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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

美少女を食べる

2020-12-06 17:48:49 | 諸星大二郎

諸星大二郎 2020年12月 小学館・BIG COMICS SPECIAL
出ました! 待ちに待ったというか、いつ出ても大歓迎の、諸星大二郎の新刊だ。
奥付には12月5日発行ってなってるけど、発売日は11月30日だという情報つかんだんで、その日にすぐ書店行って手に入れたさ。
世間で騒々しくしているマンガなんかは私には関係ない、なんつっても諸星大二郎作品がいちばんさ。
「諸星大二郎劇場第3集」ってことになってて、『雨の日はお化けがいるから』『オリオンラジオの夜』につづく短編集。
初出は「ビッグコミック増刊号」で、何か月かに一度載るみたいだけど、あいかわらず雑誌読んだりはしないので、こうして早く単行本にしてくれるとうれしい。
ちょうど11月12日放送のNHK教育(どーでもいーが「Eテレ」って何のつもりのネーミングなんだろ)「漫勉」で諸星先生執筆の様子やってたから、新しいやつ読みたいなと思ってたとこだったし。
至福至福、新作のページをめくっていくときは、私にとってとても幸せな時間だ。
ただ、そのテレビ番組で、「僕も、なんか天竺まで行けないんぢゃないかな、と思ってる」って言ってたのが気にかかる、どうなる西遊妖猿伝!?
「鳥の宿」
ビリー少年の家の屋根裏に、鳥が迷い込む。
鳥ったって普通の鳥ぢゃない、『バイオの黙示録』や『私家版鳥類図譜』でおなじみの、背中に羽のはえた人のかたちの鳥。
「月童」
「星童」
月童はユエトン、星童はシントンと読む、中国の明だか清だかの時代の話。
星童は人間のように動く人形、月童は一緒についてきた少年で人形の操作をする。
生きているかのように舞を踊る人形ったら、『巨人譚』のなかの「阿嫦」って話もあったな、いつの間にか人のほうが人形に操られていくような不気味さ。
「美少女を食べる」
十九世紀ロンドンの“悪趣味クラブ”といえば『雨の日はお化けがいるから』のなかの短編「空気のような…」にも出てきた紳士の集まりだが。
アシュトン卿の語る本日の悪趣味な話はといえば、人肉料理しかも美少女の肉料理を食べたという経験談。
「アームレス」
アームレスは女性型サイボーグの名前、その名のとおりふだんは腕がないが、状況に応じてトランスフォームしたりする。
戦争前の技術でつくられたメカで今はメンテナンスできる科学者もおらず、あるキャラバンに同行して力仕事をしている。
「タイム・マシンとぼく」
“ぼく”こと春男くんが“ちいちゃん”と映画を観にいくということで、『オリオンラジオの夜』のなかの「原子怪獣とぼく」「ドロシーの靴」につらなるシリーズ。
「タイム・マシン/80万年後の世界へ」をみてたらタイムスリップしてしまう、未来っていっても昭和37年から昭和42年へ行くってこじんまりしてるとこがご愛敬。いいなあ昭和の映画館“木元オリオン座”。
「俺が増える」
ある晩に街はずれの建物の二階で女と酒を飲んで騒いで二日酔いになったアンドレ。
その後その部屋へは行っていないはずなのだが、知人たちは毎晩そこで彼の姿を見ているという。
乗り込んでみたら、ほんとにもうひとりの“俺”がいて驚く。
二人ならよくある話のようだが、しばらくすると“俺”が三人になってるのは笑える。


 


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