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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ラヴクラフト全集1

2024-05-09 18:34:21 | 読んだ本
H・P・ラヴクラフト/大西尹明訳 1974年 創元推理文庫
はじめて読んでみた、ラヴクラフト、名前は知ってたんだけど。
っていうのは私の好きな諸星マンガの『栞と紙魚子』シリーズにクトルーちゃんというキャラクターが出てくるんだが、そのあとがきで
>クトルーちゃんについて一言。ホラー小説ファンなら言うまでもないことですが、これはラヴクラフトの一般に『クトゥルー神話体系』と呼ばれているものから取った名前です。
ってあって、諸星ファンなら言うまでもなく読んでなきゃいけないのかもしれないのかと名前はおぼえてたんだけど、なんとなく敬遠してた、なんか「神話体系」とかいわれるとねえ、ついてけないかもしれないから。
今回読んでみようと思ったのは、ここのところ私にとっていろいろ読書案内になってる『厭な小説』の巻末解説に、
>古典では、クトゥルー神話の生みの親、H・P・ラヴクラフトを挙げておこう。マサチューセッツ州の古い港町インスマウス。ここは何故か忌み嫌われており、近隣の町の人々もほとんど行き来しなかった。インスマウスの住人には、外見的に厭な特徴があった。(略)
>祖先が済んでいた土地に建つ古い修道院を買い取った主人公。彼の家系には、かつて忌まわしいことがあったらしい。(略)読者は、ああこんなところに住まなければいいのに、と厭な思いをしつつ読み進める羽目になるのだ。ラヴクラフトの小説は、いずれも想像力を不快に刺激するものばかりである。
って紹介されてたんで、べつに厭な思いをしたくもないんだが、短篇集なら読んでみてもいいかあと思ったもんで、ことし2月ころだったか、古本を買い求めてみた。
よせばいいのに忌み嫌われてる街を好古趣味で訪れてみた「インスマウスの影」では、さっさと帰ろうと思ったのにバスがないので泊まることになってしまった結果、夜中にえたいの知れないものに追いかけまわされることになる、悪夢的だなあ。
「壁のなかの鼠」は古い建築物の壁の裏を鼠が走り回ってるのはたしかなんだが、ぢゃあ地下の穴ぐらを調査に行こうってことになると、なんで鼠がいるんだってのが見えてくることになる、厭だね、これはたしかに。
「死体安置所にて」は葬儀屋がアクシデントでひとり墓地の死体安置所に閉じ込められちゃう、脱出するためにバチあたりにも複数の棺桶を踏み台にするんだが恐ろしいことにおそわれる。短い話なんだが単純でおもしろくて、これがよかったな私は、厭な感じぢゃないし。
「闇に囁くもの」は人があまり行かない山に棲む、どんな動物にも似てない生きもののウワサ話に端を発したとおもったら、そいつらは宇宙からやってきたんだ足跡も声の録音も証拠はあるぞと現地から手紙でレポートを送ってくる男が登場する。海王星よりも外の惑星「ユッグゴトフ」からきた、とか言われてもなあと、やっぱ話が大がかりになりすぎてて、私なんかはちょっと引いちゃう。
収録作は以下のとおり。
インスマウスの影 The Shadow Over Innsmouth(1931)
壁のなかの鼠 The Rats in the Walls(1923)
死体安置所にて In the Vault(1925)
闇に囁くもの The Whisperer in Darkness(1930)

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