つけたもの、催し物としてはサブカル展みたいなタイトルついてたと思うが、こういう古い雑誌がけっこうあった。
もちろん、表紙に「特集 諸星大二郎の世界」って書いてあったから、それ目当てに買ったわけで。
「未発表作品 昔死んだ男(32P)収録」ってのもなかなかそそる見出しだが、読んでみたら、読んだことあった作品だった。
あとから探したら、『コンプレックス・シティ』に収録されてんだが、その単行本は1980年11月なんで、1979年時点では初出ってことだ。
(こういうとき作品を探すには『諸星大二郎博物館』というホームページがすごく便利、秀逸である。)
この雑誌の発行時点のプロフィールでは、コミックスリストは『暗黒神話』『妖怪ハンター』『孔子暗黒伝1・2』『夢みる機械』『アダムの肋骨』しかないし。
1970年のデビューから1978年12月までの作品一覧表というのもあるが、最新が「徐福伝説」で第43作目とナンバリングされている。
そういうわけで今からみると、ごく初期の作品しか対象になってないんだけど、そこはマニアックな人気が最初からあるので、論評を寄せてるひとはみんなそれぞれ熱いものがあります。
そのなかでも手塚治虫氏が、「ど次元世界」が好きだ、「あれだとわけがわからんながらもとにかくおもしろいんですよ」とか言ってるのは興味深い。
>やっぱり、SFファンと諸星さんの固定ファンのためにですね、今後も描き続けていってほしい。一般の読者をあまり考慮せずにね。或いは、人気とかヒットするかどうかとか大衆うけとか、そういうことを全く考えずにやっていかないと諸星さんは自滅すると思うんですよね。(p.27)
なんてことを今後の期待として語ってますが。
一方で、諸星さんご本人のインタビューもあるんだけど、これが「……」が異常に多い、無言の箇所をわざとそのまま出してくる編集なので、ほんと黙ってしまってる様子がうかがえる。
去年のNHK・Eテレの「漫勉」に登場したときも、寡黙だったからなー、あれテレビ嫌いとか苦手だとかぢゃなくて、昔っからのままだったんだなと再確認してしまった。
インタビュー番外編の筆記回答というなかではおもしろいこと言っていて、
>○怪奇的な事象は科学で解明できると思われますか?
>この質問は間違っている。
>「科学的な事象は怪奇で解明できるか」というのが正しい質問であり、それに対する答は「科学的な解明は怪奇な事象である」となります。
というQ&Aがよくわかんないんだけど印象的。
コンテンツは以下のとおり。
ぱふ美術館
読者のおたより
プロフィール
サイレント・インタビュー――諸星大二郎さんの静かな次元を訪ねて――
諸星大二郎を語る 手塚治虫
諸星世界の幻獣グラフィティ
諸星大二郎――しんとしずまりかえった異常な世界―― 山田正紀
諸星王国の極私的あかでみ賞 まついなつき
所感・諸星大二郎について 服部隆彦
登場人物はすべて作者の分身なのです 筆記回答・諸星大二郎
不安な風景の中の美女 矢野敬子
諸星大二郎名セリフ名場面
諸星大二郎君への手紙 光瀬龍
未発表作品「むかし死んだ男」
コミックス日誌・あたまの中の細密画 小野耕世
1ページ劇場「見ろ、指導者が悪いとああなる。」 諸星大二郎

巻頭すぐの13ページから82ページまでが特集なのに、突然ずっと飛んだ228ページに諸星作品の1ページ劇場をぽつんと載っけてるとか、ずいぶんいーかげんな構成だ。
それにしても、1979年とはわかっているものの、「今、いちばん注目をあつめている若い作家、大友克洋」なんて記事のタイトルをみると、ちょっとしたタイムスリップ感が味わえてしまう。


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