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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

アリスとシェエラザード~仮面舞踏会~

2024-02-01 19:20:35 | 諸星大二郎
諸星大二郎 2024年2月 小学館・BIG COMICS SPECIAL
巻末の奥付には2月4日発行ってなってるけど、おととい1月30日が発売日だって情報あったんで、当日は午前中から書店行って買った。
約2年前の『アリスとシェエラザード』の続編だ、初出は「ビッグコミック増刊号」で2022年から23年、雑誌読まない私はすべて初めて読む話、まったくもってうれしい。
主人公は、ミス・アリス・ミランダと、ミス・シェエラザード・ホブソンの二人、舞台は19世紀のロンドン、前巻を読み返したところコナン・ドイルがホームズものを書くちょっと前くらいのころと思われる。
霊媒体質のアリスと、男勝りで必要ならば果敢にサーベルもふるうシェエラザードが、人探しとかの依頼を受けては怪奇事件を解決していく、いいですねえ、悪趣味な話をさばくのは美少女キャラにかぎる。
本巻には、なにやら魔力をもつようなユディットって名前のこれまた女性キャラが出てくる、最初は自分の母親の復讐をって話に登場したんだけど、その後もちがう話で黒幕として出てくるんで、主人公の二人の宿敵となるのかもしれない。
二度目の登場となった「ユディット再び」は、一読したなかで気に入ったというか気になった話で、シェエラザードのところへ友人のデボラから手紙が来たところから始まる。
ひと月ほど前にデボラ夫妻が旅行へ行くと、予定していたホテルが当日火事になって泊まれなくなった、すると若い女性が自分の家に泊めてくれるというのでその家に行った。
一軒家に一人で住んでいるその女性は絵を描くというが、家の中にある絵はどれも不気味で怖い絵だった、一泊して辞去するときに、記念に絵をくれるというのでしかたなく比較的穏やかそうな人物画を選んだ。
自宅に帰ってから数日後に絵が送られてきたが、青ざめてやつれた若い女性の肖像画だった、頼んだものとちがう気もしたが、せっかくなので家の中の廊下の壁にその絵をかけておくことにした。
そのころからデボラは体調がすぐれなくなり、熱が出たりだるく疲労感をおぼえることが多くなったのだが、ふと気がつくと、もらった肖像画の陰気な感じがなくなって人物もなんだか若々しく変わってきたように見えてきた。
って話を語るデボラを訪ねてったシェエラザードも、最初は別人かと思うくらいデボラの容貌は変わっていた、っつー話、不気味でいい感じ、こういうのはマンガならではの怪異譚なんぢゃないかと。
第9話 ユディット
第10話 交霊会の夜
第11話 四辻の悪魔
第12話 ユディット再び
第13話 5枚のカード
第14話 仮面舞踏会
第15話 猫の交霊会
第16話 境界の小屋
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西遊妖猿伝 西域篇 火焔山の章4だ!

2022-08-23 20:05:49 | 諸星大二郎

諸星大二郎 2022年8月 講談社モーニングKC
はい、本日が発売日ということなので、さっさと書店に買い行って、すぐ読みました、最新刊。
もう、この夏はこの日だけを楽しみに、指折り毎日を過ごしておりました。
物語のほうは、あいかわらず火焔山近くで、暴動起こしてる農夫とか浮浪児とかと高昌城の兵とかソグド兵とかの戦いが続いてるんだが。
主人公の悟空は、いよいよ宿敵であるはずの牛魔王と決戦するのかと思いきや、なかなか戦わない。
運命の宿敵らしく、近くにいるかどうか気を感じるだけで察することができて、あまり近づくと生き死にを懸けた戦いになっちゃうことが本能的にわかってるんで、闘いが最優先事項ではない今回はあまり近づかないように己を抑えている。
そんななかで、魔族たちが仕掛けた悪いもんは一応やっつけられたんで、騒ぎは一段落したかというところ。
前巻ではまったく登場の機会もなかった玄奘が、ようやく最後にちょろっと顔を見せるんで、あー、ようやく天竺へ再出発してくれるのかと思うが、次回への予告によると、まだまだこの場所で事件があるんだそうだ。
「これからの展開は…… どうぞ気長にお待ちください。」って、はい、待ちますよ、お待ち申し上げます。
第十二回 勇躍して双童 師命を受け 機を見て公主 戦場を走る
第十三回 孫行者 火中に栗を拾い 牛魔王 暗中に塔に登る
第十四回 双童 勇を鼓して牛王に見え 魔王 義に感じて妖邪を破る

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夢のあもくん

2022-05-15 18:47:25 | 諸星大二郎

諸星大二郎 2022年3月 角川書店
3月に発売になった諸星大二郎の新刊、『アリスとシェエラザード』と一緒に買った、いちどきに諸星マンガの新しいのふたつ読めるなんて至福至福。
シリーズとしては『あもくん』の続きである、と言って今ふりかえると、前刊出たのは2015年だった、もう7年も経ってんのかと驚く。
しかし、本書の「あとがき」で著者自身は、シリーズ最初の「ことろの森」を『幽』に描いたときから18年経ったと、もっとすごい驚き方してます。
初出は、途中で『幽』から『怪と幽』に変わったそうですが、帯によると年3回の発行らしいので、それぢゃ単行本になる本数までたまるには時間がかかる。
でも、前は一話6ページくらいだったりだけど、新しい媒体では12ページとか16ページの長さになっているようなので、また待っていれば単行本にはなるかもしれない。
それでもなんでも、雑誌購読しない私としては単行本にしてくれるとありがたい。
さて、主人公の「あもくん」は少年で、本名は「守」なんだけど、年下の親戚の子が幼くて口が回らないときに「まもる」が言えなくて「あもくん」と読んだのが由来。
親戚の子も今では「守おにいちゃん」と言えるようになった、ときどき父親がからかうように「あもくん」と言うのを守はすごく嫌ってる。
でも、オバケたちとか夢の中の友達とかが、なぜか「あもくん」と呼びかけてくる。
このことについては、かつて「雨の日はお化けがいるから」のなかで、不思議な少女「茜ちゃん」が、「その方がいいわ、ああいうのにはほんとの名前を知られない方がいいの」と名言を残しています。
その茜ちゃんが本書では「逢魔が時」にゲスト出演。
それだけぢゃなくて、「夢のともだち」には、なんと稗田礼二郎先生まで出演、長いことファンやってる者にとってはうれしい演出です。
あ、前作を読んだことないひとのために言うと、なかみは、なんつーか現代風な怪談です、街のなかにいる見たくないのに見えちゃうオバケのこととか、悪い夢で怖いおもいして目が覚めても何が現実か夢なのかわからないとか、そういう感じ。
コンテンツは以下のとおり。
人形少女
羽毛田君の奥さん
こっちでもへび女はじめました
塀の穴
登山君の遭難
海で呼ぶもの
風の強い日
給水塔
夢のともだち
ムンクの女
回談
しつこい夢
マスク
夢の集会
またまたあもくん
逢魔が時
夢の劇場

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アリスとシェエラザード

2022-04-17 18:52:42 | 諸星大二郎

諸星大二郎 2022年4月 小学館・BIG COMICS SPECIAL
新刊が3月30日発売だっていうんで、すぐ買った、「諸星大二郎劇場第4集」。
『雨の日はお化けがいるから』『オリオンラジオの夜』『美少女を食べる』につづく第4集なんだが、短編集といっても、主人公たちが同じなんで、シリーズもの。
初出は「ビッグコミック増刊号」で2020年から連載状態らしい。
主人公は、ミス・アリス・ミランダと、ミス・シェエラザード・ホブソンという二人の若いレディ。
このうちミス・ホブソンは、ファーストネームで呼ばれるのを嫌がる、詳しい理由はよくわかんない。
舞台はヴィクトリア朝のロンドン、いいですねえ、人智でははかりしれない怪奇があっても許される時代です。
二人の仕事は「人探し」なんだけど、そこは普通の方法ぢゃなくて、霊媒体質のアリスが、降霊会で霊を呼びだしたりして依頼を解決するという、諸星ワールド、大好きです、こういうの。
たとえば第1話では、ドクターと名乗る男性が、結婚相手を探しているのだが、条件は手というか腕の美しい女性だという依頼を持ち込む。
アリスが候補者をピックアップしてリストをつくって渡して、とりあえず依頼にこたえるんだが。
行方不明の姉をさがしてくれって別の依頼者が現れ、消えた姉はドクターに渡したリストにのせたうちの一人であって、さらに調べるとリストの五人全員が行方不明になっている。
そのうち、ロンドンでは、腕を切りとられた女性の惨殺死体が相次いで見つかるという事件が発生。
行方不明者の妹を呼んで、降霊会をおこなって、被害者たちの霊に腕はどこにあるのか問いただす。
二人の若い女性コンビがなんだかんだ掛け合いながらトラブルにぶつかっていく様子は、お、「栞と紙魚子」みたいかも、って思わされる。
著者あとがきによれば、今後もこのシリーズを描く予定がありそうなので、楽しみにしたい。
第1話 ファーストネームで呼ばないで(「手を愛する男」改題)
第2話 プリマの復讐(「プリマの嘆き」改題)
第3話 眼球泥棒
第4話 海から来た男
第5話 首を捜す幽霊
第6話 紅玉の首飾りの女
第7話 椅子になった男
第8話 スピード大好き!

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西遊妖猿伝 西域篇 火焔山の章3だ!

2021-12-05 18:07:16 | 諸星大二郎

諸星大二郎 2021年11月 講談社モーニングKC
11月22日には発売になってたのを、油断して一週間ほど気づかずにいたが、無事わりと早めに書店で買って読むことができた。
このマンガのつづきを読むことを一番の楽しみに生きているんで、一年に二冊も新刊が出てくれたのはありがたいことである。
さて、物語のほうは、火焔山近くの寧戎城あたりで水が止まったことを発端にして暴動が起きてるんだが、高昌城の兵とかソグド兵まで出てきて鎮圧しようとしてる。
山のなかにいた浮浪児たちも暴徒の仲間入りしてるんだが、暴徒である農夫たちは子供なんかより牛魔王の力を利用しようというのが狙いで。
そもそも暴動のきっかけは魔族たちが妖物を仕掛けたからで、ゾロアスター教寺院から来たアシャイバンダクはその解決を図ろうとするが敵もなかなか手強い。
そんななかで、悟空はついに牛魔王と相まみえるんだが、対峙した瞬間に、こいつを倒さなけりゃという宿命を感じる。
一回で決着はつかないんで、また続巻を待てということになるんだが、次は来年2022年夏という予告もあるので、それまではつまんない感染症にかかったりしないで生き延びたいもんだ。
第八回 悟空 児を捜して寧城に入り 牛王 威を顕して陋巷を震わす(その二)
第九回 刀圭 遊里に胡娘を伴い 行者 陋巷に緑林を知る
第十回 胡娘 酔いて胡旋舞を舞い 心猿 往きて牛魔王に見う
第十一回 両雄 相見えて宿命を知り 怪童女 悟空に再会す

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