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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

人達

2024-05-30 19:41:24 | マンガ
とり・みき 1995年 ぶんか社
これは今年3月の古本まつりで見つけて買った単行本。
見かけたことなかったものなので、なんとなく古いものかなと思ってたんだけど、巻末の著作リストみると、私の好きな「DAI-HONYA」が1993年なんで、それよりも新しいものだった、知らんかった。
なかみは、「1人目 介錯人」とか「2人目 巨人」とか「3人目 煙突掃除人」とかタイトルつけての連作的なものなんだが、連載してたのを集めた短篇集だろうと思ってたんだけど、各話が長いのだと8ページあるときもあるかと思えば、1ページだけのものもあるんで、ふしぎな構成。
期待にたがわず、けっこうおもしろいものだったんだけど、例によってとり・みき作品の何がおもしろいのかとか、どんな話なのかとかを説明するのはむずかしい。
マンションの隣室に越してきた人がどんなひとかわからなかったんだけど、騒音に悩まされてたりしたら、なんと隣にいるのはムー帝国人で日本に宣戦布告をしていた、っていう「12人目 隣人」とか。
かわいい女子高生の美里は、多くの男子からアタックされても誰ともつきあったことがない、それは親がきびしいからとかぢゃなく、実は彼女にはシッポがあるからだっていう「18人目 有尾人」とか。
おもしろいと私ゃおもうんだけど、それのなにがおもしろいのかといわれても、ちょっと説明できない、こういうの好きだとしか言いようがない。
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インタビューで気持ちをきいてどうすんの

2024-05-28 19:45:39 | Weblog
かなりどうでもいいことなんだけど。言わねば腹ふくる、ってやつなんで。(あー、また余計なことをとは自分でも思うが。)
こないだの日本ダービーをみてて、レース直後の勝利騎手インタビューってのがテレビではあるんだけど(私がみてたのは地上波フジテレビ)、それが私の好きぢゃない、みごとなまでの「気持ち語れ」型だったので、なんかイライラしてしまった。
気持ちきいてどうすんのよ、なんか役に立つことあるかね、と常々おもうもので。(俺だけ?)
とりあえず、録画しといたのをまた見て、そのインタビューを書き起こしてみました。

Q.おめでとうございます。見事ダービー制覇しましたダノンデサイル・横山典弘ジョッキーです。おめでとうございました。
横山典弘騎手(以下典) ありがとうございます。
Q.まずはですね、最後すばらしい脚でしたけれども、抜け出してからゴールラインフィニッシュするまで、どんな気持ちで乗ってらっしゃったんでしょうか。
典 はい、あの、展開はね、たぶん、行く馬がいなくなったんで、遅いか、普通か遅いぐらいになるだろうと思って、まあスタートさえうまく決めれば行ってもいいくらいの気持ちで出していって、で、岩田君が行ってくれたんでちょうどいい感じでポケットに入れて、直線までジッとできたんで、最後はね、よく弾けてくれました。
Q.あの、ゴールラインの最後フィニッシュを駆け抜けたときというのは、ダービー勝利という形になりましたけれども、気持ちとしてはいかがでしたか。
典 そうですね、まあダービー勝ったことはうれしいんですけど、やっぱりね皐月賞をね、あのときに自分の決断が間違ってなかったんだなと、厩舎スタッフとそこから立ち上げて、ああいうことがあっても、馬は、ちゃんと大事にしていれば応えてくれるというのが、また、すごい馬に感謝です、はい。
Q.あのとき判断をされて、それからダービーまでどんなこと気をつかって、馬づくりに臨んできたんでしょうか。
典 そうですね、あの、まあ、とりあえず違和感がない、ちゃんとした攻め馬できるか、調教師と話しながら、乗せてもらって組み立ててきました。まだ本当のいいときのデサイルの走りではないんですけれども、このあいだよりはまだまだ全然よかったので、自信もって競馬に挑めました。
Q.そして見事勝利したあとには、お子さんたちとハイタッチであったり抱擁であったりあったと思いますけど、どんな気持ちだったんでしょう。
典 そうですね、やっぱり一番年長なんでね、まあ息子たちだけぢゃなく、みんなが祝福してくれたんで、とてもホッとしました。
Q.そして、史上最年長56歳3か月のGI勝利がダービーです、お気持ちはいかがでしょう。
典 うん、まあ、あまり気にしてないですけど、本当にGI勝てるということは、乗ることでも大変ですし、まさか勝てるなんてね。それに、こういう馬のことを真摯に向き合った結果が、結果に結びついてくれたんで、もうこのうえない喜びですね。
Q. そして、安田翔伍調教師、ダービー初挑戦で初制覇ということになりました、こちらにも父と子の物語がありますが、ひとことお願いします。
典 はい、今日は先生も、先生のお父さんもね、安田先生も来ている、家族がみんな来ていると聞いていたんで、その前で翔伍も、晴れ舞台いい姿を見せられて、ホッとしてます、僕も。
Q.えー、その翔伍さんはクラシックもその先も狙える馬なんだと表現をされていました、今後について、ひとことお願いします。
典 まあ、それは、これからまた無事に走ってくれることを願うだけです。
Q.ありがとうございました。見事56歳でダービーを制覇されました横山典弘ジョッキーでした、おめでとうございました。
典 ありがとうございました。

後半には、ちがった意味で私がまた嫌いな「ひとこと、くれ攻撃」が重ねてあったりして、なかなかイライラするものがある。
「ひとこと」ってのは、テレビだと朝の情報番組で芸能人相手によく使われてる気がする、内容なんか知りませんが、なんか見出しになるような言葉をマスコミにください、みたいな雰囲気がただよってて、私は嫌いなんですね。相手にまとめさせようとすんなというか。
競馬に話を戻して、最後の1ハロンくらいと、ゴールしたときの、気持ちを聞かせろってインタビュアーは言ってるんだけど、そんなことわざわざ聞くかね、それに対して騎手のほうはまともに答えんぢゃなくて、レースを振りかえるのと、ここまでの臨戦過程が順調ではなかったことについて話してくれてます、ありがたいことに。「スタートよければ行ってもいい」とか聞きたいとこでした。
たぶん、インタビュアーは、ダービー勝ったひとはうれしいはずだから、そのうれしさを視聴者へ届けるのがミッション、みたいに考えてんぢゃないかと想像するんだが、どうなんだろうね。
おそらくは、ゴールしたときの気持ちを聞けば、「ゴール遠く感じた」とか「信じられない」とかそのテの、朝の1レースぢゃ言わないようなこと答えてくれるだろって想定して振ってんだろう、場合によっては、「チョー気持ちイイ」とか「今まででいちばん幸せ」とか「自分をほめたい」とか、なんかそういうこと言ってくれよと。
(そもテレビって、事件現場行くと近所のひとにマイクつきつけて「怖い」とか言ってんの集めるの好きだよね、何が起きたかの事実よりも、「誰かがどう感じたか」のほうが伝えるものあると思ってるらしく。)
そんで、喜び爆発みたいなのがとれないと、家族の話題に振って、なんか気持ち言ってよ、ってことになります、せっかく馬の話に行きかけたのに。
まあ、そこもシレっとかわされてしまったようですが。やっぱ、なんか「家族の支えに感謝」とかの決まり文句をとりたかったんではなかろうかと想像します。
つーか、家族とか(場合によってはつらい過去とか)持ちだして、気持ち聞きたがるインタビュアーって、なんかインタビュイーが泣いてでもくれねえかな(そしたら成功なのに)って底意地あるような気がして、そういうのが私は好きぢゃないんですよね。なんか子ども扱いしてない? プロ・アスリートを高校球児くらいにしか思ってないのでは、って感じ。
ちがう? 私の偏見? ぢゃあ、ちゃんと馬のことレースのこと聞いてください、お願いします。
(なんかさあ、競馬のこと聞いてもわかんないけど、うれしいとかの感情なら共感できそうだから、それ見せてくれればいいや、ってやってる感じすんだよね。)
うーん、なんか、ひとの気持ち聞きたいのなら、レース直後に最初にインタビューする対象はオーナーにすればいいのに、って気が今してきた。
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2024年 日本ダービーをテレビ観戦

2024-05-26 20:02:06 | Weblog
本日は第91回日本ダービー、特にほかに用事もないので、当初予定どおりウチでテレビ観戦した。
結果にはけっこうおどろき、皐月賞を馬場入場後の競走除外した馬がダービー勝つなんて、ちょっと記憶にない。
いわゆる順調さを欠いてしまったらキビシイんぢゃないのってのが3歳春の常識だと思ってたんで、立て直したのには敬意を表します。
馬もすごいけど、ジョッキーにもちょっとおどろき、1968年生まれだから56歳でしょ、すごいっス。
いつ以来だっけ、って思うよりも、ウイニングランでスタンド前にもどってきたときに帽子とったところで、ああ、メジロライアンの2着から34年かあ、みたいに思ってしまいました。
年齢にふれると体力みたいなことにとかく話題はふられがちだと思うけど、自分の仕事に打ちこむ熱意みたいなものを維持しつづけられてるとこが、すごいなって思います。
いずれにせよ、ダービーが終わると、また一つトシをとったなって感じがします、私は、うん。
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ブライトン・ロック

2024-05-23 18:47:37 | 読んだ本
グレアム・グリーン/丸谷才一訳 昭和四十二年 早川書房 グレアム・グリーン選集6
「ブライトン・ロック」は、丸谷才一さんの『双六で東海道』のなかで「すごいぞ」なんて言ってたんで、読んでみようと思ってたんだが。
たぶん文庫本で新しいのはすぐ買えるはずだったんだけど、なんとなく古本を探してたら、見つけたのがこれ、箱に入った単行本とか置くとこなくて困るから文庫にすりゃいいのにと思いつつ、なんか古さが妙に魅力で買ってしまった、たしか去年の8月ころだ。
ずっと放っておいて(だから、箱入りは出して広げるのも億劫なんだからよしなさいと思った)、読んだの最近。
原題「BRIGHTON ROCK」は1938年の作品、丸谷さんが最初に訳したときは「不良少年」って邦題で刊行したってあとがきに書いてある。
ブライトン・ロックってのは何のことかというと、ブライトンってのはイギリスの地名、サセックスの海岸町で英仏海峡にのぞむ行楽地。
ロックは「糖菓」って漢字あてられてて、「ブライトン糖菓は、棒状のキャンディーで、(略)棒をどこで折っても、端にはかならず『ブライトン』という字が現われる」って註がある。
だからって、なにもお菓子の製法のお話ぢゃなくて、〈少年〉と記述されるピンキーって名前の不良少年が中心の犯罪がらみの話である。
ピンキーは17歳くらいなんだけど、なんか悪党のボス的存在になりたいらしい、17歳ぢゃねえ、仲間うちぢゃちょっとは怖がられたりするかもしれないけど、暗黒街を牛耳ろうなんてのは高望みすぎると思うんだけどねえ。
で、凶悪犯罪を実行するんだけど、自分たちが犯人だって気づいたレストランの同い年くらいのウェートレスに対しては、接近して懐柔しようとする。
一方で、被害者とたまたま事件の直前に知り合いになった女性がいて、検死では自然死ってなったのに疑問をもって、真相を明らかにすべく〈少年〉の周辺を独自に調べてきたりする。
日和りそうな仲間を殺そうとするくらいなら、邪魔者の女性も片づけちゃえばいいのにと思わんこともないが、まあいろいろと苦悩しながら話はややこしいほうへ進んでく。
探偵小説のようなカッコをしながら、正しいとはとか悪とはとかってことを考えさせるのは、たぶんグリーンの探偵小説批判なんぢゃないかってのは、丸谷さんの『梨のつぶて』で読んだ、
>(略)人間悪という重要な事実を、ストーリーのための単なる道具立てとしてしか利用せず、そこから出発してその巨大な課題を究明しようとする文学的努力を、いささかも試みなかったこと(略)(『梨のつぶて』p.249)
ってのが伝統の探偵小説はよくないよ、犯人みつけました、逮捕しました、めでたし、で終わっちゃいけないということかな。
ま、いずれにせよ、私はそんなにおもしろいとまでは思わなかったってのが正直なところです。
なんかねえ、信仰上のパラダイムのようなものにおける罪、みたいなものの感覚がまるでわからないですし。
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世界短編傑作集1

2024-05-16 19:33:51 | 読んだ本
江戸川乱歩編 1960年 創元推理文庫
前にこのシリーズの第5集をフレドリック・ブラウン目当てで読もうとしたときに、どーせきっとほかのも読みたくなるだろうからって、いっしょに買っといた古本の文庫。
どうやらこのシリーズは、傑作とおもえる偉大な順にとかってんぢゃなくて、時代の古い順にならべてく方針らしいんで、この第1集はいちばん古くて19世紀のものから始まってる。
かならずしも推理小説とか探偵小説とかって今日呼ばれてるジャンルのものとはかぎらない感じがして、たしかに殺人事件とか盗難事件とかが舞台になってるんだけど、謎解きってだけぢゃなく、編者のいう「奇妙な味」ってたぐいの作品もあって、そういうのがおもしろい。
あと大事なのはユーモアですよね、驚かされるよりも、読後のおかしみが残るほうがいいんぢゃないかと思う。
収録作は以下のとおり。なんの話かタイトルだけぢゃ思い出せなくなりそうだから、物語の本文の序盤戦のほうから少し引用しとく。

「人を呪わば」 The Biter Bit(1860) ウィルキー・コリンズ
>バルマー部長刑事殿――ある重大な事件が起こって、きみの助力を願わねばならなくなった。当課でも、経験豊富な人物のあらゆる努力を必要とする事件だ。現在、きみが捜査にあたっている盗難事件は、本書面を持参する青年にひきついでいただきたい。
これ、書簡形式をとった小説なんだけど、『夢の女・恐怖のベッド 他六篇』っていうべつの文庫のなかに、「探偵志願」って邦題で収録されてた。(読んだことはほとんど忘れてたけど。)

「安全マッチ」 The Swedish Match(1885ころまで?) アントン・チエホフ
>一八八五年十月六日の朝、S県の第二警察署に、りっぱな服装の青年が出頭して、領主の退役近衛将校、マーク・イワノーウィッチ・クリヤーゾフが殺害されたと告げた。青年は顔面蒼白、極度に古墳して、全身をふるわせていた。

「レントン館盗難事件」 The Lenton Croft Robberies(1894) アーサー・モリスン
>ある朝、事務員たちがまだ出勤してまもないころ、この事務室の入口に、リュウとした服装の若い男が、眼鏡を光らせながら駆け込んできた。とたんに、階段の下で、小ぶとりの男と鉢合わせをしてしまった。
>「これは失礼」眼鏡の男は言った。「ヒューイット探偵事務所はこちらですか?」
>「たしか、そうでしたよ。事務員にきいてみたまえ」
>相手はそのまま、トントンと階段をのぼって行ってしまった。
これ、「名探偵マーチン・ヒューイット」って有名なんだそうであるが、私は全然知らんかった、イギリスの話である。

「医師とその妻と時計」 The Doctor, His Wife, and the Clock(1895) アンナ・カサリン・グリーン
>一八五一年七月十七日、ラファイエット街コロネイドの住宅地で、すくなからず興味をひかれる悲劇が起こった。
>高名にして深い尊敬をうけていた市民、ハスブルック氏が、自室で正体不明の犯人に襲われ、助けの手を待たずして射殺されてしまったのである。

「ダブリン事件」 Dublin Mystery(1902) バロネス・オルツィ
>「わしに言わせれば、あのダブリンの遺言状偽造事件ほどおもしろい事件はないと思うね」
>その日も、ロンドンの、ある喫茶店の一隅で、老人は例によって例のごとく、静かな口調で語りだした。
これ、かの有名な「隅の老人」(私は読んだことなかったけど名前はさすがに聞いたことある)という短編集のなかのひとつ、主人公の名探偵役は名前は明らかにされていないで、ただ隅の老人と呼ばれてる。

「十三号独房の問題」 The Problem of Cell 13(1905) ジャック・フットレル
>世人は、ヴァン・ドゥーゼン教授を異名して、「思考機械」と呼んでいた。最初に命名したのは新聞社で、チェスの全国大会が開催されたときであった。(略)思考機械! どの肩書にもまして、これほど直截に彼の特質を言いあらわす言葉はないであろう。
これ、主人公の探偵役は哲学博士で法学博士で王立学会会員で医学博士で歯科博士で、肩書いっぱいあるんだけど別名「シンキング・マシン」っつーのがいちばんカッコいい。
本作では、「精神は物質に優先するのだ。思考能力はすべてを支配できるのだ」という主義主張を証明するために、死刑囚用の刑務所監房に自らを拘禁させて、一週間以内に脱獄してみせる、という。

「放心家組合」 The Absent-minded Coterie(1906) ロバート・バー
>「ヴァルモン君。きみは聡明なひとだから、くどくど説明することもないだろう。ぼくが今夜、わざわざやってきたのは、アメリカ大統領選挙に関係があることなんだ。ほかのフランス人なら、もっとくわしく説明しなければならぬところが、君だけはどうやら、その必要はなさそうだ」
>スペンサー・ヘイルは、片目をほそめて、にやりと笑ってみせた。私は元来、このうす笑いが大嫌いなのだ。彼はときどき、私の前になにか問題を提出して、これが君に解けるか――さあ、どうだと挑戦してくる癖があるのだが、そのときは、きまってこうした顔つきをみせるのだった。
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